XXI. 微分方程式の解法

この章ではここまでに登場した積分のテクニックが使った重要な微分方程式の解法をいくつか説明する。

本書をここまで読んで積分が簡単な操作に過ぎないことを理解した初学者は、積分が技法であることに気が付くだろう。他の技法と同じように、積分の技法は集中した練習を長く続けて始めて習得できる。積分を習得したいと望むなら、他の微積分の文献に出てくるような練習問題をとにかく解き続ける他ない。ここに示すのは本格的な理論のごく簡単な導入である。

\(\text{(1)}\) 次の微分方程式の解を求めよ: \[ ay + b \frac{dy}{dx} = 0 \]

式を整理すると \[ b \frac{dy}{dx} = -ay \] となる。つまり \(\dfrac{dy}{dx}\) は \(y\) に比例する。\(x\) の関数としての \(y\) が表す曲線を考えると、任意の点における曲線の傾きが \(y\) 座標に比例する (\(y\) が正のとき傾きは負となる)。ここから曲線が減衰曲線であり、解には \(e^{-x}\) が含まれるだろうとすぐに予想が付く。しかしここでは “利口” にならずに解を求めてみよう。

\(y\) と \(dy\) が等式の両側に表れているから、このままでは何もできない。\(y\) と \(dy\) を一方に移項し \(dx\) を反対側に移項すれば積分が行えるようになる。そこで通常は分離できない \(dy\) と \(dx\) を分離して考えて \[ \frac{dy}{y} = - \frac{a}{b}\, dx \] とする。\(\dfrac{dy}{y} = \dfrac{1}{y}\, dy\) は対数の微分で生じる微小量だから、この等式の両辺にある式の積分は計算できる。積分を指示する記号を書き加えれば \[ \int \frac{dy}{y} = \int -\frac{a}{b}\, dx \] であり、二つの積分を計算すれば \[ \log_e y = -\frac{a}{b} x + \log_e C \] を得る。ここで \(\log_{e} C\) は不定の積分定数である1。対数を消すと \[ y = C e^{-\frac{a}{b} x} \] であり、これが求めるべきとなる。こうして得られた解は最初の微分方程式とずいぶん違って見えるものの、熟練した数学者から見れば、二つの等式は \(y\) が \(x\) に応じてどう決まるかについて同じ情報を伝えているのである。

解に含まれる \(C\) の値は \(y\) の初期値から決まる。\(x = 0\) とすれば \(y = C e^{-0} = C\) となるから、\(y\) の初期値が \(C\) に等しい2。この値を \(y_{0}\) とすれば、解は \[ y = y_0 e^{-\frac{a}{b} x} \] となる。

\(\text{(2)}\) 例をもう一つ考える: \[ ay + b \frac{dy}{dx} = g \] \(g\) は定数とする。ここでも等式を見て考えるだけで \(\text{(1)}\) \(e^{x}\) あるいはこれに似た関数が解に含まれること、そして \(\text{(2)}\) \(y\) の表す曲線が極大または極小になって \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) となるとき \(y = \dfrac{g}{a}\) が成り立つことが分かる。では解を求めてみよう。前問と同様に微小量を分離して積分できる形に変形すると \[ \begin{aligned} b\frac{dy}{dx} &= g -ay \\ \frac{dy}{dx} &= \frac{a}{b}\left(\frac{g}{a}-y\right) \\ \frac{dy}{y-\dfrac{g}{a}} &= -\frac{a}{b}\, dx \end{aligned} \] となる。等式の一方に \(y\) と \(dy\) があり、もう一方に \(dx\) があるようにできた。左辺は積分できるだろうか?

左辺の関数は \(\log_{e} (x + a)\) の微分 と同じ形をしている。両辺の積分を指示する記号を加えると \[ \int{\frac{dy}{y-\dfrac{g}{a}}} = - \int{\frac{a}{b}\, dx} \] を得る。積分を計算して積分定数を加えると \[ \begin{aligned} \log_e\left(y-\frac{g}{a}\right) &= -\frac{a}{b}x + \log_e C \\ y - \frac{g}{a} &= Ce^{-\frac{a}{b}x} \\ y &= \frac{g}{a} + Ce^{-\frac{a}{b}x} \end{aligned} \] となる。これがである。

\(x = 0\) のとき \(y = 0\) という条件を追加すれば \(C\) を求められる。指数部分は \(1\) となるから \[ \begin{aligned} 0 &= \frac{g}{a} + C \\ C &= -\frac{g}{a} \end{aligned} \] を得る。さらに \(x\) が無限大に向かうとき \(y\) は極大値に向かう。つまり \(x = \infty\) で \(y_{\text{max}} = \dfrac{g}{a}\) となる。この事実を使えば結果を \[ y = y_{\text{max}}(1-e^{-\frac{a}{b} x}) \] と表せる。

この結果は物理学でも重要になる。

\(\text{(3)}\) 微分方程式 \[ ay + b\frac{dy}{dt} = g \cdot \sin 2\pi nt \] を考える。これはこれまでの問題よりずっと難しい。まず両辺を \(b\) で割ると \[ \frac{dy}{dt} + \frac{a}{b}y = \frac{g}{b} \sin 2\pi nt \] を得る。このままでは左辺を積分できないが、次のように変形すれば積分できるようになる。まず \(e^{\frac{a}{b} t}\) を両辺に乗じる。すると \[ \frac{dy}{dt} e^{\frac{a}{b} t} + \frac{a}{b} y e^{\frac{a}{b} t} = \frac{g}{b} e^{\frac{a}{b} t} \cdot \sin 2 \pi nt \] であり、これを変形すると \[ \frac{dy}{dt} e^{\frac{a}{b} t} + y \frac{d(e^{\frac{a}{b} t})}{dt} = \frac{g}{b} e^{\frac{a}{b} t} \cdot \sin 2 \pi nt \] となる。この微小量なら積分できる。\(u = ye^{\frac{a}{b} t}\) とすれば \(\dfrac{du}{dt} = \dfrac{dy}{dt} e^{\frac{a}{b} t} + y \dfrac{d(e^{\frac{a}{b} t})}{dt}\) だから \[ \begin{aligned} y e^{\frac{a}{b} t} &= \frac{g}{b} \int e^{\frac{a}{b} t} \cdot \sin 2 \pi nt \cdot dt + C, \\ y &= \frac{g}{b} e^{-\frac{a}{b} t} \int e^{ \frac{a}{b} t} \cdot \sin 2\pi nt \cdot dt + Ce^{-\frac{a}{b} t} \qquad \text{(a)} \end{aligned} \] である。

最後の項は \(t\) が大きくなると無視できるほど小さくなる。さて問題は一つ目の項に含まれる積分である。この積分の計算には部分積分を使う。部分積分の一般的な公式は \(\displaystyle \int u dv = uv - \int v du\) であり、ここでは \[ \begin{aligned} u &= e^{\frac{a}{b} t} \\ dv &= \sin 2\pi nt \cdot dt \end{aligned} \] とする。このとき \[ \begin{aligned} du &= e^{\frac{a}{b} t} \times \frac{a}{b}\, dt \\ v &= - \frac{1}{2\pi n} \cos 2\pi nt \end{aligned} \] だから、公式から \[ \begin{aligned} \int e^{\frac{a}{b} t} &{} \cdot \sin 2 \pi n t \cdot dt \\ &= -\frac{1}{2 \pi n} \cdot e^{\frac{a}{b} t} \cdot \cos 2 \pi nt -\int -\frac{1}{2\pi n} \cos 2 \pi nt \cdot e^{\frac{a}{b} t} \cdot \frac{a}{b}\, dt \\ &= -\frac{1}{2 \pi n} e^{\frac{a}{b} t} \cos 2 \pi nt +\frac{a}{2 \pi nb} \int e^{\frac{a}{b} t} \cdot \cos 2 \pi nt \cdot dt \qquad \text{(b)} \end{aligned} \] が分かる。しかしここでも最後の積分は計算できない。そこでもう一度部分積分を使う。ただし \(u\) と \(v\) に割り当てる式を逆にして \[ \begin{aligned} u &= \sin 2 \pi n t \\ dv &= e^{\frac{a}{b} t} \cdot dt \end{aligned} \] とする。このとき \[ \begin{aligned} du &= 2 \pi n \cdot \cos 2 \pi n t \cdot dt \\ v &= \frac{b}{a} e ^{\frac{a}{b} t} \end{aligned} \] であり、公式に代入すると \[ \begin{aligned} \int e^{\frac{a}{b} t} &{} \cdot \sin 2 \pi n t \cdot dt\\ &= \frac{b}{a} \cdot e^{\frac{a}{b} t} \cdot \sin 2 \pi n t - \frac{2 \pi n b}{a} \int e^{\frac{a}{b} t} \cdot \cos 2 \pi n t \cdot dt \qquad \text{(c)} \end{aligned} \] となる。\(\text{(b)}\) と \(\text{(c)}\) には計算できない同じ積分が含まれるので、この積分を消すことができる。\(\text{(b)}\) に \(\dfrac{2 \pi nb}{a}\) を掛けた式と \(\text{(c)}\) に \(\dfrac{a}{2 \pi nb}\) を掛けた式を足すと \[ \int e^{\frac{a}{b} t} \cdot \sin 2 \pi n t \cdot dt = e^{\frac{a}{b} t} \left\{\frac{ ab \cdot \sin 2 \pi nt - 2 \pi n b^{2} \cdot \cos 2 \pi n t}{ a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2} } \right\} \qquad \text{(d)} \] を得る。これを \(\text{(a)}\) に代入すれば解が分かる: \[ y = g \left\{\frac{ a \cdot \sin 2 \pi n t - 2 \pi n b \cdot \cos 2 \pi nt}{ a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2}}\right\} \]

この解を簡単にするために、\(\tan \phi = \dfrac{2 \pi n b}{ a}\) となる角度を \(\phi\) とする。このとき \[ \begin{aligned} \sin \phi &= \frac{2 \pi nb}{\sqrt{a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2}}} \\ \cos \phi &= \frac{a}{\sqrt{a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2}}} \end{aligned} \] が成り立つ。これらを代入すると \[ y = g \frac{\cos \phi \cdot \sin 2 \pi nt - \sin \phi \cdot \cos 2 \pi nt}{\sqrt{a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2}}} \] となり、 \[ y = g \frac{\sin(2 \pi nt - \phi)}{\sqrt{a^{2} + 4 \pi^{2} n^{2} b^{2}}} \] を得る。

実はこれは交流電流の方程式であり、\(g\) は起電力の振幅、\(n\) は周波数、\(a\) は抵抗、\(b\) は回路の自己誘導係数、\(\phi\) は位相の遅れをそれぞれ表す。

\(\text{(4)}\) 次の微分方程式を考える: \[ M\, dx + N\, dy = 0 \] もし \(M\) が \(x\) だけの関数で \(N\) が \(y\) だけの関数なら、この等式を直接積分できる。しかし \(M\) と \(N\) が \(x\) と \(y\) の両方に依存しているとき積分の計算はどうするべきだろうか? このときは与えられた等式の左辺がある関数の微分である可能性を考える。つまり \(M\) と \(N\) が共通する関数 \(U\) の偏微分で \[ \begin{cases} \vphantom{\large \dfrac{\partial U}{\partial x}} \dfrac{\partial U}{\partial x} = M \\ \vphantom{\large \dfrac{\partial U}{\partial x}} \dfrac{\partial U}{\partial y} = N \end{cases} \] となるかどうかである。もしそのような関数が存在するなら、 \[ \frac{\partial U}{\partial x}\, dx + \frac{\partial U}{\partial y}\, dy \] は \(U\) の全微分となる。

左辺が \(U\) の全微分なら \[ \frac{d(dU)}{dx\, dy} = \frac{d(dU)}{dy\, dx} \] つまり \[ \frac{dM}{dy} = \frac{dN}{dx} \] が成り立つ。この条件を使えば \(U\) が存在するかを判定できる。

例として \[ (1 + 3 xy)\, dx + x^{2}\, dy = 0 \] を考える。これは何らかの関数の全微分だろうか? \(\dfrac{dM}{dy}\) と \(\dfrac{dN}{dx}\) を計算すると \[ \begin{aligned} \frac{dM}{dy} &= \frac{d(1 + 3xy)}{dy} = 3x \\ \frac{dN}{dx} &= \frac{d(x^{2})}{dx} = 2x \end{aligned} \] だから、条件 \(\dfrac{dM}{dy} = \dfrac{dN}{dx}\) は成り立たない。よって \((1 + 3 xy)\, dx + x^{2}\, dy\) は全微分ではなく、\(1 + 3xy\) と \(x^{2}\) は共通の関数から得られない。

しかしこの場合でも、左辺に関数を乗じて全微分にすることはできる。このときに乗じる関数を積分因子 (intergrating factor) と呼ぶ。積分因子を求める一般的な方法は存在しないが、慣れれば自然に思いつくようになる。今の例では \(2x\) が積分因子であり、\(2x\) を乗じると \[ (2x + 6x^{2}y)\, dx + 2x^{3}\, dy = 0 \] となる。

判定法を試すと \[ \begin{aligned} \frac{d(2x + 6x^{2}y)}{dy} & = 6x^{2} \\ \frac{d(2x^{3})}{dx} & = 6x^{2} \end{aligned} \] となってパスする。よって \((2x + 6x^{2}y)\, dx + 2x^{3}\, dy\) は全微分であり、積分が計算できる。\(w = 2x^{3}y\) とすれば \[ dw = 6x^{2}y\, dx + 2x^{3}\, dy \] であり、ここから \[ \int 6x^{2}y\, dx + \int 2x^{3}\, dy=w=2x^{3}y \] が分かる。これと \((2x + 6x^{2}y)\, dx + 2x^{3}\, dy = 0\) から \[ U = x^{2} + 2x^{3}y + C \] を得る。

\(\text{(5)}\) \(\dfrac{d^{2} y}{dt^{2}} + n^{2} y = 0\) を考える。

この方程式には \(y\) の他に \(y\) の二次の (二階の) 導関数が登場するので、二階微分方程式 (a differential equation of the second degree) と呼ばれる。

移項すれば \(\dfrac{d^{2} y}{dt^{2}} = - n^{2} y\) を得る。この等式からは \(y\) の二回微分が \(y\) 自身に比例し符号が反転することが分かる。この性質を持つ関数は第十五章で見た ──サイン関数とコサイン関数である。よってこの方程式は \(y = A \sin (pt + q)\) になるだろうと計算せずとも予想できる。ではこの方程式をきちんと解いてみよう。

両辺に \(2 \dfrac{dy}{dt}\) を掛けると \(2\dfrac{d^{2} y}{dt^{2}}\, \dfrac{dy}{dt} + 2n^{2} y \dfrac{dy}{dt} = 0\) となる。これの積分を考えると、\(2 \dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\, \dfrac{dy}{dt} = \dfrac{d \left(\dfrac{dy}{dt}\right)^{2}}{dt}\) から \[ \left(\frac{dy}{dt}\right)^{2} + n^{2} (y^{2}-C^{2}) = 0 \] が分かる (\(C\) は定数)。平方根を計算すれば \[ \frac{dy}{dt} = -n \sqrt{ y^{2} - C^{2}}, \quad \frac{dy}{\sqrt{C^{2} - y^{2}}} = n \cdot dt \] となる。ここで以前に示したように \[ \frac{1}{\sqrt{C^{2} - y^{2}}} = \frac{d \left(\arcsin \dfrac{y}{C}\right)}{dy} \] だから、 \[ \arcsin \frac{y}{C} = nt + C_1 \] が分かる (\(C_{1}\) は二度目の積分で生じた定数)。両辺のサインを取れば \(y = C \sin (nt + C_1)\) となる。

\(y = C \sin (nt + C_1)\) を変形して \[ y = A \sin nt + B \cos nt \] とした方が理解しやすい。これがである。

\(\text{(6)}\) \(\dfrac{d^{2} y}{dt^{2}} - n^{2} y = 0\)

この微分方程式を満たす関数 \(y\) は二次導関数が \(y\) 自身と比例し同じ符号となるという性質を持つ。私たちが知っている関数の中でこの性質を持つのは指数関数だけである。よって解には指数関数が含まれるに違いないと分かる。

前問と同じように \(2 \dfrac{dy}{dt}\) を両辺に乗じると \(2\dfrac{d^{2} y}{dx^{2}}\, \dfrac{dy}{dx} - 2x^{2} y \dfrac{dy}{dx}=0\) であり、 \[ 2\dfrac{d^{2} y}{dx^{2}}\, \dfrac{dy}{dx} = \dfrac{d \left(\dfrac{dy}{dx}\right)^{2}}{dx} \] から \[ \left(\frac{dy}{dx}\right)^{2} - n^{2} (y^{2} + c^{2}) = 0,\quad \frac{dy}{dx} - n \sqrt{y^{2} + c^{2}} = 0 \] が分かる (\(c\) は定数)。よって \(\dfrac{dy}{\sqrt{y^{2} + c^{2}}} = n\, dx\) である。

ここで \(w = \log_e (y + \sqrt{y^{2}+ c^{2}}) = \log_e u\) とすると \[ \begin{gathered} \frac{dw}{du} = \frac{1}{u},\quad \frac{du}{dy} = 1 + \frac{y}{\sqrt{y^{2} + c^{2}}} = \frac{y + \sqrt{ y^{2} + c^{2}}}{\sqrt{y^{2} + c^{2}}}, \\ \frac{dw}{dy} = \frac{1}{\sqrt{ y^{2} + c^{2}}} \end{gathered} \] が成り立つから、\(\dfrac{dy}{\sqrt{y^{2} + c^{2}}} = n\, dx\) を積分すると \[ \begin{gathered} \log_e \left(y + \sqrt{y^{2} + c^{2}} \right) = nx + \log_e C, \\ y + \sqrt{y^{2} + c^{2}} = C e^{nx} \qquad \text{(1)} \end{gathered} \] となる (\(C\) は定数)。さらに恒等式 \[ \left( y + \sqrt{y^{2} + c^{2}} \right) \times \left( -y + \sqrt{y^{2} + c^{2}} \right) = c^{2} \] からは \[ -y + \sqrt{y^{2} + c^{2}} = \dfrac{c^{2}}{C} e^{-nx} \qquad \text{(2)} \] が分かる。

\((1)\) から \((2)\) を引いて \(2\) で割れば \[ y = \frac{1}{2} C e^{nx} - \frac{1}{2}\, \frac{c^{2}}{C} e^{-nx} \] であり、これを簡略化すれば \[ y = A e^{nx} + B e^{-nx} \] となる。元の方程式とは何の関係も無いようにさえ思えるこの解は、\(y\) が指数的に増大する項と指数的に減少する項の和となっている。

\(\text{(7)}\) \(b \dfrac{d^{2}y}{dt^{2}} + a \dfrac{dy}{dt} + gy = 0 \) とする。

この微分方程式をよく見ると、\(b = 0\) なら例 \(\text{(1)}\) で考えた微分方程式となることが分かる。そのときの解は負の指数関数である。一方で \(a = 0\) なら例 \(\text{(6)}\) と同じであり、正および負の指数の和が解となる。よって解が \[ \begin{aligned} y &= (e^{-mt})(A e^{nt} + B e^{-nt}), \\ m &= \frac{a}{2b}, \quad n = \sqrt{\frac{a^{2}}{4b^{2}}} - \frac{g}{b} \end{aligned} \] という形をしていたとしても驚くことではない。

この解を求める方法はここには示さない。より本格的な文献を参照してほしい。

\(\text{(8)}\) \(\dfrac{d^{2}y}{dt^{2}} = a^{2} \dfrac{d^{2}y}{dx^{2}}\)

第十六章では、この微分方程式が次の関数から得られると示した: \[ y = F(x + at) + f(x -at) \] ここで \(F\) と \(f\) は \(t\) と \(x\) の任意の関数を表す。

また \(u = x + at\) および \(v = x - at\) と変数を置き換えると \[ \frac{d^{2}y}{du \cdot dv} = 0 \] であり、ここからも同じ結論が得られる。\(F\) が \(0\) に等しい場合には解が \[ y = f(x - at) \] となる。\(t = 0\) のとき \(y\) は \(x\) のとある関数であり、\(x\) と \(y\) の関係を表す曲線が存在する。\(t\) を動かすと座標軸が \(x\) 軸と平行に移動し、曲線は形を保ったまま速度 \(a\) で進んでいく。例えば時刻 \(t_{0}\) で \(x\) 座標が \(x_{0}\) の点は、時刻 \(t_{1}\) で \(x\) 座標が \(x_{0} + a(t_{1} - t_{0})\) の点に対応し、その時刻の間では点が等速度で移動する。この場合には簡略化された等式が (任意の形をした) 波の \(x\) 軸方向の伝搬を表す。

微分方程式が \[ m \frac{d^{2}y}{dt^{2}} = k\, \frac{d^{2}y}{dx^{2}} \] と与えられても解は変わらないが、波の速度は \[ a = \sqrt{\frac{k}{m}} \] となる。


地平線を越えた仙境の独りよがりな案内はこれで以上となる。これから旅に出る読者への餞別として、主要な関数に関する微分と積分の結果を次にまとめておいた。中央の列にある関数を微分すると左の列にある関数となり、積分すると右の列にある関数となる。読者の役に立つことを願う。


  1. 積分定数の表記に決まりはなく、任意であることが分かればどんなものでも構わない。ここで \(\log_{e} C\) と書いたのは等式中の他の項が対数と関係しているためであり、それ以外の理由はない。積分定数を同種の関数にすると最終的な答が分かりやすくなる。[return]

  2. 第十七章では 図 48図 51 を使って積分定数を説明した。[return]