VIII. 時が進むとき

微積分において最も重要な問題の一つが、時間を独立変数として時間が変化するに応じて変化する値を考える問題である。時が進むと大きくなる値もあれば、小さくなる値もある。例えば列車が出発地点から進んだ距離は時が進むと大きくなるし、木は年月を経て大きくなる。さて次の問題を考えよう: とある植物は現在 \(12\) インチで、一か月後には \(14\) インチになる。別の木は現在 \(12\) フィートで、一年後に \(14\) フィートになる。成長の速度が速いのはどちらだろうか?

この章ではrateという言葉が何度も使われる。この言葉は救貧税poor rate水道料金water rateとは関係がない (ただこういった言葉であっても、計算には \(1\) ポンド当たりの比が利用される)。また出生率birth rate死亡率death rateという言葉はそれぞれ千人当たりの新生児と死亡者の数を表すが、これらも今考えている「率」とは関係がない。自動車が私たちの近くをビュンと通り抜けるとき、「恐ろしい速さterrific rateだ!」と私たちは言う。あるいは大変な浪費家が湯水のごとく金を使うとき、その若者を指して「並外れたprodigious rate金の使い方だ」などと言う。このような “rate” は何を意味しているのだろうか? 実は両方の場合において、起こっていることと起こるのにかかる時間の比較が頭の中で行われている。例えば私たちの前を自動車が \(1\) 秒に \(10\) ヤード進む速さで通り抜けたなら、これは ──同じ速度で \(1\) 時間進むとして── \(1\) 時間で \(20\) マイル進むに等しい。

毎秒 \(10\) ヤードの速度と毎分 \(600\) ヤードの速度が等しいとは何を意味しているのだろうか? \(10\) ヤードと \(600\) ヤードは等しくないし、\(1\) 秒と \(1\) 分も等しくない。速度という “rate” が等しいとは、走行距離を走行した時間で割った比率が等しいと言っているのである。

他の例を考えよう。数ポンドしか持っていない男であっても、一年に数百万ポンドの速度で金を使うことはできる ──その速度を維持できるのは数分間だけだが。男が \(1\) シリングの商品をカウンターに持って行って、会計がちょうど \(1\) 秒で終わったとしよう。この \(1\) 秒間の会計の間、彼は毎秒 \(1\) シリングで金を使うことになる。この速度は毎分 \(3\) ポンド、毎時 \(180\) ポンド、毎日 \(4320\) ポンド、毎年 \(1{,}576{,}800\) ポンドである! ただしポケットに入っているのが \(10\) ポンドなら、毎年 \(100\) 万ポンドの速度で金を使えるのはわずか \(5\) 分 \(15\) 秒に過ぎない1

サンディはロンドンに到着して \(5\) 分足らずで「\(6\) ペンスをすっからかんに“bang went saxpence”」したという。もし彼がこの速度で毎日 ──例えば一日 \(12\) 時間── 金を使い続けたとしたら、一時間で \(6\) シリング、一日で \(3\) ポンド \(12\) シリング、一週間で \(21\) ポンド \(12\) シリングを使うことになる。ただし安息日は金を使わないものとする2

では、この考え方を微分の記法を使って表すことを考えよう。

\(y\) がこの話における金額を表し、\(t\) が時間を表すとする。

今まさに金を使っているとすれば、ある短い時間 \(dt\) の間に使った金額は \(dy\) という記号で表され、金を使う速度は \(\dfrac{dy}{dt}\) となる (ここでは \(dy\) が \(y\) の増加量ではなく減少量を意味しているので、速度は \(-\dfrac{dy}{dt}\) とした方がいいかもしれない)。ただ金銭は連続的な流れではなく飛び飛びの値として増加または減少するので、微積分の例として適していない ──年に \(200\) ポンドの収入があったとしても少量の金額が常に手に入り続けるわけではなく、一週間ごと、一か月ごと、あるいは四半期ごとにまとまった金額が得られる。また支出も一度の支払いとして出て行く。

rate」という概念に適した例は移動する物体の速さを考えると得られる。ロンドン (ユーストン駅) とリバプールは \(200\) マイル離れている。ロンドンを \(7\) 時に出発した列車が \(11\) 時にリバプールに到着したとすれば、\(200\) マイルを \(4\) 時間で走ったこの列車の平均の速さは毎時 \(50\) マイルとなる: \(\dfrac{200}{4} = \dfrac{50}{1}\) だからである。この計算では走った距離と走るのにかかった時間を比較し、距離を時間で割っている。全体の距離を \(y\) として全体の時間を \(t\) とすれば、平均の速さは \(\dfrac{y}{t}\) となる。ところで速さは常に一定なわけではない: 出発した直後や到着する直前には遅くなるし、下り坂では毎時 \(60\) マイルを超えるだろう。もし特定の時間 \(dt\) で列車が動いた距離を \(dy\) とすれば、その区間における速さは \(\dfrac{dy}{dt}\) と表せる。何らかの量 (この例では速さ) の他の量 (この例では時間) に対する変化率は、片方の量に関するもう一つの量の微分係数が示されれば完全に分かる。科学的な言葉を使えば、速度 (velocity) は非常に小さな区間を物体が通過するときの位置の変化率であり、速度 \(v\) は次の式で表せる: \[ v = \dfrac{dy}{dt} \]

速度 \(v\) が常に同じでないなら、速度は増加または減少する。速度の増加率を加速度 (acceleration) と呼ぶ。移動する物体がある特定の時刻において時間 \(dt\) の間に速度が \(dv\) だけ増加したなら、その時刻における加速度 \(a\) は \[ a = \dfrac{dv}{dt} \] となる。ところで \(dv\) は \(\dfrac{dy}{dt}\) だから、この式は \[ a = \frac{d\left( \dfrac{dy}{dt} \right)}{dt} \] と表せる。通常この式を \(a = \dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\) と表記することは前に触れた。つまり加速度は距離の時間に関する二次微分係数である。加速度はその時刻における単位時間当たりの速度の変化であり、単位はフィート毎秒毎秒 (\(\text{feet} ÷ \text{second}^{2}\)) となる。

列車が出発した直後には \(v\) は非常に小さいが、それからエンジンの力で加速し、速度を増していく。この間 \(\dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\) は大きな値となる。列車が最高速度に達すると加速は止まり、\(\dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\) は減少して \(0\) となる。終着駅に近づくと列車は速度を落とし、ブレーキがかかると一気に速度が遅くなる。列車が減速するとき速度は減少し、\(\dfrac{dv}{dt}\) つまり \(\dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\) の値は負となる。

質量 \(m\) の物体を加速させるには、物体に絶え間なく (force) を与える必要がある。物体を加速させるのに必要な力はその質量に比例し、生じる加速度にも比例する。つまり力を \(f\) とすれば次が成り立つ (どれも同じ関係を表す): \[ \begin{aligned} f &= ma \\ f &= m \frac{dv}{dt} \\ f &= m \frac{d^{2}y}{dt^{2}} \end{aligned} \]

物体と質量と速度の積を運動量 (momentum) と呼び、\(mv\) と表す。運動量を時間に関して微分した \(\dfrac{d(mv)}{dt}\) は運動量の変化率を意味する。質量 \(m\) は定数だから、この式は \(m \dfrac{dv}{dt}\) に等しく、上の式における \(f\) と等しくなる。つまり力は質量と加速度の積と表すこともできるし、運動量の変化率と表すこともできる。

さらに力が物体を (大きさが同じで逆方向の反作用に抗って) 動かすと、力は物体に対して仕事 (work) を及ぼす。仕事の大きさは物体に働く力と移動距離の積に等しい。つまり力 \(f\) が物体を \(y\) だけ前に押したとすれば、そのときの仕事 \(w\) は \[ w = f \times y \] と表される。ただしここでは力 \(f\) は定数と仮定している。もし長さ \(y\) の区間内で力が変化するなら、各点における力を表す式を見つけなければならない。さて力 \(f\) が物体を小区間 \(dy\) だけ移動させるとき物体に及ぼす仕事は \(f \times dy\) だが、\(dy\) は小区間に過ぎないから、この仕事は全体の仕事の一部でしかない。仕事 \(w\) の一部は \(dw\) であり、 \[ dw = f \times dy \] が成り立つ。これを書き換えれば \[ \begin{aligned} dw &= ma\cdot dy \\ dw &= m \frac{d^{2}y}{dt^{2}}\cdot dy \\ dw &= m \frac{dv}{dt}\cdot dy \end{aligned} \] を得る。また最初の式からは \[ \frac{dw}{dy} = f \] が分かる。

この式はの三つ目の定義を与える。つまり力が物体をいずれかの方向に移動させたなら、(その方向の)力の大きさは単位長当たりの仕事の変化率に等しい。この文における「率」は時間と関係なく、比や割合といった意味だけを持つ。

アイザック・ニュートン卿はライプニッツと並んで微積分を発明したことで知られる。彼は変化する値を流れる値 (flowing value) と呼び、今日私たちが微分係数と呼ぶ値を流率 (rate of flowing) あるいは流動 (fluxion) と呼んだ。ライプニッツは今と同じ \(dy,\ \) \(dx,\ \) \(dt\) といった記法を使ったが、ニュートンはこれとは異なる独自の記法を使っており、変化する値 (“流れる値”) \(y\) の変化率 (“流動”) を \(\dot{y}\) と表した。しかしこの記法を使うと、微分をどの独立変数に関して行うかが分からなくなってしまう。\(\dfrac{dy}{dx}\) と書いてあれば \(y\) が \(x\) に関して微分されているのだと分かる。しかし \(\dot{y}\) と書かれているだけだと、これが意味するのが \(\dfrac{dy}{dx}\) か \(\dfrac{dy}{dt}\) かそれとも \(\dfrac{dy}{dz}\) か、あるいは全く別の変数に関する微分を表しているかが文脈に頼らない限り判断できない。ニュートンが使ったこの「流動」の記法は微分の記法より持っている情報が少ないので、今ではほとんど使われていない。ただ時間を独立変数とみなすと前もって決めておけば、この記法を使うと式の見た目が綺麗になって使いやすいという場合もある。この場合には \(\dot{y}\) が \(\dfrac{dy}{dt}\) を表し、\(\dot{u}\) は \(\dfrac{du}{dt}\) を、\(\ddot{x}\) は \(\dfrac{d^{2}x}{dt^{2}}\) を表す。

「流動」の記法を使えば、上で考えた力学方程式は次のように表せる: \[ \begin{aligned} {\footnotesize \text{距離}} &\quad x \\ {\footnotesize \text{速度}} &\quad v = \dot{x} \\ {\footnotesize \text{加速度}} &\quad a = \dot{v} = \ddot{x} \\ {\footnotesize \text{力}} &\quad f = m\dot{v} = m\ddot{x} \\ {\footnotesize \text{仕事}} &\quad w = x \times m \ddot{x} \end{aligned} \]

\(\text{(1)}\) 運動する物体の固定された点 \(O\) からの移動距離を \(x\) インチ、ある瞬間からの経過時間を \(t\) 秒とすると \(x = 0.2t^{2} + 10.4\) が成り立つ。運動を開始して \(5\) 秒後の速度と加速度を求めよ。移動距離が \(100\) フィートのときの速度と加速度を求め、さらに運動開始後 \(10\) 秒間の平均速度を求めよ (運動と距離は右方向を正とする)。

問題の設定から次の関係が分かる: \[ \begin{aligned} x &= 0.2t^{2} + 10.4, \\ v &= \dot{x} = \frac{dx}{dt} = 0.4t, \\ a &= \ddot{x} = \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = 0.4 = {\footnotesize \text{定数}} \end{aligned} \]

\(t = 0\) のとき \(x = 10.4\) および \(v = 0\) だから、物体の運動は \(O\) から右に \(10.4\) フィート行った地点から始まり、運動が始まる瞬間から時間が計測されたことが分かる。

\(t = 5\) のとき \(v = 0.4 \times 5 = 2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) および \(a = 0.4\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}^{2}\) となる。

\(x = 100\) なら \(100 = 0.2t^{2} + 10.4\) つまり \(t^{2} = 448\) となる。ここから \(t = 21.17\, {\footnotesize\text{秒}}\) および \(v = 0.4 \times 21.17 = 8.468\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) が分かる。

\(t = 10\) とすれば \[ \begin{aligned} {\footnotesize \text{移動距離}} &= 0.2 \times 10^{2} + 10.4 - 10.4 = 20\, {\footnotesize\text{フィート}} \\ {\footnotesize \text{平均速度}} &= \dfrac{20}{10} = 2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}} \end{aligned} \] が分かる。この場合には考えている時間の区間の中点 \(t = 5\) における速度が平均速度と同じになる。加速度が一定なので、速度が \(t = 0\) の \(0\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) から \(t = 10\) の \(4\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) まで一定の速度で増加するためである。

\(\text{(2)}\) 前問と同じ問題を次の設定に対して考える: \[ \begin{gathered} x = 0.2t^{2} + 3t + 10.4 \end{gathered} \]

設定から \[ \begin{aligned} v &= \dot{x} = \dfrac{dx}{dt} = 0.4t + 3,\\ a &= \ddot{x} = \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = 0.4 = {\footnotesize \text{定数}} \end{aligned} \] が分かる。\(t = 0\) のとき \(x = 10.4,\ \) \(v = 3\) だから、物体が点 \(O\) から \(10.4\) フィート右に行った地点を通過した瞬間から時間の計測が始まり、物体はその時点で毎時 \(3\) フィートの速度を持っている。物体が運動を開始してからの経過時間を求めるには \(v = 0\) を代入すればよい。すると \(0.4t + 3 = 0\) となって \(t= -\dfrac{3}{4} = -7.5\, {\footnotesize\text{秒}}\) が得られ、物体は時間の計測が開始される \(7.5\) 秒前に運動を始めたと分かる。運動を始めてから \(5\) 秒後は \(t = -2.5\) であり、このとき \(v = 0.4 \times -2.5 + 3 = 2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) となる。

\(x = 100\, {\footnotesize\text{フィート}}\)とすれば \[ 100 = 0.2t^{2} + 3t + 10.4 \] つまり \[ t^{2} + 15t - 448 = 0 \] であり、ここから \(t = 14.95\, {\footnotesize\text{秒}}\) そして \(v = 0.4 \times 14.95 + 3 = 8.98\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) が分かる。

運動の最初の \(10\) 秒間で移動した距離を求めるには、運動を始めた時点における物体と \(O\) の距離を知る必要がある。

\(t = -7.5\) を代入すれば \[ x = 0.2 \times (-7.5)^{2} - 3 \times 7.5 + 10.4 = -0.85\, {\footnotesize\text{フィート}} \] を得る。つまり物体は運動開始時点で点 \(O\) から左に \(0.85\) フィートの地点にあった。

そして \(t = 2.5\) では \[ x = 0.2 \times 2.5^{2} + 3 \times 2.5 + 10.4 = 19.15 \] だから、\(10\) 秒間の移動距離は \(19.15 + 0.85 = 20\) フィートとなる。さらに \[ {\footnotesize \text{平均速度}} = \dfrac{20}{10} = 2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}} \] と計算できる。

\(\text{(3)}\) 計測を開始してから \(t\) 秒の物体の距離が \(x = 0.2t^{2} - 3t + 10.4\) で与えられるとして同じ問題を考えよう。

このとき \(v = 0.4t - 3\) および \(a = 0.4 = {\footnotesize \text{一定}}\) となる。\(t = 0\) なら \(x = 10.4\) であり、これは一つ前の例と変わらない。一方 \(t = 0\) で \(v = -3\) だから、最初物体は一つ前の例とは反対方向に運動する。このとき加速度は正だから物体はそれから減速し、\(v = 0\) つまり \(0.4t - 3 = 0,\ \) \(t = 7.5\) のとき運動を停止する。その後は速度は正となり、運動を始めてから \(5\) 秒後つまり \(t = 12.5\) では \[ v = 0.4 \times 12.5 - 3 = 2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}} \] となる。

\(x = 100\) のとき \[ 100 = 0.2t^{2} - 3t + 10.4 \] つまり \[ t^{2} - 15t - 448 = 0 \] であり、ここから \[ t = 29.95\, {\footnotesize\text{秒}},\quad v = 0.4 \times 29.95 - 3 = 8.98\, {\footnotesize\text{フィート/秒}} \] が分かる。

\(v\) が \(0\) のとき \(x = 0.2 \times 7.5^{2} - 3 \times 7.5 + 10.4 = -0.85\) だから、物体は点 \(O\) から \(0.85\) フィート後ろに行った地点で停止すると分かる。それから \(10\) 秒後には \[ \begin{aligned} t &= 17.5 \\ x &= 0.2 \times 17.5^{2} - 3 \times 17.5 + 10.4 = 19.15 \\ {\footnotesize \text{移動距離}} &= 0.85 + 19.15 = 20.0 \end{aligned} \] が成り立つ。この間の平均速度は \(2\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) で一つ前の例と変わらない。

\(\text{(4)}\) さらに \(x = 0.2t^{3} - 3t^{2} + 10.4,\ \) \(v = 0.6t^{2} - 6t,\ \) \(a = 1.2t - 6\) の場合を考える。この場合には加速度が一定でない。

\(t = 0\) で \(x = 10.4,\ \) \(v = 0,\ \) \(a = -6\) が成り立つ。物体は運動していないものの負の方向に加速しており、点 \(O\) に向かって速度を得る。

\(\text{(5)}\) 最後に \(x = 0.2t^{3} - 3t + 10.4\) を考える。このとき \(v = 0.6t^{2} - 3\) および \(a = 1.2t\) となる。

この設定では \(t = 0\) で \(x = 10.4,\ \) \(v = -3,\ \) \(a = 0\) が成り立つ。

つまり時間を計測を開始したとき物体は \(O\) に向かって \(3\, {\footnotesize\text{フィート/秒}}\) という速度で移動しており、この瞬間には速度が一定である。

運動に関する条件が時間と距離に関する方程式の一次導関数および二次導関数からすぐに導けることが分かる。また最後の二つの例では、最初の \(10\) 秒間の平均速度が \(5\) 秒後の速度と同じにならない。加速度が定数でないために、速度の増加が一定でないためである。

\(\text{(7)}\) 車輪の回転角 \(\theta\) (ラジアン)が \(\theta = 3 + 2t - 0.1t^{3}\) で与えられる。ここで \(t\) は特定の瞬間からの経過時間を表す。時間の計測を始めてから \(1\) 秒後および車輪が一周した瞬間における角速度 \(\omega\) と角加速度 \(\alpha\) を求めよ。車輪の運動が止まるのはいつで、それまでに車輪はどれほど回転するか?

速度と加速度を求める: \[ \omega = \dot{\theta} = \dfrac{d\theta}{dt} = 2 - 0.3t^{2},\quad \alpha = \ddot{\theta} = \dfrac{d^{2}\theta}{dt^{2}} = -0.6t \] よって \(t = 0\) では \(\theta = 3\, {\footnotesize\text{ラジアン}},\ \) \(\omega = 2\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}},\ \) \(\alpha = 0\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}}^{2}\) となる。

車輪が \(1\) 回転した時点では \[ \theta = 2\pi = 6.28 = 3 + 2t - 0.1t^{3} \] が成り立つ。\(\theta = 3 + 2t - 0.1t^{3}\) のグラフを描くと \(\theta = 6.28\) となる \(t\) の値が得られる: \(2.11\) と \(3.03\) である (これ以外にもう一つ負の値がある)。

\(t = 2.11\) とすると \[ \begin{gathered} \theta = 6.28\, {\footnotesize\text{ラジアン}},\quad \omega = 2 - 1.34 = 0.66\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}}, \\ \alpha = -1.27\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}}^{2} \end{gathered} \] が分かり、\(t = 3.03\) とすると次が分かる: \[ \begin{gathered} \theta = 6.28\, {\footnotesize\text{ラジアン}},\quad \omega = 2 - 2.754 = -0.754\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}}, \\ \alpha = -1.82\, {\footnotesize\text{ラジアン/秒}}^{2} \end{gathered} \]

この二つの時点で速度の符号が逆転しているから、この間には車輪が運動を止める瞬間が存在する。このとき \(\omega = 0\) で、\(0 = 2 - 0.3t^{3}\) つまり \(t = 2.58\, {\footnotesize\text{秒}}\) が成り立つ。さらにこの瞬間、車輪は \[ \frac{\theta}{2\pi} = \frac{3 + 2 \times 2.58 - 0.1 \times 2.58^{3}}{6.28} = 1.025\, {\footnotesize\text{回転}} \] だけ回転している。

練習問題 V

解答はここにある。

\(\text{(1)}\) \(y = a + bt^{2} + ct^{4}\) のとき \(\dfrac{dy}{dt}\) と \(\dfrac{d^{2}y}{dt^{2}}\) を求めよ。 \[ {\footnotesize \text{答:}} \quad \dfrac{dy}{dt} = 2bt + 4ct^{3},\quad \dfrac{d^{2}y}{dt^{2}} = 2b + 12ct^{2} \]

\(\text{(2)}\) 自由落下する物体が \(t\) 秒間に進む距離を \(s\) フィートとすると、方程式 \(s = 16t^{2}\) が成り立つという。\(s\) と \(t\) の関係を示す曲線を描け。また落下を開始した時点を \(t = 0\) としたときの \(t = 2,\ \) \(4.6,\ \) \(0.01\) における物体の速度を求めよ。

\(\text{(3)}\) \(x = at - \dfrac{1}{2}gt^{2}\) のとき \(\dot{x}\) と \(\ddot{x}\) を求めよ。

\(\text{(4)}\) 物体が次の方程式に従って運動している: \[ s = 12 - 4.5t + 6.2t^{2} \] \(t = 4\, {\footnotesize\text{秒}}\) における速度を求めよ。\(s\) の単位はフィートとする。

\(\text{(5)}\) 前問の物体の加速度を求めよ。加速度は全ての \(t\) に対して一定か?

\(\text{(6)}\) ある車輪の回転角 \(\theta\) (ラジアン) と運動開始からの秒数 \(t\) が次の式で結び付いている: \[ \theta = 2.1 - 3.2t + 4.8t^{2} \] 運動開始から \(\dfrac{3}{2}\) 秒後の車輪の角速度 (ラジアン/秒) と角加速度 (ラジアン/秒\(^{2}\)) を求めよ。

\(\text{(7)}\) スライダーが移動しており、運動開始地点からの距離 \(s\) (インチ) が運動開始からの秒数 \(t\) を使って次の式で表される: \[ s = 6.8t^{3} - 10.8t \] 任意の瞬間における速度と加速度と求め、\(3\) 秒後の速度と加速度を計算せよ。

\(\text{(8)}\) 空に向かって上昇する風船の高さ \(h\) が \(h = 0.5 + \dfrac{1}{10}\sqrt[3]{t-125}\) と表される。\(t\) は秒数を表す。

任意の時点の速度と加速度を求める式を求めよ。最初の十分間における風船の高さ・速度・加速度の変化を示す曲線を描け。

\(\text{(9)}\) 石を水面に向かって落とすと、水面に触れてから \(t\) 秒後の石の深さ \(p\) (メートル) が次の式で表される: \[ p = \frac{4}{4+t^{2}} + 0.8t - 1 \] 任意の時点における位置の速度と加速度を表す式を求め、水面に触れてから \(10\) 秒後の速度と加速度を計算せよ。

\((10)\) 物体が運動しており、運動開始から \(t\) 秒後の位置が \(s = t^{n}\) と表される (\(n\) は定数)。\(5\) 秒後から \(10\) 秒後までの間で速度が倍になるような \(n\) を求めよ。さらに \(10\) 秒後に速度と加速度の大きさが同じになるような \(n\) を求めよ。


  1. 訳注: \(1\) ポンドは \(20\) シリングに等しく、\(1\) シリングは \(12\) ペンスに等しい。[return]

  2. 訳注: この話は「スコットランド出身のけちな田舎者がロンドンに出かけたが、\(6\) ペンス使っただけですぐに逃げ帰ってきた」というジョークを元にしている。ただし元ネタ (https://archive.org/details/punch54a55lemouoft/page/235/mode/1up) とは登場人物の名前と滞在時間が異なる。[return]