XIII. その他の微分テクニック

部分分数分解

分数の形をした関数の微分は比較的面倒な操作であり、微分する分数が単純な形でない限り結果は複雑な式となることをこれまでに見た。もし分数を二つ以上のより単純な分数の和に分解できるなら、その単純な分数をそれぞれ微分してから足すことで元の関数の微分を求められる。分解された単純な分数の微分は比較的単純な式となるが、それらの和はもちろん最初の関数をそのまま微分した (複雑な) 式と等しい。つまりこのテクニックを使えば分数の微分を単純な形で簡単に求められる。

この手続きについてさらに考えよう。まずいくつかの分数を足す処理があるが、これは難しくない。例えば二つの分数 \(\dfrac{1}{x+1}\) と \(\dfrac{2}{x-1}\) が与えられれば、中学生なら誰でも和 \(\dfrac{3x+1}{x^{2}-1}\) を計算できる。三つ以上の分数についても同様である。次にこれと逆の処理がある: 分数が与えられたときに、足すとそれに等しくなるより単純な複数の分数を求める処理 (部分分数分解) である。任意の分数に対して部分分数分解を行う方法を今の私たちは知らない。特別な場合についてこの分解を求める方法をこれから説明するが、この方法は和の分数が “真” 分数である場合に限って行えることに注意する必要がある。真分数とは上で示した \(\dfrac{3x+1}{x^{2}-1}\) のように分子の次数が分母の次数よりも小さい分数のことを言う。つまりこの方法を使うときには、分子の \(x\) についている最大の指数が分母の \(x\) についている最大の指数より小さいことを確認しなければならない。この条件を満たさない \(\dfrac{x^{2}+2}{x^{2}-1}\) のような分数を扱うときには、割り算を行って \(1+\dfrac{3}{x^{2}-1}\) と単純化すればよい。\(\dfrac{3}{x^{2}-1}\) は真分数だから、これから説明する部分分数への分解を適用できる。

ケース 1: 分母に \(x\) の項だけが含まれ \(x^{2}\) や \(x^{3}\) といった高次の項が含まれない分数をいくつか足すと、その和の分母は必ず足した分数の分母の積となる。つまり分解する分数の分母が \(x\) と実数だけからなる因数の積である場合、その分母を因数分解することで足された分数 (見つけようとしている分数) の分母が求まる。

例として \(\dfrac{3x+1}{x^{2}-1}\) を考えよう。答は \(\dfrac{1}{x+1}\) と \(\dfrac{2}{x-1}\) である。この答を知らなくても、次のように書ける: \[ \frac{3x+1}{x^{2}-1} = \frac{3x+1}{(x+1)(x-1)} = \frac{}{x+1} + \frac{}{x-1} \] 答の分子は分からないので空白にしておく。また部分分数の符号はと定める。負にしても構わないが、分子の符号が反転したものが求まるだけで問題としては何も変わらない。さて部分分数はどれも分数だから、分子には \(x\) が表れない。そこで部分分数の分子を表す実数を \(A,\ \) \(B\) とする。このとき \[ \frac{3x+1}{x^{2}-1} = \frac{A}{x+1} + \frac{B}{x-1} \] が成り立つ。

右辺にある二つの部分分数の和を計算すると \(\dfrac{A(x-1)+B(x+1)}{(x+1)(x-1)}\) であり、これが \(\dfrac{3x+1}{(x+1)(x-1)}\) と等しい。二つの分数の分母は等しいから、分子も等しい。よって \[ 3x + 1 = A(x-1) + B(x + 1) \] を得る。

この等式には \(A\) と \(B\) という二つの変数が含まれるから、この二つの変数の値を求めるには等式がもう一つ必要だと思うかもしれない。しかしその必要はない。この等式は全ての \(x\) で成り立つから、\(x - 1\) や \(x + 1\) が \(0\) となる \(x\) でも成り立つ。つまり \(x = 1\) と \(x = -1\) である。\(x = 1\) とすれば \(4 = (A \times 0)+(B \times 2)\) より \(B=2\) が得られ、\(x = -1\) とすれば \(-2 = A \times (-2) + B \times (0)\) より \(A = 1\) が得られる。こうして求まる \(A\) と \(B\) を元の部分分数に代入すれば、\(\dfrac{1}{x+1}\) と \(\dfrac{2}{x-1}\) が答だと分かる。

もう一つの例として \(\dfrac{4x^{2} + 2x - 14}{x^{3} + 3x^{2} - x - 3}\) を考える。分母は \(x = 1\) を代入すると \(0\) になるから、\(x - 1\) を因数に持つ。分母を \(x - 1\) で割れば \(x^{2} + 4x + 3\) であり、これは \((x + 1)(x + 3)\) と因数分解できる。よってこの分数は三つの部分分数を使って次のように書ける: \[ \frac{4x^{2} + 2x - 14}{x^{3} + 3x^{2} - x - 3} = \frac{A}{x+1} + \frac{B}{x-1} + \frac{C}{x+3} \]

前と同様に計算すれば \[ 4x^{2} + 2x - 14 = A(x-1)(x+3) + B(x+1)(x+3) + C(x+1)(x-1) \] を得る。\(x = 1\) とすれば \[ -8 = (A \times 0) + B(2 \times 4) + (C \times 0)\quad {\footnotesize \text{よって}}\quad B = -1 \] \(x = -1\) とすれば \[ -12 = A(-2 \times 2) + (B \times 0) + (C \times 0)\quad {\footnotesize \text{よって}}\quad A = 3 \] \(x = -3\) とすれば \[ 16 = (A \times 0) + (B \times 0) + C(-2 \times -4);\quad {\footnotesize \text{よって}}\quad C = 2 \] をそれぞれ得る。

以上より部分分数への分解は \[ \frac{3}{x+1} - \frac{1}{x-1} + \frac{2}{x+3} \] だと分かる。この式の方が元の式よりも微分しやすいのは明らかである。

ケース 2: 分解する分数の分母の因数に \(x^{2}\) の項が含まれ、その項を簡単な形の因数に分解できないとする。このとき対応する部分分数の分子には実数だけではなく \(x\) の項が表れる可能性があるので、分子は \(A\) ではなく \(Ax + B\) とする必要がある。この点以外は一つ目のケースと変わらない。

例えば \(\dfrac{-x^{2} - 3}{(x^{2}+1)(x+1)}\) では \[ \frac{-x^{2} - 3}{(x^{2}+1)(x+1)} = \frac{Ax+B}{x^{2}+1} + \frac{C}{x+1} \] であり、 \[ -x^{2} - 3 = (Ax + B)(x+1) + C(x^{2}+1) \] が成り立つ。

\(x = -1\) とすれば \(-4 = C \times 2\) つまり \(C = -2\) を得る。よって \[ \begin{aligned} -x^{2} - 3 &= (Ax + B)(x + 1) - 2x^{2} - 2 \\ {\footnotesize \text{つまり}}\qquad x^{2} - 1 &= Ax(x+1) + B(x+1) \end{aligned} \] となる。\(x = 0\) とすれば \(-1 = B\) を得る。ここから \[ \begin{aligned} x^{2} - 1 &= Ax(x + 1) - x - 1 \\ x^{2} + x &= Ax(x+1) \\ x+1 &= A(x+1) \end{aligned} \] が分かるから、\(A = 1\) である。以上より部分分数分解 \[ \frac{x-1}{x^{2}+1} - \frac{2}{x+1} \] を得る。

別の例として分数 \(\dfrac{x^{3}-2}{(x^{2}+1)(x^{2}+2)}\) を考える。これまでと同様に \[ \begin{aligned} \frac{x^{3}-2}{(x^{2}+1)(x^{2}+2)} &= \frac{Ax+B}{x^{2}+1} + \frac{Cx+D}{x^{2}+2} \\ &= \frac{(Ax+B)(x^{2}+2)+(Cx+D)(x^{2}+1)}{(x^{2}+1)(x^{2}+2)} \end{aligned} \] が分かる。

この場合には \(A,\ \) \(B,\ \) \(C,\ \) \(D\) を求める問題がこれまでほど簡単ではないが、次のように考えると簡単に解ける: 部分分数を足した分数と最初の分数は等しく、さらに同じ分母を持つから、分子も同一となる。そのため今考えているような代数式では、任意の \(\bm{x}\) のべきの項が等しい係数を持つ

したがって \[ \begin{aligned} x^{3}-2 &= (Ax+B)(x^{2}+2) + (Cx+D)(x^{2}+1) \\ &= (A+C)x^{3} + (B+D)x^{2} + (2A+C)x + 2B+D \end{aligned} \] より \(1 = A + C,\ \) \(0 = B + D,\ \) \(0 = 2A + C,\ \) \(-2 = 2B + D\) が分かる (左辺に存在しない項の係数は \(0\) となる)。この四つの等式から \(A = -1,\ \) \(B = -2,\ \) \(C = 2,\ \) \(D = 0\) となり、求める部分分数分解 \(\dfrac{2(x+1)}{x^{2}+2} - \dfrac{x+2}{x^{2}+1}\) が分かる。この方法を使えば必ず解を求められるが、因数に \(x\) の項だけが表れる場合には最初に示した方法を使った方が簡単に求まる。

ケース 3: 分解する分数の分母の因数に二次以上のべきがある場合には、そのべきまでの全てのべきを部分分数の分母として考えに入れる必要がある。例えば \(\dfrac{3x^{2}-2x+1}{(x+1)^{2}(x-2)}\) を分解するときには、部分分数の分母として \((x + 1)^{2}\) と \(x - 2\) に加えて \(x + 1\) も用意しなければならない。

このとき分母が \((x + 1)^{2}\) の部分分数の分子が \(x\) の項を含むと考えて、分子を \(Ax + b\) としたくなるかもしれない。すると \[ \frac{3x^{2} - 2x + 1}{(x+1)^{2}(x-2)} = \frac{Ax+B}{(x+1)^{2}} + \frac{C}{x+1} + \frac{D}{x-2} \] となるが、この等式からは \(A,\ \) \(B,\ \) \(C,\ \) \(D\) を計算できない。変数は四つあるのに対して等式は三つしか得られないからである。一方で \[ \frac{3x^{2} - 2x + 1}{(x+1)^{2}(x-2)} = \frac{x-1}{(x+1)^{2}} + \frac{1}{x+1} + \frac{1}{x-2} \] は成り立っている。

代わりに \[ \frac{3x^{2} - 2x + 1}{(x+1)^{2}(x-2)} = \frac{A}{(x+1)^{2}} + \frac{B}{x+1} + \frac{C}{x-2} \] とすれば \[ 3x^{2} - 2x+1 = A(x-2) + B(x+1)(x-2) + C(x+1)^{2} \] が得られ、\(x = 2\) とすれば \(C = 1\) が分かる。\(C\) に \(2\) を代入して整理し、両辺を \(x - 2\) で割れば \(-2x = A + B(x + 1)\) となり、これに \(x = -1\) を代入すれば \(A = -2\) が分かる。さらに \(A\) に \(-2\) を代入すると \[ 2x = -2+B(x+1) \] となる。よって \(B = 2\) であり、部分分数への分解は \[ \frac{2}{x+1} - \frac{2}{(x+1)^{2}} + \frac{1}{x-2} \] だと分かる。一方で \(\dfrac{1}{x+1} + \dfrac{x-1}{(x+1)^{2}} + \dfrac{1}{x-2}\) も \(\dfrac{3x^{2}-2x+1}{(x+1)^{2}(x-2)}\) になると前に示したが、これはどういうことだろうか? このパラドックスを解く鍵は、\(\dfrac{x-1}{(x+1)^{2}}\) という分数が \(\dfrac{1}{x+1} - \dfrac{2}{(x+1)^{2}}\) という二つの分数へとさらに分解できる点にある。つまり二つ目の分解は実際には \[ \frac{1}{x+1} + \frac{1}{x+1} - \frac{2}{(x+1)^{2}} + \frac{1}{x-2} = \frac{2}{x+1} - \frac{2}{(x+1)^{2}} + \frac{1}{x-2} \] であり、一つ目の分解と等しい。

よって分母の因数に二次以上のべきがある分数を分解するときには、分子として実数の項だけを考えれば最終的な分解が得られると分かる。

ただ分解する分数の分母に \(x^{2}\) を含む項の二次以上のべきが表れるときには、部分分数の分子は \(Ax + B\) でなければならない。例えば \[ \frac{3x-1}{(2x^{2}-1)^{2}(x+1)} = \frac{Ax+B}{(2x^{2}-1)^{2}} + \frac{Cx+D}{2x^{2}-1} + \frac{E}{x+1} \] とする必要があり、このとき次が分かる: \[ 3x - 1 = (Ax + B)(x + 1) + (Cx + D)(x + 1)(2x^{2} - 1) + E(2x^{2} - 1)^{2} \]

\(x = -1\) とすれば \(E = -4\) を得る。代入して整理し、\(x = 1\) で割ると \[ 16x^{3} - 16x^{2} + 3 = 2Cx^{3} + 2Dx^{2} + x(A - C) + (B - D) \] となる。よって \(2C = 16\) すなわち \(C = 8\) および \(2D = -16\) すなわち \(D = -8\) であり、さらに \(A - C = 0\) からは \(A - 8 = 0\) すなわち \(A = 8\) が、\(B - D = 3\) からは \(B = -5\) が分かる。以上より次の部分分数分解が得られる: \[ \frac{8x - 5}{(2x^{2} - 1)^{2}} + \frac{8(x - 1)}{2x^{2} - 1} - \frac{4}{x + 1} \]

得られた結果の正しさを確認しておこう。\(x\) に適当な値を代入すると簡単に行える。例えば \(1\) を代入して、部分分数への分解と元の分数の値を計算すればよい。

分解する分数の分母が単一の因数のべきだけの場合には、次の方法で非常に簡単に分解を求められる。例として \(\dfrac{4x + 1}{(x + 1)^{3}}\) を考える。\(x + 1 = z\) とすると \(x = z - 1\) だから、元の分数に代入すると \[ \frac{4(z - 1) + 1}{z^{3}} = \frac{4z - 3}{z^{3}} = \frac{4}{z^{2}} - \frac{3}{z^{3}} \] が分かる。よって部分分数への分解は \[ \frac{4}{(x + 1)^{2}} - \frac{3}{(x + 1)^{3}} \] である。

微分への応用: \(y = \dfrac{5-4x}{6x^{2} + 7x - 3}\) を微分したいとする。そのまま計算すれば \[ \begin{aligned} \frac{dy}{dx} &= -\frac{(6x^{2}+7x-3) \times 4 + (5 - 4x)(12x + 7)}{(6x^{2} + 7x - 3)^{2}}\\ &= \frac{24x^{2} - 60x - 23}{(6x^{2} + 7x - 3)^{2}} \end{aligned} \] が分かる。

一方で与えられた関数を部分分数に分解すれば \[ \frac{1}{3x-1} - \frac{2}{2x+3} \] であり、ここから \[ \frac{dy}{dx} = -\frac{3}{(3x-1)^{2}} + \frac{4}{(2x+3)^{2}} \] という分解した形の微分結果が得られる。微分してから分解を行うと、もっと複雑な計算が必要になる。後で分数の積分を考えるときには、部分分数への分解が非常に有用なテクニックとなる。

練習問題 XI

部分分数へ分解せよ:

\(\text{(1)}\) \(\dfrac{3x + 5}{(x - 3)(x + 4)}\) \(\ \)
\(\text{(2)}\) \(\dfrac{3x - 4}{(x - 1)(x - 2)}\) \(\ \)
\(\text{(3)}\) \(\dfrac{3x + 5}{x^{2} + x - 12}\) \(\ \)
\(\text{(4)}\) \(\dfrac{x + 1}{x^{2} - 7x + 12}\) \(\ \)
\(\text{(5)}\) \(\dfrac{x - 8}{(2x + 3)(3x - 2)}\) \(\ \)
\(\text{(6)}\) \(\dfrac{x^{2} - 13x + 26}{(x - 2)(x - 3)(x - 4)}\) \(\ \)
\(\text{(7)}\) \(\dfrac{x^{2} - 3x + 1}{(x - 1)(x + 2)(x - 3)}\) \(\ \)
\(\text{(8)}\) \(\dfrac{5x^{2} + 7x + 1}{(2x + 1)(3x - 2)(3x + 1)}\) \(\ \)
\(\text{(9)}\) \(\dfrac{x^{2}}{x^{3} - 1}\) \(\ \)
\(\text{(10)}\) \(\dfrac{x^{4} + 1}{x^{3} + 1}\) \(\ \)
\(\text{(11)}\) \(\dfrac{5x^{2} + 6x + 4}{(x +1)(x^{2} + x + 1)}\) \(\ \)
\(\text{(12)}\) \(\dfrac{x}{(x - 1)(x - 2)^{2}}\) \(\ \)
\(\text{(13)}\) \(\dfrac{x}{(x^{2} - 1)(x + 1)}\) \(\ \)
\(\text{(14)}\) \(\dfrac{x + 3}{ (x +2)^{2}(x - 1)}\) \(\ \)
\(\text{(15)}\) \(\dfrac{3x^{2} + 2x + 1}{(x + 2)(x^{2} + x + 1)^{2}}\) \(\ \)
\(\text{(16)}\) \(\dfrac{5x^{2} + 8x - 12}{(x + 4)^{3}}\) \(\ \)
\(\text{(17)}\) \(\dfrac{7x^{2} + 9x - 1}{(3x - 2)^{4}}\) \(\ \)
\(\text{(18)}\) \(\dfrac{x^{2}}{(x^{3} - 8)(x - 2)}\) \(\ \)

解答はここにある。

逆関数の微分

関数 \(y = 3x\) は \(x = \dfrac{y}{3}\) とも表せる。このように変形して得られる関数を、元の関数の逆関数 (inverse function) と呼ぶ。

\(y = 3x\) なら \(\dfrac{dy}{dx} = 3\) であり、\(x = \dfrac{y}{3}\) なら \(\dfrac{dx}{dy} = \dfrac{1}{3}\) である。つまりこの例では \[ \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\ \dfrac{dx}{dy}\ },\quad \frac{dy}{dx} \times \frac{dx}{dy} = 1 \] が成り立っている。

次に \(y= 4x^{2},\ \) \(\dfrac{dy}{dx} = 8x\) を考える。逆関数は \[ x = \frac{y^{\frac{1}{2}}}{2} \] より \[ \frac{dx}{dy} = \frac{1}{4\sqrt{y}} = \frac{1}{4 \times 2x} = \frac{1}{8x} \] だから、ここでも \[ \frac{dy}{dx}×\frac{dx}{dy} = 1 \] が成り立っている。

一般に、逆関数を求められる任意の関数で次の等式が成り立つことが示せる: \[ \frac{dy}{dx} \times \frac{dx}{dy} = 1,\quad \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\ \dfrac{dx}{dy}\ } \]

微分すべき関数よりもその逆関数を簡単に微分できる場合にはこの等式を使うことができ、逆関数の微分係数の逆数が元の関数の微分係数と等しくなる。

例えば \(y=\sqrt{\dfrac{3}{x}-1}\) を微分したいとする。一つの方法は \(u = \dfrac{3}{x} - 1\) として \(\dfrac{dy}{du}\) と \(\dfrac{du}{dx}\) の計算を通して求めるというものであり、 \[ \frac{dy}{dx} = -\frac{3}{2x^{2}\sqrt{\dfrac{3}{x} -1}} \] が得られる。

この方法を忘れてしまった場合、あるいは他の方法で微分を求めて結果を確認したい場合、もしくは何らかの理由で通常の方法を使えない場合には、次の方法で微分を計算できる: 逆関数は \(x=\dfrac{3}{1+y^{2}}\) だから、 \[ \frac{dx}{dy} = -\frac{3 \times 2y}{(1+y^{2})^{2}} = -\frac{6y}{(1+y^{2})^{2}} \] となる。ここから \[ \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\ \dfrac{dx}{dy}\ } = -\frac{(1+y^{2})^{2}}{6y} = -\frac{\left(1+\dfrac{3}{x} -1\right)^{2}}{6×\sqrt{\dfrac{3}{x}-1}} = -\frac{3}{2x^{2}\sqrt{\dfrac{3}{x}-1}} \] が分かる。

次は \(y=\dfrac{1}{\sqrt[3]{\theta +5}}\) を考えよう。

逆関数は \(\theta=\dfrac{1}{y^{3}}-5\) つまり \(\theta=y^{-3}-5\) だから、 \[ \frac{d\theta}{dy} = -3y^{-4} = -3\sqrt[3]{(\theta + 5)^{4}} \] となる。よって \(\dfrac{dy}{d \theta} = -\dfrac{1}{3\sqrt{(\theta +5)^{4}}}\) が分かる。この結果は他の方法を使っても計算できる。

このテクニックは後の章で使うことになる。今のところは、練習問題 I の 5, 6, 7 や第九章の例 1, 2, 4 および 練習問題 VI の 1, 2, 3 の結果をこの方法で確認し、やり方に慣れておくとよい。

この章と前章の内容から、微積分が理論scienceというよりも技法artであることに読者は気が付いたことだろう。他の技法と同じように、微積分の技法は練習によってのみ習得できる。様々なテクニックが手になじむまで、多くの例題を理解し多くの練習問題を自分で解かなくてはならない。



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