問題: ネットワーク同士の接続

これまで見てきたように、少量のノードを接続したり、ラストマイルのリンクを構築したりするためのテクノロジは数多く存在する。しかし地球規模のグローバルなネットワークを構築するにはどうすればよいだろうか? 単一のイーサネットが相互接続できるホストは最大 1024 台で、ポイントツーポイントリンクが接続できるホストはわずか 2 台に過ぎない。また、無線ネットワークは電波信号が届く距離によって制限される。グローバルなネットワークを構築するには、こういった異なる種類のリンクと多元接続ネットワークを相互接続する手段が必要になる。異なる種類のネットワークを相互接続して地球規模の巨大なネットワークを作るという考え方はインターネットの中心にあるアイデアであり、インターネットワーキング (internetworking) と呼ばれる。

インターネットワーキングの問題はいくつかの小問題に分割できる。まず、リンクを相互接続する手段が必要になる。同じ種類のリンクを相互接続するデバイスは スイッチ (swtich) あるいは L2 スイッチ (L2 switch) と呼ばれる場合が多い。こういったデバイスは本章で最初に議論される。現在利用されている L2 スイッチの中でも特に重要なのが、イーサネットセグメントを相互接続するスイッチである。そういったスイッチはブリッジ (bridge) と呼ばれることもある。

スイッチの主な仕事は、入力に届いたパケットを適切な目的地に届くよう正しい出力に転送 (スイッチ) することである。パケットを転送すべき「正しい」出力先を決める方法はいくつも考えられ、大まかに分けるとコネクションレスのアプローチとコネクション指向のアプローチに分類できる。長年の研究の中で、この二つのアプローチの両方に対して重要な応用分野が見つかっている。

ネットワークには膨大な種類が存在するので、異種のネットワークおよびリンクを相互接続する (不均一性に対処する) 手段も必要になる。このタスクを実行するデバイスはかつてゲートウェイ (gateway) と呼ばれたものの、現在ではルーター (router) あるいは L3 スイッチ (L3 switch) と呼ばれる。異種のネットワークを相互接続するために考案されたインターネットプロトコル (Internet Protocol, IP) は第 2 節のトピックとなる。

大量のリンクとネットワークをスイッチとルーターで相互接続した場合、あるノードから別のノードに到達する経路が数多く存在する可能性が高い。ネットワーク内の適切な経路 (ルート) を見つける問題はネットワーク分野における基礎的な問題の一つである。経路は効率的で (必要より長くなく)、ループを持たず、ネットワークが静的でない事実に対応できる必要がある ── ノードが故障あるいは再起動したり、リンクが破損したり、新しいノードやリンクが追加されたりする可能性がある。第 3 節では経路探索の問題を解決するために開発されたアルゴリズムやプロトコルをいくつか見る。

スイッチングとルーティングの問題を理解したら、次はそういった機能を実行する何らかのデバイスが必要になる。本章の最後ではスイッチとルーターの実装方法を議論する。多くのパケットスイッチとルーターは汎用のコンピューターによく似ているものの、より特殊化された設計が利用される場合も多くある。これはハイエンド製品で特に当てはまる。インターネットの中心部において、止まることなく増加を続けるトラフィック負荷を処理できるだけのスイッチング容量に対する需要は決して止むことがないように思える。

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