§229 一般化された双曲線関数

例 87.19 で実数 \(\zeta\) に対する \(\cosh \zeta\) と \(\sinh \zeta\) を次の等式で定義した: \[ \cosh\zeta = \dfrac{1}{2} \{\exp \zeta + \exp (-\zeta)\},\quad \sinh\zeta = \dfrac{1}{2} \{\exp \zeta - \exp (-\zeta)\} \qquad \text{(1)} \]

ここまでの知識を使えばこの定義を複素数変数に対して拡張できる。つまり \(\text{(1)}\) を実数および複素数の全ての \(\zeta\) に対する \(\cosh \zeta\) と \(\sinh \zeta\) の定義とする。次の関係は簡単に確認できるだろう: \[ \cos i\zeta = \cosh \zeta,\quad \sin i\zeta = i\sinh \zeta,\quad \cosh i\zeta = \cos \zeta,\quad \sinh i\zeta = i\sin \zeta \]

\(\cos 2\zeta = \cos^{2} \zeta - \sin^{2} \zeta\) といった初等的な三角関数の公式は \(\zeta\) が複素数でも正しい。よって \(\cos \zeta\) を \(\cos i\zeta\) として、\(\sin \zeta\) を \(\sin i\zeta\) として、\(\cos 2\zeta\) を \(\cos 2i\zeta\) とした式も正しい。言い換えると \(\cos \zeta\) を \(\cosh \zeta\) として、\(\sin \zeta\) を \(i \sinh \zeta\) として、\(\cos 2\zeta\) を \(\cosh 2\zeta\) とした \[ \cosh 2\zeta = \cosh^{2} \zeta + \sinh^{2} \zeta \] が成り立つ。同様の変換は任意の三角関数の恒等式に適用できる。例 87.21 で示した三角関数と双曲線関数の間の対応関係を説明するのはこの事実である。