§53 \(n\) が大きいときの \(n\) の関数の性質 (その 1)

§50§51 で考えた「\(n\) の関数」に戻る。\(n\) の関数は第二章で考えた \(x\) の関数と様々な点で異なるが、共通する基礎的な性質が一つある: 関数の値が定義される変数の値を集めると無限クラスになる。これからの議論の基礎となるのがこの事実であり、次章で見るようにこの議論は \(x\) の関数に対しても適用できる。

\(\phi(n)\) を任意の \(n\) の関数、\(P\) を \(\phi(n)\) に関する任意の性質 (例えば「正の整数である」や「\(1\) より大きい」など) とする。\(n = 1,\ 2,\ 3,\ \ldots\) のそれぞれについて \(\phi(n)\) が性質 \(P\) を持つかどうかを考えると、次の三つの可能性がある:

  1. 全ての \(n\) または有限個の例外を除いた全ての \(n\) で \(\phi(n)\) が性質 \(P\) を持つ。
  2. 全ての \(n\) または有限個の例外を除いた全ての \(n\) で \(\phi(n)\) が性質 \(P\) を持たない。
  3. (a) でも (b) でもない。

(b) が成り立つなら \(\phi(n)\) が成り立つ \(n\) の値は有限クラスを構成し、(a) が成り立つなら \(\phi(n)\) が成り立たない \(n\) の値は有限クラスを構成する。三番目の場合にはどちらも無限クラスになる。具体的な例を考えよう。

  1. \(\phi(n) = n\) で \(P\) が「正の整数である」なら、全ての \(n\) について \(\phi(n)\) は性質 \(P\) を持つ。 これに対して \(P\) を「\(1000\) 以上の正の整数である」とすれば、\(\phi(n)\) は有限個の例外を除いた全ての \(n\) で成り立つ。例外は \(1,\ 2,\ 3,\ \ldots,\ 999\) である。いずれの場合でも (a) が成り立つ。
  2. \(\phi(n) = n\) で \(P\) が「\(1000\) より小さい」なら、(b) が成り立つ。
  3. \(\phi(n) = n\) で \(P\) が「奇数である」なら、(c) が成り立つ。\(n\) が奇数なら \(\phi(n)\) は奇数、\(n\) が偶数なら \(\phi(n)\) は偶数であり、偶数の \(n\) と奇数の \(n\) はどちらも無限クラスを構成するためである。

次の各ケースについて、(a), (b), (c) のどれが成り立つか答えよ:

  1. \(\phi(n) = n\) で \(P\) は「完全平方数である」
  2. \(n\) 番目の素数を \(p_{n}\) として \(\phi(n) = p_{n}\) で \(P\) は「奇数である」
  3. \(\phi(n) = p_{n}\) で \(P\) は「偶数である」
  4. \(\phi(n) = p_{n}\) で \(P\) は「\(\phi(n) \gt n\)」
  5. \(\phi(n) = 1 - (-1)^{n}(1/n)\) で \(P\) は「\(\phi(n) \lt 1\)」
  6. \(\phi(n) = 1 - (-1)^{n}(1/n)\) で \(P\) は「\(\phi(n) \lt 2\)」
  7. \(\phi(n) = 1000\{1 + (-1)^{n}\}/n\) で \(P\) は「\(\phi(n)\lt 1\)」
  8. \(\phi(n) = 1/n\) で \(P\) は「\(\phi(n) \lt .001\)」
  9. \(\phi(n) = (-1)^{n}/n\) で \(P\) は「\(|\phi(n)| \lt .001\)」
  10. \(\phi(n) = 10000/n\) または \((-1)^{n}10000/n\) で \(P\) は「\(\phi(n) \lt .001\)」または「\(|\phi(n)| \lt .001\)」のどちらか
  11. \(\phi(n) = (n - 1)/(n + 1)\) で \(P\) は「\(1 - \phi(n) \lt .0001\)」