§77 無限級数に関する定理

これから無限級数を扱うときには、次の一般的な定理を利用できる場面に多く遭遇する:

  1. \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) が収束して和が \(s\) なら、\(a + u_{1} + u_{2} + \cdots\) は収束して和は \(a + s\) となる。同様に \(a + b + c + \cdots + k + u_{1} + u_{2} + \cdots\) は収束して和は \(a + b + c + \cdots + k + s\) となる。

  2. \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) が収束して和が \(s\) なら、\(u_{m+1} + u_{m+2} + \cdots\) は収束して和は \[ s - u_{1} - u_{2} - \cdots - u_{m} \] となる。

  3. (1) および (2) で最初の級数が発散もしくは振動するなら、後の級数も同じ振る舞いをする。

  4. \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) が収束して和が \(s\) なら、\(ku_{1} + ku_{2} + \cdots\) は収束して和は \(ks\) となる。

  5. (4) で最初の級数が発散もしくは振動するなら、\(k = 0\) でない限り後の級数も同じ振る舞いをする。

  6. \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) と \(v_{1} + v_{2} + \cdots\) がどちらも収束するなら級数 \((u_{1} + v_{1}) + (u_{2} + v_{2}) + \cdots\) も収束し、和は元の二つの級数の和を足したものに等しい。

以上の定理は全て、収束の定義や §63§66 の結果を和 \(s_{n} = u_{1} + u_{2} + \cdots + u_{n}\) に適用すれば得られる。次の定理は異なる特徴を持つ:

  1. \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) が収束するなら \(\lim u_{n} = 0\) が成り立つ。

    この定理の逆も正しく、\(\lim u_{n} = 0\) なら級数 \(\sum u_{n}\) も収束するだろうと思うかもしれない。しかし簡単な例を使えばこれが正しくないと示せる。級数 \[ 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \cdots \] では \(u_{n} = 1/n\) であり、最初の四項の和は \[ 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} \gt 1 + \frac{1}{2} + \frac{2}{4} = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \] を満たす。次の四つの項の和では \(\frac{1}{5} + \frac{1}{6} + \frac{1}{7} + \frac{1}{8} \gt \frac{4}{8} = \frac{1}{2}\) であり、その次の八項の和も \(\frac{8}{16} = \frac{1}{2}\) より大きい。以降同様なので、最初の \[ 4 + 4 + 8 + 16 + \cdots + 2^{n} = 2^{n+1} \] 項の和が \[ 2 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{2} = \frac{1}{2} (n + 3) \] より大きいと示せる。これは \(n\) と共にいくらでも大きくなるので、級数は \(+\infty\) に発散する。

  2. \(u_{1} + u_{2} + u_{3} + \cdots\) が収束するなら、この級数の項を括弧でくくってできる任意の級数も収束し、和は元の級数と等しい。

    この定理の証明は読者に任せる。なおここでも逆は正しくない。例えば \(1 - 1 + 1 - 1 + \cdots\) は振動するが、 \[ (1 - 1) + (1 - 1) + \cdots \] つまり \(0 + 0 + 0 + \cdots\) は \(0\) に収束する。

  3. 全ての \(u_{n}\) が正または \(0\) なら、\(\sum u_{n}\) は収束するか、そうでなければ \(+\infty\) に発散する。そして収束するなら和は正である (全ての項が \(0\) の場合は除く。この場合の和はもちろん \(0\) となる)。

    \(s_{n}\) は §69 の意味で \(n\) の増加関数だから、この節の結果を \(s_{n}\) に適用できる。

  4. 全ての項 \(u_{n}\) が正または \(0\) とする。\(\sum u_{n}\) が収束するための必要十分条件は、任意個の項の和が \(K\) 以下となるような実数 \(K\) を見つけられることである。そのとき級数の和は \(K\) 以下となる。

    これも §69 の定理から直ちに従う。言うまでもなく \(u_{n}\) が全て正であるという条件が満たされないならこの結果は成り立たない。例えば \[ 1 - 1 + 1 - 1 + \cdots \] は振動するが、\(s_{n}\) は \(1\) と \(0\) を交互に取る。

  5. 二つの級数 \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) と \(v_{1} + v_{2} + \cdots\) の項が全て正または \(0\) だとする。ある定数 \(K\) に対して全ての \(n\) で \(u_{n} \leq Kv_{n}\) なら、二つ目の級数が収束するとき最初の級数も収束する。そのとき最初の級数の和は二番目の級数の和の \(K\) 倍以下となる。

    \(v_{1} + v_{2} + \cdots = t\) なら全ての \(n\) に対して \(v_{1} + v_{2} + \cdots + v_{n} \leq t\) であり、ここから \(u_{1} + u_{2} + \cdots + u_{n} \leq Kt\) となって定理が証明できる。

    逆に \(\sum u_{n}\) が発散して \(v_{n} \geq Ku_{n}\) なら \(\sum v_{n}\) も発散する。



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