§99 実変数関数の連続性 (その 2)

前節で示した連続性の定義は次のように図示できる。二つの水平な直線 \(y = \phi(\xi) - \varepsilon\) と \(y = \phi(\xi) + \varepsilon\) を描く。すると不等式 \(|\phi(x) - \phi(\xi)| \lt \varepsilon\) は \(x\) に対応する曲線上の点がこの二つの直線の間にあることを意味する。同様に不等式 \(|x - \xi| \leq \delta\) は \(x\) が区間 \([\xi - \delta, \xi + \delta]\) にあることを意味する。つまり連続性の定義は、二つの水平な直線を描いたときにその幅がどれだけ小さくとも、曲線を二つの垂直な直線で切って、その切り取られた曲線全体が二つの水平な直線の間に収まるようにできることを意味する。これは 図 29 の曲線 \(C\) でも正しい (\(\xi\) をどこに取っても構わない)。

図 30

ここからは様々な関数の連続性を個別に議論する。第二章ではこの結果の一部を仮定していた。

例 37
  1. とある点で連続な二つの関数の和と積は、同じ点で連続となる。また商も分母が \(0\) にならない限り連続となる。 [例 35.1 から直ちに従う]

  2. 全ての多項式は全ての \(x\) で連続である。全ての有理関数は分母が \(0\) になる \(x\) を除いた全ての \(x\) で連続である。 [例 35.6 を使う]

  3. \(\sqrt{x}\) は全ての正の \(x\) で連続である (例 35.8)。\(x \lt 0\) のときには定義されないが、\(x = 0\) では §98 の最後で定めた意味で連続となる。正整数 \(m\) と正の偶数 \(n\) に対する \(x^{m/n}\) でも同じことが成り立つ。

  4. 奇数 \(n\) に対する \(x^{m/n}\) は全ての \(x\) で連続である。

  5. \(1/x\) は \(x = 0\) で連続でない。\(1/x\) は \(x = 0\) で値を持たず、さらに \(x \to 0\) のときの極限も持たない。具体的には \(x \to +0\) なら \(1/x \to +\infty\) で、\(x \to -0\) なら \(1/x \to -\infty\) となる。

  6. \(m,\ n\) を正整数とする。\(x^{-m/n}\) の \(x = 0\) における連続性を調べよ。

  7. 有理関数の標準形 \(R(x) = P(x)/Q(x)\) は \(Q(x) = 0\) の根 \(a\) で不連続となる。例えば \((x^{2} + 1)/(x^{2} - 3x + 2)\) は \(x = 1\) で不連続である。有理関数が不連続となる点を考えると、(a) \(x\) でその値は定義されず、かつ (b) \(x\) がその値に近づくとき、どちらから近づいても \(+\infty\) または \(-\infty\) となる。こういった種類の不連続点を関数の無限点 (infinity) と呼ぶことがある。この “無限点” は私たちが普通に扱う関数において最もよく登場する不連続性である。

  8. 次の関数の連続性を調べよ: \[ \sqrt{(x - a)(b - x)},\quad \sqrt[3]{(x - a)(b - x)}, \] \[ \sqrt{(x - a)/(b - x)},\quad \sqrt[3]{(x - a)/(b - x)} \]

  9. \(\sin x\) と \(\cos x\) は全ての \(x\) で連続である。

    [次の等式が成り立つ: \[ \sin(x + h) - \sin x = 2\sin \dfrac{1}{2}h \cos(x + \dfrac{1}{2}h) \] これは \(h\) の絶対値より小さい]

  10. \(\tan x,\ \cot x,\ \sec x,\ \cosec x\) が連続および不連続となる \(x\) の値は何か?

  11. \(f(y)\) が \(y = \eta\) で連続とする。\(x\) の連続関数 \(\phi(x)\) が \(\phi(\xi) = \eta\) を満たすなら、\(f(\phi(x))\) は \(x = \xi\) で連続となる。

  12. \(\phi(x)\) が全ての \(x\) で連続なら、\(\phi(x)\) の多項式 (例えば \(a\{\phi(x)\}^{m} + \cdots\)) も連続となる。

  13. 次の関数の連続性を調べよ: \[ \frac{1}{a\cos^{2} x + b\sin^{2} x},\quad \sqrt{2 + \cos x}, \quad \sqrt{1 + \sin x},\quad \frac{1}{\sqrt{1 + \sin x}} \]

  14. \(\sin \dfrac{1}{x},\ x\sin \dfrac{1}{x},\ x^{2}\sin \dfrac{1}{x}\) はどれも \(x = 0\) 以外で連続である。

  15. \(x \neq 0\) で \(x\sin \dfrac{1}{x}\) と等しく \(x = 0\) で \(0\) となる関数は全ての \(x\) で連続である。

  16. \([x]\) と \(x - [x]\) は整数の \(x\) で不連続となる。

  17. 関数 \([x^{2}],\ [\sqrt{x}\,],\ \sqrt{x - [x]},\ [x] + \sqrt{x - [x]},\ [2x],\ [x] + [-x]\) が不連続となる \(x\) の値は何か (それとも全ての \(x\) で連続か)?

  18. 不連続性の分類: ここまでの例から、不連続にもいくつか種類があることが分かる。

    1. 左および右から \(x\) が \(a\) に向かうとき \(\phi(x)\) が極限を持つ場合がある。§95 で説明したようにこの二つの極限は \(\phi(a - 0)\) と \(\phi(a + 0)\) と表記される。連続性のための必要十分条件は、\(\phi(x)\) が \(x = a\) て定義されてかつ \(\phi(a - 0) = \phi(a) = \phi(a + 0)\) となることである。不連続性が生じるケースが二つある。

      1. \(\phi(a - 0)\) と \(\phi(a + 0)\) が一致しても、\(\phi(a)\) が定義されない、もしくは \(\phi(a)\) が \(\phi(a - 0)\) および \(\phi(a + 0)\) と異なる。例えば \(\phi(x) = x \sin(1/x)\) で \(a = 0\) だと \(\phi(0 - 0) = \phi(0 + 0) = 0\) となるが、\(x = 0\) で \(\phi(x)\) が定義されない。あるいは \(\phi(x) = [1 - x^{2}]\) で \(a = 0\) だと \(\phi(0 - 0) = \phi(0 + 0) = 0\) だが \(\phi(0) = 1\) となる。

      2. \(\phi(a - 0)\) と \(\phi(a + 0)\) が一致しない。このとき \(\phi(a)\) は極限のどちらかに等しいか、いずれとも等しくないか、定義されないかである。\(\phi(x) = [x]\) とすると \(\phi(0 - 0) = -1,\ \phi(0 + 0) = \phi(0) = 0\) となって最初のケースが得られる。\(\phi(x) = [x] - [-x]\) とすると \(\phi(0 - 0) = -1,\ \phi(0 + 0) = 1,\ \phi(0) = 0\) となって二つ目のケースとなる。\(\phi(x) = [x] + x\sin(1/x)\) とすれば \(\phi(0 - 0)= -1,\ \phi(0 + 0) = 0\) かつ \(\phi(x)\) が定義されず、三つ目のケースとなる。

      この二つの場合には、\(\phi(x)\) が \(x = a\) で単純な不連続性 (simple discontinuity) を持つと言う。この二つに加えて、\(\phi(x)\) が \(x = a\) より左または右でしか定義されない状況で \(\phi(a - 0)\) または \(\phi(a + 0)\) が存在するものの \(x = a\) で \(\phi(x)\) が定義されないか極限と値が異なる場合も単純な不連続性を持つと言う。

      §95 からは、\(x = a\) の近傍で単調増加または単調減少の関数が \(x = a\) で不連続だったとしても、それは単純な不連続性にしかならないことが容易に分かる。

    2. \(\phi(a - 0)\) と \(\phi(a + 0)\) のどちらかあるいは両方が存在せず、極限が存在しない方向から \(x\) が \(a\) に向かうとき \(\phi(x)\) が \(+\infty\) または \(-\infty\) に向かうという場合もある。このとき \(x\) がどの方向から \(a\) に近づいてたとしても \(\phi(x)\) は極限・\( +\infty\)・\(-\infty\) のいずれかに向かう。例えば \(\phi(x) = 1/x\) や \(\phi(x) = 1/x^{2}\) で \(a = 0\) とするとこのケースとなる。このとき \(\phi(x)\) は \(x = a\) で無限点 (infinity) だと言う (参考: 問題 7)。(1) と同様に、\(a\) に片側から近づくと \(\phi(x) \to +\infty\) または \(\phi(x) \to -\infty\) で、反対側では \(\phi(x)\) が定義されないという状況もこのケースに含める。

    3. 不連続点が単純な不連続性を持たず無限点でもない場合、その点は振動する不連続性 (oscillatory discontinuity) を持つと言う。例えば \(\sin(1/x)\) や \((1/x)\sin(1/x)\) は \(x = 0\) で振動する不連続性を持つ。

  19. 次の関数の \(x = 0\) における不連続性の性質を調べよ: \[ \frac{\sin x}{x},\quad [x] + [-x],\quad \cosec x,\quad \sqrt{\frac{1}{x}},\quad \sqrt[3]{\frac{1}{x}}, \quad \cosec\frac{1}{x},\quad \frac{\sin\frac{1}{x}}{\sin\frac{1}{x}} \]

  20. \(x\) が無理数なら \(0\) で有理数なら \(1\) の関数 (例 16.10) は全ての \(x\) で不連続である。有理数に対してだけ定義された関数も全ての \(x\) に対して不連続である。

  21. \(x\) が無理数のとき \(x\) で、有理数 \(p/q\) なら \(\sqrt{(1 + p^{2})/(1 + q^{2})}\) の関数 (例 16.11) は正および負の有理数で不連続だが、正の無理数で連続となる。

  22. 例 31 で考えた関数が不連続となる点を求めよ。その不連続点の性質は何か? [例として問題 5 の関数 \(y = \lim x^{n}\) を考える。\(y\) は \(-1 \lt x \leq 1\) でしか定義されず、\(-1 \lt x \lt 1\) では \(0\)、\(x = 1\) では \(1\) となる。よって \(x = 1\) と \(x = -1\) が単純な不連続性を持つ]