§146 平面曲線の長さ

直線でない曲線の長さは、実は面積よりも難しい概念となる。図 44 において \(P_{0}P\) が有限の長さ \(S(x)\) を持つという仮定からは (面積で行ったような) 満足行く議論が行えない。そもそも \(S(x)\) が連続である、つまり \(\lim\{S(P') - S(P)\} = 0\) であることさえ証明できない。図 44 ではこれが明らかに成り立つように思えるが、図 44a ではそうとも言えない。実は曲線の長さが意味するものを注意深く解析しない限り、いくらかでも厳密さを持った議論は行えない。

ただ曲線の長さを表すがどのような形にならなければならないかは簡単に分かる。曲線が接線を持ち、その傾きが連続的に変化すると仮定する。このとき \(\phi'(x)\) は連続となる。すると曲線が長さを持つという仮定から \[ \frac{S(x + h) - S(x)}{h} = \frac{\{PP'\}}{h} = \frac{PP'}{h} × \frac{\{PP'\}}{PP'} \] が分かる。ここで \(\{PP'\}\) は弦 \(PP'\) に対応する弧の長さを表す。さて \[ PP' = \sqrt{PR^{2} + {RP'}^{2}} = h\sqrt{1 + \frac{k^{2}}{h^{2}}} \] だから、\(x\) と \(x + h\) の間にある \(\xi\) で \[ k = \phi(x + h) - \phi(x) = h\phi'(\xi) \] が成り立つ。よって \[ \lim \frac{PP'}{h} = \lim \sqrt{1 + [\phi'(\xi)]^{2}} = \sqrt{1 + [\phi'(x)]^{2}} \] が分かる。加えて \[ \lim \frac{\{PP'\}}{PP'} = 1 \] を仮定すれば、 \[ S'(x) = \lim \frac{S(x + h) - S(x)}{h} = \sqrt{1 + [\phi'(x)]^{2}} \] および \[ S(x) = \int \sqrt{1 + [\phi'(x)]^{2}}\, dx \] が分かる。

例 54
  1. 放物線 \(y = \dfrac{x^{2}}{4a}\) を \(y = \xi\) で切ったときに残る部分の面積およびそれを囲む弧の長さを求めよ。

  2. 曲線 \(ay^{2} = x^{3}\) について前問と同じ問いに答えよ。弧の長さは \[ \frac{8a}{27} \left\{\left(1 + \frac{9\xi}{4a}\right)^{3/2} - 1\right\} \] となる。

  3. 円 \(x^{2} + y^{2} = a^{2},\ x^{2} + y^{2} = 2ax\) の長さと面積を §145§146 の公式を使って求めよ。

  4. 楕円 \(\dfrac{x^{2}}{a^{2}} + \dfrac{y^{2}}{b^{2}} = 1\) の面積が \(\pi ab\) だと示せ。

  5. \(y = \sin x\) と \(x\) 軸の \(x = 0\) から \(x = 2\pi\) の部分が囲む領域の面積を求めよ。 [この問題では \(\Phi(x) = -\cos x\) であり、\(x = 0\) と \(x = -2\pi\) おける \(-\cos x\) の値の差が \(0\) となる。なぜこうなるかというと、\(x = \pi\) から \(x = 2\pi\) で曲線が \(x\) 軸の下方にあるためである。つまりこの方法で計算すると、この部分の面積が負としてカウントされてしまう。\(x = 0\) から \(x = \pi\) の領域の面積は \(-\cos \pi + \cos 0 = 2\) であり、全ての部分を正としてカウントした求めるべき全体の面積はこの二倍、つまり \(4\) となる]

  6. とある曲線上の任意の点の座標が変数 \(t\) の関数として \(x = \phi(t),\ y = \psi(t)\) と表され、\(\psi(t)\) と \(\phi(t)\) が連続な導関数を持つとする。\(t\) が \(t_{0}\) から \(t_{1}\) へ動くとき \(x\) が単調に増加するなら、曲線の対応する部分と \(x\) 軸および \(x = t_{0}\) と \(x = t_{1}\) で囲まれる部分の面積が、符号を無視すれば、\(A(t_{1}) - A(t_{0})\) に等しくなると示せ。\(A(t)\) は次のように定める: \[ A(t) = \int \psi(t)\phi'(t)\, dt = \int y \frac{dx}{dt}\, dt \]

  7. \(C\) が一重のループからなる閉曲線であり、二つの軸のどちらかに平行な任意の直線が \(C\) と多くとも二回しか交わらないとする。さらに問題 6 と同様に曲線上の任意の点 \(P\) が \(t\) を使って表され、\(t\) が \(t_{0}\) から \(t_{1}\) に変化するとき \(P\) は \(C\) を同じ方向に一周して最初の点に戻るとする。\(C\) のループが囲む領域の面積が、次の積分の最初の値と最後の値の差に等しいことを示せ: \[ -\int y \frac{dx}{dt}\, dt,\quad \int x \frac{dy}{dt}\, dt,\quad \dfrac{1}{2} \int \left(x \frac{dy}{dt} - y \frac{dx}{dt}\right) dt \] もちろん差は正とする。

  8. 問題 7 の結果を使って次の曲線の面積を求めよ: \[ \text{(i) } \frac{x}{a} = \frac{1 - t^{2}}{1 + t^{2}},\quad \frac{y}{a} = \frac{2t}{1 + t^{2}},\qquad \text{(ii) } x = a\cos^{3} t,\quad y = b\sin^{3} t \]

  9. 曲線 \(x^{3} + y^{3} = 3axy\) のループの面積を求めよ。 [\(y = tx\) とすれば \(x = 3at/(1 + t^{3}),\ y = 3at^{2}/(1 + t^{3})\) が成り立つ。\(t\) が \(0\) から \(\infty\) まで変化すると、点はループを一度だけ周回する。そして \[ \begin{aligned} \dfrac{1}{2} \int \left(y \frac{dx}{dt} - x \frac{dy}{dt}\right)\, dt & = -\dfrac{1}{2} \int x^{2} \frac{d}{dt}\left(\frac{y}{x}\right)\, dt \\ & = -\dfrac{1}{2} \int \frac{9a^{2}t^{2}}{(1 + t^{3})^{2}}\, dt \\ & = \frac{3a^{2}}{2(1 + t^{3})} \end{aligned} \] は \(t \to \infty\) で \(0\) に向かう。よってループの面積は \(\frac{3}{2}a^{2}\) である]

  10. 曲線 \(x^{5} + y^{5} = 5ax^{2}y^{2}\) のループの面積を求めよ。

  11. 曲線 \(x = a\sin 2t,\ y = a\sin t\) のループの面積が \(\frac{4}{3}a^{2}\) だと示せ。

    (Math. Trip. 1908.)

  12. \(x = a\cos t,\ y = b\sin t\) で定まる楕円の \(t = t_{1}\) に対応する点から \(t = t_{2}\) に対応する点までの弧の長さは \(F(t_{2}) - F(t_{1})\) で与えられる。ここで \[ F(t) = a\int \sqrt{1 - e^{2}\sin^{2} t}\, dt \] および \(e\) を離心率とする。 [しかしこの積分を今までに出てきた関数を使って表すことはできない]

  13. 極座標: \(f(\theta)\) を \(\theta\) の一価関数をする。曲線 \(r = f(\theta)\) の \(\theta = \theta_{1}\) から \(\theta = \theta_{2}\) に対応する動径で囲まれる領域の面積が \(\displaystyle F(\theta) = \dfrac{1}{2} \int r^{2}\, d\theta\) を使って \(F(\theta_{2}) - F(\theta_{1})\) と表せること、さらに対応する弧の長さが \[ \Phi(\theta) = {\Large\int} \sqrt{r^{2} + \biggl(\frac{dr}{d\theta}\biggr)^{2}}\, d\theta \] を使って \(\Phi(\theta_{2}) - \Phi(\theta_{1})\) と表せることを示せ。

    これを使えば次の値を求められる: (i) 円 \(r = 2a\sin\theta\) の面積と周囲の長さ (ii) 放物線 \(r = \frac{1}{2}l\sec^{2} \frac{1}{2}\theta\) と通径の囲む領域の面積および対応する部分の長さ (iii) パスカルの蝸牛形 \(r = a + b\cos\theta\) の面積 (\(a \gt b,\ a = b,\ a \lt b\) の場合それぞれ) (iv) 楕円 \(1/r^{2} = a\cos^{2} \theta + 2h\cos\theta\sin\theta + b\sin^{2} \theta\) および \(l/r = 1 + e\cos\theta\) の面積。 [最後の面積の計算では積分 \(\displaystyle \int \frac{d\theta}{(1 + e\cos\theta)^{2}}\) が生じるが、これは置換 \[ (1 + e\cos\theta) (1 - e\cos\phi) = 1 - e^{2} \] を使うと計算できる (参考: 例 53.4)]

  14. 曲線 \(2\theta = \dfrac{a}{r} + \dfrac{r}{a}\) が通る点を調べ、点 \(r = a,\ \theta = 1\) で接する二つの枝と動径 \(\theta = \beta\) で囲まれる領域の面積が \(\frac{2}{3} a^{2}(\beta^{2} - 1)^{3/2}\) だと示せ。

    (Math. Trip. 1900.)

  15. 等式 \(p = f(r)\) によって定義される曲線を考える。\(r\) は動径の長さで、\(p\) は原点から接線に下ろした垂線の長さとする。曲線と二つの動径で囲まれた領域の面積の計算で \(\dfrac{1}{2} \displaystyle \int \frac{pr\, dr}{\sqrt{r^{2} - p^{2}}}\) が必要になることを示せ。