§213 対数級数

関数のべき級数への展開で重要なものにもう一つ \(\log(1 + x)\) の展開がある。等式 \[ \log(1 + x) = \int_{0}^{x} \frac{dt}{1 + t} \] と \(-1 \lt t \lt 1\) で成り立つ展開 \(1/(1 + t) = 1 - t + t^{2} - \cdots\) から、級数 \(1 - t + t^{2} - \cdots\) を項ごとに \(t = 0\) から \(t = x\) まで積分した級数 \(x - \frac{1}{2} x^{2} + \frac{1}{3} x^{3} - \cdots\) が \(\log(1 + x)\) の展開になっていると予想できる。これが実際に正しいことを示そう。 \[ \frac{1}{1 + t} = 1 - t + t^{2} - \cdots + (-1)^{m-1} t^{m-1} + \frac{(-1)^{m} t^{m}}{1 + t} \] が成り立つから、\(x \gt -1\) で \[ \log(1 + x) = \int_{0}^{x} \frac{dt}{1 + t} = x - \frac{x^{2}}{2} + \cdots + (-1)^{m-1} \frac{x^{m}}{m} + (-1)^{m} R_{m} \] が分かる。ここで \(R_{m}\) は次の通りである: \[ R_{m} = \int_{0}^{x} \frac{t^{m}\, dt}{1 + t} \]

\(m\) が \(\infty\) に向かうときの \(R_{m}\) の極限が \(0\) だと示す必要があるが、これは \(0 \lt x \leq 1\) ならほぼ自明に分かる: このとき \(R_{m}\) は正で \[ \int_{0}^{x} t^{m}\, dt = \frac{x^{m+1}}{m + 1} \] より小さい。つまり \(1/(m + 1)\) より小さい。一方で \(-1 \lt x \lt 0\) なら \(t = -u\) および \(x = -\xi\) と置換すれば \[ R_{m} = (-1)^{m} \int_{0}^{\xi} \frac{u^{m}\, du}{1 - u} \] が成り立つ。よって \(R_{m}\) は \((-1)^{m}\) と同じ符号を持つ。さらに積分区間内の \(1/(1 - u)\) の最大値は \(1/(1 - \xi)\) だから \[ 0 \lt |R_{m}| \lt \frac{1}{1 - \xi} \int_{0}^{\xi} u^{m}\, du = \frac{\xi^{m}}{(m + 1)(1 - \xi)} \lt \frac{1}{(m + 1)(1 - \xi)} \] であり、ここから \(R_{n} \to 0\) が分かる。

したがって \[ \log(1 + x) = x - \dfrac{1}{2} x^{2} + \dfrac{1}{3} x^{3} - \cdots \] が \(-1 \lt x \leq 1\) で成り立つ。\(x\) がこの区間外にあるなら級数は収束しない。また \(x = 1\) とした \[ \log 2 = 1 - \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} - \cdots \] は前に別の方法で示した (例 89.7)。