§149 テイラーの定理を使った極大値と極小値の計算

テイラーの定理を使うと §122§123 で示した極値の判定法が理論的に完全なものになる (ただしこの結果が実際に役に立つわけではない)。\(\phi(x)\) が一次と二次の導関数を持つなら、\(\phi(x)\) が \(x = \xi\) で極大となるための十分条件は \(\phi'(\xi) = 0\) かつ \(\phi''(\xi) \lt 0\) であり、極小となるための十分条件は \(\phi'(\xi) = 0\) かつ \(\phi''(\xi) \gt 0\) だった。\(\phi''(\xi)\) と \(\phi'(\xi)\) がどちらも \(0\) だとこの方法では判定できなくなる。

最初の \(n\) 個の導関数 \[ \phi'(x),\quad \phi''(x),\quad \ldots,\quad \phi^{(n)}(x) \] が連続で、\(x = \xi\) で \(\phi^{(n)}(x)\) 以外が全て \(0\) になるとする。このとき十分小さい \(h\) で \[ \phi(\xi + h) - \phi(\xi) = \frac{h^{n}}{n!} \phi^{(n)} (\xi + \theta_{n} h) \] が成り立つ。極大値または極小値が存在するためには、十分小さい全ての \(h\) でこの式の符号が一定でなければならない。ここから \(n\) は偶数だと分かる。\(n\) が偶数で \(\phi^{(n)}(\xi)\) が負なら極大値が、正なら極小値が存在する。

こうして判定法が得られる:

極大値または極小値が存在するためには、\(0\) でない値を持つ一番次数の低い導関数が偶数次なことが十分である。その値が負なら極大値が存在し、正なら極小値が存在する。

例 57
  1. この結果を \(\phi(x) = (x - a)^{m}\) に対して確かめよ。\(m\) は正の整数で、\(\xi = a\) とする。

  2. \(m\) と \(n\) を正の整数として、関数 \((x - a)^{m} (x - b)^{n}\) が \(x = a\) と \(x = b\) で極大または極小となるか判定せよ。曲線 \(y = (x - a)^{m} (x - b)^{n}\) のグラフを可能な形それぞれについて描け。

  3. 次の関数が \(x = 0\) で極大または極小となるか判定せよ: \[ \begin{aligned} & \sin x - x,\quad\sin x - x + \frac{x^{3}}{6},\quad\sin x - x + \frac{x^{3}}{6} - \frac{x^{5}}{120}, &&\ldots,\\ & \cos x - 1,\quad\cos x - 1 + \frac{x^{2}}{2},\quad\cos x - 1 + \frac{x^{2}}{2} - \frac{x^{4}}{24}, &&\ldots \end{aligned} \]



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