§69 単調増加関数

\(n\) の関数からなる特殊なクラスで特に重要なのが、\(n\) が \(\infty\) に向かうときの値の変動が常に同じ方向である関数のクラス、つまり常に増加する関数と常に減少する関数からなるクラスである。ただ \(\phi(n)\) が常に増加するなら \(-\phi(n)\) は常に減少するので、二つのケースを別々に考える必要はない。どちらかに対して証明された定理は簡単にもう一方へと拡張できる。

全ての \(n\) に対して \(\phi(n + 1) \geq \phi(n)\) なら、関数 \(\phi(n)\) は \(\bm{n}\) に関して単調増加 (increase steadily with \(n\)) だと言う。

\(\phi(n)\) がいくつかの連続する \(n\) について同じ値を取る場合は除かれていない: 除いたのは減少する場合だけである。例えば \[ \phi(n) = 2n + (-1)^{n} \] は \(n = 0,\ 1,\ 2,\ 3,\ 4,\ \ldots\ \) のときの値が \[ 1,\ 1,\ 5,\ 5,\ 9,\ 9,\ \ldots \] なので、\(n\) に関して単調増加である。さらにこの定義は、ある \(n\) の後が全て定数となる関数も除いていない: 例えば \(\phi(n) = 1\) は単調増加である。ただこういった関数は非常に特殊で \(n\) が \(\infty\) に向かうときの振る舞いも明らかなので、一見不自然に思えるこの定義に大きな問題はない。

このクラスに属する関数についてのきわめて重要な定理がある:

\(\phi(n)\) が \(n\) に関して単調増加なら、\(n\) が \(\infty\) に向かうとき \(\phi(n)\) は極限に向かうか \(\phi(n) \to +\infty\) であるかのどちらかである。

言い換えると、一般的には五つの可能性があった関数の振る舞いが、今考えている特殊な関数については二つしかない。

この定理はデデキントの定理 (§17) の単純な系である。\(\xi\) を任意の実数として、ある \(n\) (およびそれ以降の全ての \(n\)) で \(\phi(n) \geq \xi\) ならクラス \(L\) に、そうでないなら \(R\) に入れることで、実数を二つのクラスに分割する。

このとき \(L\) は確実に存在するが、\(R\) は存在しない場合がある。もし \(R\) が存在しないなら、任意の実数 \(\Delta\) について、十分大きな全ての \(n\) で \(\phi(n) \gt \Delta\) が成り立つ。つまり \[ \phi(n) \to +\infty \] となる。

一方でもし \(R\) が存在するなら、\(L\) と \(R\) は §17 の意味で実数の切断を定義する。この切断に対応する実数を \(a\) とする。\(\varepsilon\) を任意の正の実数とすると全ての \(n\) について \(\phi(n) \lt a + \varepsilon\) であり、\(\varepsilon\) は任意だから \(\phi(n) \leq a\) が分かる。一方で十分大きな \(n\) とそれ以降の全ての \(n\) で \(\phi(n) \gt a - \varepsilon\) なので、 \[ \phi(n)\to a \] が分かる。

一般には全ての \(n\) に対して \(\phi(n) \lt a\) が成り立つ: ある \(n\) で \(\phi(n)\) が \(a\) に等しいならそれ以降の全ての \(n\) で \(\phi(n) = a\) となる。つまり \(\phi(n)\) がいずれ全て \(a\) となる例外的なケースを除けば、\(\phi(n)\) が \(a\) になることはない。この場合には \(a\) が \(L\) の最大要素であり、そうでなければ \(L\) は最大要素を持たない。

\(\phi(n)\) が \(n\) に関して単調増加だとする。全ての \(n\) で \(\phi(n) \lt K\) となる \(K\) を見つけられるなら \(\phi(n)\) は極限へ向かい、見つけられないなら \(\phi(n)\) は無限大に向かう。

後で非常に有用となる系を示す:

\(\phi(n)\) が \(n\) に関して単調増加かつ全ての \(n\) に対して \(\phi(n) \lt K\) なら、\(\phi(n)\) は \(K\) 以下の極限に向かう。

極限が \(K\) となる可能性もあることに注意すべきである。例えば \(\phi(n) = 3 - (1/n)\) とすると、全ての \(\phi(n)\) は \(3\) より小さいにもかかわらず極限は \(3\) となる。

\(\phi(n)\) が \(n\) に関して単調増加で極限へ向かうなら、 \[ \phi(n) \leq \lim\phi(n) \] が全ての \(n\) に対して成り立つ。

\(n\) が大きくなるにつれて \(\phi(n)\) が小さくなる場合に対応する定理や系を自分で書いてみるとよい。