§70 単調増加関数の収束判定

上述の定理がなぜ重要かというと、この定理を使えば \(n\) の関数が \(n \to \infty\) のとき極限に向かうかどうかをあらかじめ極限を予測、推定することなく判定できる場面が非常に多いためである。これは今まで不可能だった。極限の存在とその値が分かっているなら \[ |\phi(n) - l| \lt \varepsilon\quad (n \geq n_{0}) \] という判定法が使える。例えば \(\phi(n) = 1/n\) なら、極限には \(0\) しかあり得ないとすぐに分かる。しかし \[ \phi(n) = \left(1 + \frac{1}{n}\right)^{n} \] が極限に向かうかどうかを判定するときには、極限がそもそも存在するのか、極限が存在したとしてその値は何かが分からない。そのため極限 \(l\) を使う上述の判定法は、\(l\) の存在を判定するのに全く使いものにならない。

\(l\) が存在しないことを背理法で証明するときには、この判定法を間接的に使える場合も当然ある。例えば \(\phi(n) = (-1)^{n}\) であれば、\(l\) は \(1\) と \(-1\) の両方に等しくなければならず、\(l\) は存在しないと分かる。

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