§57 \(n\) が無限大に向かうときの \(n\) の関数の挙動 (その 2)
続いて別の例を考える: \(\phi(n) = n^{2}\) とする。このとき「\(n\) が大きいとき \(n^{2}\) は大きい」が成り立つ。この命題を正確に表現すると次のようになる:
- \(\Delta\) を任意の正の整数とすると、\(\Delta\) がどれだけ大きくとも、十分大きい \(n\) で \(n^{2} \gt \Delta\) となる。
- \(n_{0}(\Delta)\) 以上の全ての \(n\) で \(n^{2} \gt \Delta\) となる \(n_{0}(\Delta)\) を見つけられる。
当然これを「\(n\) が \(\infty\) に向かうとき \(n^{2}\) は \(\infty\) に向かう」あるいは「\(n^{2}\) は \(n\) と共に \(\infty\) へ向かう」と表現し、 \[ n^2 \to \infty \] と書く。
最後に関数 \(\phi(n) = -n^{2}\) を考える。この場合 \(n\) が大きいとき \(\phi(n)\) は大きくなるが、負方向に大きくなる。このとき「\(n\) が \(\infty\) に向かうとき \(-n^{2}\) は \(-\infty\) に向かう」と言い表し、 \[ -n^{2} \to -\infty \] と書く。ここで \(-\infty\) という記号が使われるので、\(n^{2} \to \infty\) を \(n^{2} \to + \infty\) として、一般的には \(\infty\) の代わりに \(+\infty\) と書いて記号が統一させた方が分かりやすい場合もある。
ここで繰り返しになるが、上述の文において \(\infty,\ +\infty,\ -\infty\) と言った記号がそれ自体では意味を持たないことを強調しておく。これまでに説明してきた特別な使われ方をしたときに初めて意味が付与される。