§186 級数の条件収束

B: 次に二つ目の場合、つまり絶対値の級数 \(\sum \alpha_{n}\) が発散する場合を考える。

\(\sum u_{n}\) が収束して \(\sum |u_{n}|\) が発散するなら、級数 \(\sum u_{n}\) は条件収束する (converge conditionally) と言う。

\(\sum u_{n}\) が条件収束なら、§184 の \(\sum v_{n}\) と \(\sum w_{n}\) は両方とも \(\infty\) に発散する。もし両方とも収束するなら \(\sum(v_{n} + w_{n})\) つまり \(\sum \alpha_{n}\) が収束してしまう。またどちらか (例えば \(\sum w_{n}\)) が収束してもう一方 (\(\sum v_{n}\)) が発散するなら、 \[ \sum_{0}^{N} u_{n} = \sum_{0}^{N} v_{n} - \sum_{0}^{N} w_{n} \qquad \text{(1)} \] は \(N\) と共に \(\infty\) へ向かうが、これは \(\sum u_{n}\) が収束するという仮定に反する。

よって \(\sum v_{n}\) と \(\sum w_{n}\) はどちらも発散する。\(\text{(1)}\) から分かることとして、条件収束する級数の和は \(n\) と共に \(\infty\) に向かう二つの関数の差の極限となる。また収束する正項級数 (例 30.18) や絶対収束する級数 (例 77.5) とは異なり、条件収束する級数の一部を取ってできる級数が収束するとは限らない。さらに条件収束する級数がディリクレの定理が示す性質を持つことはまずなさそうに見える: §185 の証明は \(\sum v_{n}\) と \(\sum w_{n}\) の収束性を使っており、条件収束する場合には証明が最初から上手く行かない。この予想が確かに正しく、今考えている種類の級数ではこの定理が成り立たないことをこれから示そう。

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