§187 条件収束する級数に対する判定法

条件収束の判定法が §167 などで見た判定法と同じぐらい簡単で一般的になるとは考えにくい。前節 の \(\text{(1)}\) が表すように正の項と負の項が打ち消し合って収束する級数の収束判定は、正項級数の判定法より難しくなると考えるのが自然である。まず、条件収束する級数には比較判定法が使えない

\(\sum u_{n}\) の収束性から \(\sum v_{n}\) の収束性を示したいとして、 \[ v_{0} + v_{1} + \cdots + v_{n},\quad u_{0} + u_{1} + \cdots + u_{n} \] を考える。もし任意の添え字 \(i\) に対して \(u_{i}\) と \(v_{i}\) が正で \(v_{i}\) が \(u_{i}\) より小さいなら \[ v_{0} + v_{1} + \cdots + v_{n} \lt u_{0} + \cdots + u_{n} \] が成り立ち、\(\sum v_{n}\) は収束する。そうでなく \(u_{i}\) だけが正で、\(v_{i}\) が \(u_{i}\) の絶対値より小さいなら \[ |v_{0}| + |v_{1}| + \cdots + |v_{n}| \lt u_{0} + \cdots + u_{n} \] であり、\(\sum v_{n}\) は絶対収束する。しかし \(u_{i}\) と \(v_{i}\) の符号に制限がない一般的な場合には \[ |v_{0}| + |v_{1}| + \cdots + |v_{n}| \lt |u_{0}| + \cdots + |u_{n}| \] しか得られない。この不等式からは \(\sum u_{n}\) が絶対収束するなら \(\sum v_{n}\) も絶対収束すると分かるが、もし \(\sum u_{n}\) が条件収束しかしないなら、\(\sum v_{n}\) の収束性については何も分からない。

級数 \(1 - \frac{1}{2} + \frac{1}{3} - \frac{1}{4} + \cdots\) が収束することをすぐ後で示す。一方で級数 \(\frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \frac{1}{5} + \cdots\) は、各項の絶対値が収束するこの級数より小さいにも関わらず、発散する。

以上の議論から、条件収束する級数に対する判定法がこの章の前半部分で見た判定法よりずっと特殊な性質を持つのが全く当然だと分かる。



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