§175 級数 \(∑ n^{-s}\)

マクローリン (コーシー) の積分判定法の応用で圧倒的に一番重要なのは、次の級数に対する応用である: \[ 1^{-s} + 2^{-s} + 3^{-s} + \cdots + n^{-s} + \cdots \] \(s\) は適当な有理数とする。ここまでに §77例 67.14例 69.1 で \(s = 1\) ならこの級数が発散することを見た。

\(s \leq 0\) なら級数は明らかに発散する。\(s \gt 0\) なら \(n\) の増加と共に \(u_{n}\) は単調減少するので、積分判定法を適用できる。ここでは \(s \neq 1\) で \[ \Phi(\xi) = \int_{1}^{\xi} \frac{dx}{x^{s}} = \frac{\xi^{1-s} - 1}{1 - s} \] が成り立つ。\(s \gt 1\) なら \(\xi \to \infty\) で \(\xi^{1-s} \to 0\) だから \[ \Phi(\xi) \to \frac{1}{(s - 1)} = l \] となる。また \(s \lt 1\) なら \(\xi \to \infty\) で \(\xi^{1-s} \to \infty\) となる。以上の結果を次にまとめる:

級数 \(\sum n^{-s}\) は \(s \gt 1\) なら収束し、\(s \leq 1\) なら発散する。収束するなら和は \(s/(s - 1)\) より小さい。

\(s \lt 1\) でこの級数が発散するという結果は、発散することが分かっている級数 \(\sum (1/n)\) との比較を使っても得られる。

しかしそれでも、積分判定法を \(\sum (1/n)\) に適用すると判定に失敗するのを確認しておこう。 \[ \Phi(\xi) = \int_{1}^{\xi} \frac{dx}{x} \] であり、\(\xi \to \infty\) で \(\Phi(\xi) \to \infty\) となるのは簡単に示せる。\(\xi \gt 2^{n}\) なら \[ \Phi(\xi) \gt \int_{1}^{2^{n}} \frac{dx}{x} = \int_{1}^{2} \frac{dx}{x} + \int_{2}^{4} \frac{dx}{x} + \cdots + \int_{2^{n-1}}^{2^{n}} \frac{dx}{x} \] が成り立つ。\(x = 2^{r}u\) とすれば \[ \int_{2^{r}}^{2^{r+1}} \frac{dx}{x} = \int_{1}^{2} \frac{du}{u} \] だから \(\displaystyle\Phi(\xi) \gt n\int_{1}^{2} \frac{du}{u}\) であり、\(\xi \to \infty\) で \(\Phi(\xi) \to \infty\) となる。

例 71
  1. 上述と同様の議論を使って、\(s \lt 1\) なら\(\displaystyle\Phi(\xi) = \int_{1}^{\xi} \frac{dx}{x^{s}}\) が \(\xi\) と共に無限大に向かうことを積分を使わずに示せ。

  2. 級数 \(\sum n^{-2},\ \sum n^{-3/2},\ \sum n^{-11/10}\) は収束し、その和はそれぞれ \(2,\ 3,\ 11\) 以下となる。級数 \(\sum n^{-1/2},\ \sum n^{-10/11}\) は発散する。

  3. \(a \gt 0\) とする。級数 \(\sum \dfrac{n^{s}}{n^{t} + a}\) は \(t \gt 1 + s\) なら収束し、\(1 \leq 1 + s\) なら発散する。 [\(\sum n^{s-t}\) と比較する]

  4. 次の級数の収束と発散を議論せよ: \[ \sum\frac{a_{1}n^{s_{1}} + a_{2}n^{s_{2}} + \cdots + a_{k}n^{s_{k}}} {b_{1}n^{t_{1}} + b_{2}n^{t_{2}} + \cdots + b_{l}n^{t_{l}}} \] 記号は全て正で、\(s_{i}\) と \(t_{i}\) は降順に並んだ有理数とする。

  5. 次を示せ: \[ \begin{gathered} 2\sqrt{n} - 2 \lt \frac{1}{\sqrt{1}} + \frac{1}{\sqrt{2}} + \cdots + \frac{1}{\sqrt{n}} \lt 2\sqrt{n} - 1, \\ \dfrac{1}{2} \pi \lt \frac{1}{2\sqrt{1}} + \frac{1}{3\sqrt{2}} + \frac{1}{4\sqrt{3}} + \cdots \lt \dfrac{1}{2}(\pi + 1) \end{gathered} \]

    (Math. Trip. 1911.)

  6. \(\phi(n) \to l \gt 1\) なら \(\sum n^{-\phi(n)}\) は収束する。\(\phi(n) \to l \lt 1\) なら \(\sum n^{-\phi(n)}\) は発散する。