§198 \(\log x\) が満たす関数方程式
\(\log x\) は次の関数方程式を満たす: \[ f(xy) = f(x) + f(y) \qquad \text{(1)} \] 置換 \(t = yu\) を使うと \[ \begin{aligned} \log xy & = \int_{1}^{xy} \frac{dt}{t} = \int_{1/y}^{x} \frac{du}{u} = \int_{1}^{x} \frac{du}{u} - \int_{1}^{1/y} \frac{du}{u}\\ & = \log x - \log \dfrac{1}{y} = \log x + \log y \end{aligned} \] となり、この関係が証明される。
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方程式 \(\text{(1)}\) を満たす関数であって導関数が存在するものは全て対数関数と本質的に同一であることが示せる。関数方程式を \(x\) および \(y\) で微分すると \[ yf'(xy) = f'(x),\quad xf'(xy) = f'(y) \] となり、\(f'(xy)\) を消去すると \(xf'(x) = yf'(y)\) を得る。もしこの等式が全ての \(x\) と \(y\) ついて正しいなら、定数 \(C\) に対して \(xf'(x) = C\) すなわち \(f'(x) = C/x\) が成り立つ。よって \[ f(x) = \int \frac{C}{x}\, dx + C' = C\log x + C' \] であり、\(C' = 0\) も容易に分かる。つまりこの関数方程式に \(\log x\) と本質的に異なる解は存在しない。唯一の例外は \(C = 0\) のときの自明な解 \(f(x) = 0\) である。
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同様の方法で、関数方程式 \[ f(x) + f(y) = f\left(\frac{x + y}{1 - xy}\right) \] の導関数が存在する解であって \(\arctan x\) と本質的に異なるものが存在しないことを示せ。