§181 無限積分の例

§179 の式 \(\text{(4)}\) を変形すると \[ \int_{a}^{\infty} \phi(x)\, dx = \int_{b}^{c} \phi\{f(t)\}f'(t)\, dt \qquad \text{(1)} \] を得る。右辺の積分は区間 \([b, \tau]\) に対する積分の \(\tau \to c\) における極限、つまり第二種無限積分として定義される。もし \(\phi\{f(t)\}f'(t)\) が \(t = c\) を無限点として持つなら、この積分は本当に無限積分となる。例として \(1\ \lt m \lt 2\) に対する \(\phi(x) = (1 + x)^{-m}\) を考えると、\(a = 0\) および \(f(t) = 1/(1 - t)\) とすれば \(b = 0,\ c = 1\) だから、\(\text{(1)}\) は \[ \int_{0}^{\infty} \frac{dx}{(1 + x)^{m}} = \int_{0}^{1} (1 - t)^{m-2}\, dt \qquad \text{(2)} \] となる。右辺の積分は確かに第二種無限積分である。

一方で \(\phi\{f(t)\}f'(t)\) が \(t = c\) で連続になる可能性もある。このとき \[ \int_{b}^{c} \phi\{f(t)\}f'(t)\, dt \] は有限積分であり、 \[ \lim_{\tau \to c} \int_{b}^{\tau} \phi\{f(t)\}f'(t)\, dt = \int_{b}^{c} \phi\{f(t)\}f'(t)\, dt \] が §160 の \(\text{(10)}\) から分かる。つまりこの場合には置換 \(x = f(t)\) が無限積分を有限積分に変形する。先ほどの例で \(m \geq 2\) だとこの状況になる。

例 76
  1. \(\phi(x)\) が \(x = a\) を除いた点で連続で、\(x \to a\) のとき \(\phi(x) \to \infty\) とする。\(\displaystyle\int_{a}^{A} \phi(x)\, dx\) が収束するための必要十分条件は、任意の正の \(\varepsilon\) に対して \[ \int_{a+\varepsilon}^{A} \phi(x)\, dx \lt K \] を満たす定数 \(K\) が存在することである (参考: §178)。

    明らかに、\(a\) と \(A\) の間の点 \(A'\) を選んで \((a, A']\) で \(\phi(x)\) が正であるようにできる。もし \(\phi(x)\) が \([a, A]\) 全体で正なら \(A\) を \(A'\) とする。このとき \[ \int_{a+\varepsilon}^{A} \phi(x)\, dx = \int_{a+\varepsilon}^{A'} \phi(x)\, dx + \int_{A'}^{A} \phi(x)\, dx \] が成り立つ。右辺の最初の積分は \(\varepsilon\) を小さくすると大きくなるので、極限または \(\infty\) に向かう。こうすると上記の結果が分かりやすくなる。

    条件が満たされないなら \(\displaystyle\int_{a+\varepsilon}^{A} \phi(x)\, dx \to \infty\) となる。このとき積分 \(\displaystyle\int_{a}^{A} \phi(x)\, dx\) は \(+\infty\) に発散すると言う。\(x \to a + 0\) で \(\phi(x) \to \infty\) なら積分は収束するか \(\infty\) に発散するかのどちらかなのは明らかであり、\(\phi(x) \to -\infty\) でも同様のことが言える。

  2. \(s \lt 1\) なら \[ \int_{a}^{A} (x - a)^{-s}\, dx = \frac{(A - a)^{1-s}}{1 - s} \] だと示せ。\(s \geq 1\) なら積分は発散する。

  3. \(x \to a + 0\) で \(\phi(x) \to \infty\) とする。\(s \lt 1\) に対して \(\phi(x) \lt K(x - a)^{-s}\) なら \(\displaystyle\int_{a}^{A} \phi(x)\, dx\) は収束し、\(s \geq 1\) に対して \(\phi(x) \gt K(x - a)^{-s}\) なら発散する。 [これは §178 で述べた一般的な比較定理に対応する命題を特殊化したものに過ぎない]

  4. 積分 \[ \begin{gathered} \int_{a}^{A} \frac{dx}{\sqrt{(x - a)(A - x)}},\quad \int_{a}^{A} \frac{dx}{(A - x)\sqrt[3]{x - a}},\quad \int_{a}^{A} \frac{dx}{(A - x)\sqrt[3]{A - x}},\\ \int_{a}^{A} \frac{dx}{\sqrt{x^{2} - a^{2}}},\quad \int_{a}^{A} \frac{dx}{\sqrt[3]{A^{3} - x^{3}}},\quad \int_{a}^{A} \frac{dx}{x^{2} - a^{2}},\quad \int_{a}^{A} \frac{dx}{A^{3} - x^{3}} \end{gathered} \] は収束するか、それとも発散するか?

  5. 積分 \(\displaystyle \int_{-1}^{1}\frac{dx}{\sqrt[3]{x}},\quad \int_{a-1}^{a+1} \frac{dx}{\sqrt[3]{x - a}}\) は収束し、その値は \(0\) である。

  6. 積分 \(\displaystyle \int_{0}^{\pi} \frac{dx}{\sqrt{\sin x}}\) は収束する。 [被積分関数は \(x\) が上端および下端に向かうとき \(\infty\) に向かう]

  7. 積分 \(\displaystyle \int_{0}^{\pi} \frac{dx}{(\sin x)^{s}} \) は \(s \lt 1\) のときに限って収束する。

  8. \(t \lt s + 1\) なら積分 \(\displaystyle \int_{0}^{\frac{1}{2}\pi} \frac{x^{s}}{(\sin x)^{t}}\, dx \) は収束する。

  9. \(h \gt 0\) に対する \(\displaystyle \int_{0}^{h} \frac{\sin x}{x^{p}}\, dx\) は \(p \lt 2\) なら収束することを示せ。さらに \(0 \lt p \lt 2\) なら \(\displaystyle \int_{0}^{\pi} \frac{\sin x}{x^{p}} dx,\ \) \(\displaystyle \int_{\pi}^{2\pi} \frac{\sin x}{x^{p}}\, dx,\ \) \(\displaystyle \int_{2\pi}^{3\pi} \frac{\sin x}{x^{p}}\, dx,\ \ldots\) は符号を反転させながら絶対値が減少する列となることを示せ。 [\([k\pi, (k + 1)\pi]\) に対する積分を置換 \(x = k\pi + y\) で変形する]

  10. \(0 \lt p \lt 2\) に対する積分 \[ \int_{0}^{h} \frac{\sin x}{x^{p}}\, dx \] が \(h = \pi\) で最大値を取ることを示せ。

    (Math. Trip. 1911.)

  11. 積分 \(\displaystyle \int_{0}^{\frac{1}{2} \pi}(\cos x)^{l}(\sin x)^{m}\, dx\) は \(l \gt -1\) かつ \(m \gt -1\) のときに限って収束する。

  12. \(s \lt 1\) に対する \[ \int_{0}^{\infty} \frac{x^{s-1}\, dx}{1 + x} \] のような積分は、これまでの定義のどれにも当てはまらない。積分区間が無限でかつ被積分関数が \(x \to +0\) で \(\infty\) となるためである。この積分の自然な定義は \[ \int_{0}^{1} \frac{x^{s-1}\, dx}{1 + x} + \int_{1}^{\infty} \frac{x^{s-1}\, dx}{1 + x} \] となる。ただし二つの積分の収束を仮定する。

    一つ目の積分は \(0 \lt s \lt 1\) で収束する第二種無限積分で、二つ目の積分は \(s \lt 1\) で収束する第一種無限積分である。\(s \gt 1\) なら一つ目の積分は通常の有限積分となるが、二つ目の積分が発散する。よって \(0\) から \(\infty\) までの積分が収束するのは \(0 \lt s \lt 1\) のときに限る。

  13. \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{x^{s-1}}{1 + x^{t}}\, dx\) が収束するのは \(0 \lt s \lt t\) のときに限ると示せ。

  14. 積分 \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{x^{s-1} - x^{t-1}}{1 - x}\, dx\) は \(0 \lt s \lt 1\) かつ \(0 \lt t \lt 1\) のときに限って収束する。 [被積分関数は \(x = 1\) で定義されないが、\(x \to 1\) のとき \(x\) がどちらの側から \(1\) に近づいても \((x^{s-1} - x^{t-1})/(1 - x) \to t - s\) が成り立つ。つまり \(x = 1\) の値を \(t - s\) とすれば被積分関数は連続となる。

    被積分関数が積分区間内の特定の点で定義されず不連続となるものの、その点で上手く値を定めれば不連続性を取り除ける場合がある。このときには被積分関数の定義がそうなっていると仮定することが多い。例えば積分 \[ \int_{0}^{\frac{1}{2} \pi} \frac{\sin mx}{x}\, dx,\quad \int_{0}^{\frac{1}{2} \pi} \frac{\sin mx}{\sin x}\, dx \] は、\(x = 0\) で被積分関数が \(m\) という値を取るとすれば通常の有限積分となる]

  15. 置換積分と部分積分: 置換積分と部分積分の公式が第一種だけではなく第二種の無限積分にも拡張できるのは明らかである。§179 と同じように一般的な定理を自分で書いてみるとよい。

  16. 部分積分を使って、\(s \gt 0,\ t \gt 1\) なら \[ \int_{0}^{1} x^{s-1}(1 - x)^{t-1}\, dx = \frac{t - 1}{s} \int_{0}^{1} x^{s} (1 - x)^{t-2}\, dx \] だと示せ。

  17. \(s \gt 0\) なら \(\displaystyle \int_{0}^{1} \frac{x^{s-1}\, dx}{1 + x} = \int_{1}^{\infty} \frac{t^{-s}\, dt}{1 + t}\) が成り立つ。 [\(x = \dfrac{1}{t}\) と置換する]

  18. \(0 \lt s \lt 1\) なら \(\displaystyle \int_{0}^{1} \frac{x^{s-1} + x^{-s}}{1 + x}\, dx = \int_{0}^{\infty} \frac{t^{-s}\, dt}{1 + t} = \int_{0}^{\infty} \frac{t^{s-1}\, dt}{1 + t}\) が成り立つ。

  19. \(a + b \gt 0\) なら \(\displaystyle \int_{b}^{\infty} \frac{dx}{(x + a)\sqrt{x - b}} = \frac{\pi}{\sqrt{a + b}}\) が成り立つ。

    (Math. Trip. 1909.)

  20. 置換 \(x = \dfrac{t}{1 - t}\) を使って、\(l\) と \(m\) がどちらも正なら \[ \int_{0}^{\infty} \frac{x^{l-1}}{(1 + x)^{l+m}}\, dx = \int_{0}^{1} t^{l-1} (1 - t)^{m-1}\, dt \] だと示せ。

  21. 置換 \(x = \dfrac{pt}{p + 1 - t}\) を使って、\(l,\ m,\ p\) が全て正なら \[ \int_{0}^{1} x^{l-1} (1 - x)^{m-1}\, \frac{dx}{(x + p)^{l + m}} = \frac{1}{(1 + p)^{l} p^{m}} \int_{0}^{1} t^{l-1} (1 - t)^{m-1}\, dt \] だと示せ。

  22. 等式 \(\displaystyle \int_{a}^{b} \frac{dx}{\sqrt{(x - a)(b - x)}} = \pi\) および \(\displaystyle \int_{a}^{b} \frac{x\, dx}{\sqrt{(x - a)(b - x)}} = \dfrac{1}{2} \pi (a + b)\) を、(i) \(x = a + (b - a)t^{2},\ \) (ii) \(\dfrac{b - x}{x - a} = t,\ \) (iii) \(x = a\cos^{2} t + b\sin^{2} t\) という三つの置換を使ってそれぞれ示せ。

  23. \(s \gt -1\) なら \[ \int_{0}^{\frac{1}{2} \pi} (\sin\theta)^{s}\, d\theta = \int_{0}^{1} \frac{x^{s}\, dx}{\sqrt{1 - x^{2}}} = \dfrac{1}{2} \int_{0}^{1} \frac{x^{\frac{1}{2}(s-1)}\, dx}{\sqrt{1 - x}} = \dfrac{1}{2} \int_{0}^{1} (1 - x)^{\frac{1}{2}(s-1)} \frac{dx}{\sqrt{x}} \] が成り立つ。

  24. 等式 \[ \begin{aligned} & \int_{0}^{1} \frac{f(x)\, dx}{\sqrt{1 - x^{2}}} = \int_{0}^{\frac{1}{2}\pi} f(\sin\theta)\, d\theta,\\ & \int_{a}^{b} \frac{f(x)\, dx}{\sqrt{(x - a)(b - x)}} = 2\int_{0}^{\frac{1}{2}\pi} f(a\cos^{2}\theta + b\sin^{2}\theta)\, d\theta,\\ & \int_{-a}^{a} f\left\{\sqrt{\frac{a - x}{a + x}}\right\} dx = 4a\int_{0}^{\frac{1}{2}\pi} f(\tan\theta) \cos\theta \sin\theta\, d\theta \end{aligned} \] を示せ。

  25. 次を示せ: \[ \int_{0}^{1} \frac{dx}{(1 + x)(2 + x) \sqrt{x(1 - x)}} = \pi\left(\frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{1}{\sqrt{6}}\right) \]