§18 集積点

実数あるいは実数に対応する直線上の点を集めたもの (定義は問わない) を、数や点の集まり (aggregate) あるいは 集合 (set) と呼ぶ。例えば正の整数の集合や全ての有理点の集合が考えられる。

ここでは議論の都合上、幾何学の言葉を使う1。点集合 \(S\) が与えられたとして、任意の点 \(\xi\) 取る。\(\xi\) は \(S\) に属するかもしれないし属さないかもしれない。このとき二つの可能性がある。つまり (i) \([\xi - \delta, \xi + \delta]\) に \(S\) に属する点が \(\xi\) 以外にない2ように正数 \(\delta\) を取れる、(ii) そのような \(\xi\) を取れない、の二つである。

例えば \(S\) が全ての正の整数に対応する点からなるとする。このときもし \(\xi\) が正の整数なら、\(\delta\) を \(1\) よりも小さい任意の数とすれば (i) が真になる。あるいはもし \(\xi\) が二つの正の整数の中間地点にあるなら、\(\delta\) を \(\frac{1}{2}\) より小さい任意の数とすればよい。一方でもし \(S\) が全ての有理点からなるとすれば、任意の区間には無限個の有理点が含まれるので、\(\xi\) をどんな値にしたとしても (ii) が真になる。

(ii) が真だとする。このとき任意の区間 \([\xi - \delta, \xi + \delta]\) は、その幅がどれだけ小さくとも、\(S\) に含まれる \(\xi\) でない点 \(\xi_{1}\) を持つ。このような場合に \(\xi\) を \(S\) の 集積点 (points of acumulation) と呼ぶ。区間 \([\xi - \delta, \xi + \delta]\) は一つだけではなく無限に多くの \(S\) の点を含むことが容易に示せる: \(\xi_{1}\) を取った後に、\(\xi\) の周りに区間 \([\xi - \delta_{1}, \xi + \delta_{1}]\) を \(\xi_{1}\) に触れないように取れる。するとこの区間にも \(S\) の要素が含まれるので、これを \(\xi_{2}\) とする。以上の議論は \(\xi_{1}\) を \(\xi_{2}\) に取り換えればもう一度繰り返すことができ、同様にして無限に行える。こうすると点 \[ \xi_{1},\quad \xi_{2},\quad \xi_{3},\quad \ldots \] を好きなだけ取れる。これらの点は全て \(S\) に属し、\([\xi - \delta, \xi + \delta]\) の内部にある。

例 9
  1. \(S\) が正の整数あるいは全ての整数に対応する点から構成されるなら、集積点は存在しない。

  2. \(S\) が有理点から構成されるなら、基準直線上の全ての点が集積点となる。

  3. \(S\) が \(1,\ \frac{1}{2},\ \frac{1}{3},\ \ldots\) という点から構成されるなら、集積点はただ一つ原点だけとなる。

  4. \(S\) が全ての正の有理点から構成されるなら、基準直線上の全ての正の有理点と原点が集積点となる。


  1. この講義の唯一の目的が言語の習得であることは忘れてよい。[return]

  2. \(\xi\) が \(S\) に含まれない場合には「\(\xi\)以外に」の部分を省く。[return]