§167 正項級数の収束判定法
§77 で証明した重要な定理をここに繰り返しておいた方がいいだろう。
正項級数は収束するか \(\infty\) に発散するかのどちらかで、振動することはない。
\(\sum u_{n}\) が収束するための必要十分条件は、ある \(K\) が存在して全ての \(n\) で \[ u_{0} + u_{1} + \cdots + u_{n} \lt K \] となることである。
全ての \(n\) に対して \(v_{n} \leq u_{n}\) が成り立ち \(\sum u_{n}\) が収束するなら、\(\sum v_{n}\) は収束して \(\sum v_{n} \leq \sum u_{n}\) が成り立つ。より一般的には、定数 \(K\) に対して \(v_{n} \leq Ku_{n}\) なら \(\sum v_{n}\) は収束して \(\sum v_{n} \leq K \sum u_{n}\) が成り立つ。また \(\sum u_{n}\) が発散して \(v_{n} \geq Ku_{n}\) なら \(\sum v_{n}\) は発散する1。
こういった判定法を使って \(\sum v_{n}\) が発散や収束を調べるときには、十分大きな \(n\) に対してだけ条件が満たされれば十分である。つまりとある有限の値 \(n_{0}\) より大きい \(n\) で満たされればよい。ただしもちろんこの場合は結論の \(\sum v_{n} \leq K \sum u_{n}\) が成り立つとは限らない。
この定理の特に重要な場合を次に示す:
\(\sum u_{n}\) が収束 (発散) して \(u_{n}/v_{n}\) が \(n \to \infty\) で \(0\) でない極限に向かうなら、\(\sum v_{n}\) は収束 (発散) する。