§31 二変数関数とその図示

§20 ではある関係で結ばれる二つの変数を考えた。同様に、ある関係で結ばれた三つの変数 (\(x, y, z\)) を考えることもできる。つまり \(x\) と \(y\) が両方分かれば \(z\) も分かるという関係である。このとき \(z\) を \(x\) と \(y\) の二変数関数と呼ぶ。\(x\) と \(y\) を独立変数 (independent variable) と呼び、\(z\) を 従属変数 (dependent variable) と呼ぶ。そして \(z\) の値が \(x\) と \(y\) の値から決定することを次の式で表す: \[ z = f(x, y) \] §20 の内容は必要な変更を加えればこの複雑なケースにも適用できる。

二変数関数を幾何学的に表す方法は一変数関数の場合と基本的に全く変わらない。三次元空間内に \(OX,\ OY,\ OZ\) という三つの軸が必要であり、それぞれが他の二つと直行する。点 \((a, b, c)\) はそれぞれ平面 \(YOZ,\ ZOX,\ XOY\) から \(OX,\ OY,\ OZ\) に平行に測った距離が \(a,\ b,\ c\) である点として定義される。もちろん符号を考慮し、\(OX,\ OY,\ OZ\) の方向を正とする。座標、軸、原点も同様に定義される。

さて \[ z = f(x, y) \] とする。\(x\) と \(y\) が変化すると、点 \((x, y, z)\) は空間内を動き回る。この点を全て集めたものを \((x, y, z)\) の軌跡 (locus) あるいは \(z = f(x, y)\) のグラフ (graph) と呼ぶ。\(z\) を定義するのに使う \((x,\ y)\) と \(z\) の間の関係が解析的な式として書けるなら、その式を軌跡の方程式と呼ぶ。例えば次の一般的な一次方程式 \[ Ax + By + Cz + D = 0 \] が平面を表すこと、および任意の平面の方程式がこの形であることは簡単に示せる。また方程式 \[ (x - \alpha)^{2} + (y - \beta)^{2} + (z - \gamma)^{2} = \rho^{2} \] および \[ x^{2} + y^{2} + z^{2} + 2Fx + 2Gy + 2Hz + C = 0 \] はを表す (二つ目の式では \(F^{2} + G^{2} + H^{2} - C \gt 0\) とする)。ここでもこういった命題の証明は解析幾何学の教科書に譲る。

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