§216 対数および指数の理論の異なる構築方法

\(e^{x}\) と \(\log x\) の性質をこれまでとは全く異なる論理展開で調べる方法の概略をここに示す。この方法は指数級数 \(1 + x + \dfrac{x^{2}}{2!} + \cdots\) の考察から始まる。この級数が全ての \(x\) で収束することは分かっているので、関数 \(\exp x\) を次の等式で定義する: \[ \exp x = 1 + x + \frac{x^{2}}{2!} + \cdots \qquad \text{(1)} \]

そして 例 81.7 と同様に \[ \exp x × \exp y = \exp(x + y) \qquad \text{(2)} \] を証明する。

さらに \[ \frac{\exp h - 1}{h} = 1 + \frac{h}{2!} + \frac{h^{2}}{3!} + \cdots = 1 + \rho(h) \] とすれば、\(\rho(h)\) の絶対値は \[ \left|\dfrac{1}{2}h\right| + \left|\dfrac{1}{2}h\right|^{2} + \left|\dfrac{1}{2}h\right|^{3} + \cdots = \left|\dfrac{1}{2}h \right| \bigg/ \left(1 - |\dfrac{1}{2}h| \right) \] よりも小さい。ここから \(h \to 0\) のとき \(\rho(h) \to 0\) と分かる。よって \(h \to 0\) で \[ \frac{\exp(x + h) - \exp x}{h} = \exp x \left(\frac{\exp h - 1}{h}\right) \to \exp x \] つまり \[ D_{x} \exp x = \exp x \qquad \text{(3)} \] が成り立つ。ここでは \(\exp x\) が連続関数であることも同時に証明されている。

ここからはいくつか方法がある。\(\exp 0 = 1\) だから、\(y = \exp x\) と書けば \[ \frac{dy}{dx} = y,\quad x = \int_{1}^{y} \frac{dt}{t} \] となる。よって対数関数を指数関数の逆関数として定義すれば、この章の最初のスタート地点に戻れる。

異なる議論もできる。\(\text{(2)}\) から正の整数 \(n\) に対して \[ (\exp x)^{n} = \exp nx,\quad (\exp 1)^{n} = \exp n \] が分かる。よって \(x\) が正の有理数 \(m/n\) なら \[ \{\exp(m/n)\}^{n} = \exp m = (\exp 1)^{m} \] が成り立つ。つまり \(\exp(m/n)\) は \(\exp 1^{m/n}\) の正の値となる。この結果は次の等式を使えば負の有理数にも拡張できる: \[ \exp x \exp(-x) = 1 \] ここから \[ \exp x = (\exp 1)^{x} = e^{x} \] が導かれる。ここで \[ e = \exp 1 = 1 + 1 + \frac{1}{2!} + \frac{1}{3!} + \cdots \] であり、\(x\) は任意の有理数を表す。\(x\) が無理数のときには \(e^{x}\) を \(\exp x\) として定義し、対数は \(\exp x\) つまりは \(e^{x}\) の逆関数として定義する。

同様の方法で、\(-1 \lt x \lt 1\) に対する二項級数 \[ 1 + \binom{m}{1} x + \binom{m}{2} x^{2} + \cdots = f(m, x) \] の理論を構築せよ。次の方程式から始めること: \[ f(m, x) f(m', x) = f(m + m', x) \] (参考:例 81.6)