§199 \(\log x\) が無限大に向かうときの振る舞い

例 36.6 で \(x\) の関数が \(x\) と共に無限大に向かうときの向かい方を定義した。\(x\) が大きいときに一次・二次・三次 \(\cdots\) の大きさを持つ関数を区別し、\(x \to \infty\) で \(f(x)/x^{k}\) が \(0\) でない極限に向かうとき \(f(x)\) は \(k\) 次の大きさを持つと定めた。

\(x\) と共に無限大に向かう関数で一次より小さい大きさを持つ関数を定義するのは難しくない。例えば \(\sqrt{x},\ \sqrt[3]{x},\ \sqrt[4]{x},\ \ldots\) は全て一次より小さい大きさを持つ。有理数 \(\alpha\) に対しても \(x^{\alpha}\) が \(\alpha\) 次の大きさを持つと言うことにすると、好きなだけ小さい \(\alpha\) に対する大きさが定義される。例えば \(.0000001\) 次の大きさが存在する。これを持って \(f(x)\) の “大きさの次元” は有理数の \(\alpha\) で全てを表せると考えるかもしれない。つまり \(x\) と共に無限大に向かう任意の \(f(x)\) に対して、\(x^{\alpha}\) が \(f(x)\) よりゆっくりと無限大に向かう有理数 \(\alpha\) および \(x^{\beta}\) が \(f(x)\) よりも速く無限大に向かう有理数 \(\beta\) が存在すると思っても不思議ではない。

\(\log x\) の特徴でおそらく最も興味深いのが、\(x\) が無限大に向かうときの振る舞いである。この特徴によると、上述の非常に自然に見える命題は成り立たない。つまり\(\bm{\log x}\) は \(\bm{x}\) と共に無限大に向かうが、その速度は \(\bm{x}\) の任意の (整数および有理数の) 正のべきより遅い。言い換えると、\(\log x \to \infty\) だが \[ \frac{\log x}{x^{\alpha}} \to 0 \] が全ての \(\alpha\) で成り立つ。この事実は「\(\log x\) の無限大の次元は無限に小さい」とくだけて表現されることもあるが、ここまで読み進めた読者に対してこの言い回しの意味を注意する必要はほとんどないだろう。