§194 べき級数の唯一性

べき級数 \(\sum a_{n} z^{n}\) が \(z = 0\) 以外のとある \(z\) で収束するなら、その和 \(f(z)\) が次の形で表せることは容易に分かる: \[ a_{0} + a_{1}z + a_{2}z^{2} + \cdots + (a_{n} + \varepsilon_{z})z^{n} \] ここで \(\varepsilon_{z}\) は \(|z| \to 0\) のとき \(\varepsilon_{z} \to 0\) を満たす。 証明は次の通り。\(\mu\) を収束半径より小さくかつ \(|z| \lt \mu\) を満たす実数とすれば、\(z\) によらない定数 \(K\) に対して \(|a_{n}| \mu^{n} \lt K\) が成り立つ (参考: §192)。ここから \[ \begin{aligned} \left|f(z) - \sum_{0}^{n} a_{\nu}z^{\nu}\right| & \leq |a_{n+1}| |z^{n+1}| + |a_{n+2}| |z^{n+2}| + \cdots\\ & \lt K \left(\frac{|z|}{\mu}\right)^{n+1} \left(1 + \frac{|z|}{\mu} + \frac{|z|^{2}}{\mu^{2}} + \cdots\right) = \frac{K |z|^{n+1}}{\mu^{n} (\mu - |z|)} \end{aligned} \] が分かる。例 55.15 からは、絶対値がとある実数 \(\mu\) より小さい任意の \(z\) に対して \(\sum a_{n}z^{n} = \sum b_{n}z^{n}\) なら、全ての \(n\) に対して \(a_{n} = b_{n}\) だと分かる。今は詳しく説明できないが、この結果は非常に広く一般化でき、一般化した結果から関数 \(\bm{f(z)}\) はただ一つのべき級数で表されることが分かる。