§206 指数関数の特徴 (その 2)

  1. \(y\) が無限大に向かうときに \(e^{y}\) が無限大に向かう速度は \(y\) のどんなべきよりも速い。つまり \(y \to \infty\) のとき \[ \lim \frac{y^{\alpha}}{e^{y}} = \lim e^{-y}y^{\alpha} = 0 \] がどんなに大きい \(\alpha\) に対しても成り立つ。

    任意に小さい正の有理数 \(\beta\) に対して \(x \to \infty\) で \((\log x)/x^{\beta} \to 0\) だと前に見たので、\(\alpha = 1/\beta\) とすれば任意に大きい \(\beta\) に対して \((\log x)^{\alpha}/x \to 0\) が分かり、\(x = e^{y}\) とすれば上の式を得る。また \(e^{\gamma y}\) は \(\gamma \gt 0\) なら \(\infty\) に、\(\gamma \lt 0\) なら \(0\) に向かい、いずれの場合でもその速度は \(y\) の任意のべきより速い。

この結果を使えば §202 と同様に “大きさの尺度” を拡張できる。ただし指数関数を使った場合には尺度が逆方向に延長される。つまり \(x \to \infty\) のとき \(\infty\) に向かう速度が速い関数の尺度が手に入る1: \[ x,\quad x^{2},\quad x^{3},\quad \ldots,\quad e^{x},\quad e^{2x},\quad \ldots,\quad e^{x^{2}},\quad \ldots,\quad e^{x^{3}},\quad \ldots,\quad e^{e^{x}},\quad \ldots \] もちろんここで \(e^{x^{2}},\ \ldots,\ e^{e^{x}},\ \ldots\) は \(e^{(x^{2})},\ \ldots,\ e^{(e^{x})},\ \ldots\) を表す。

§202例 84 で対数関数について見た命題を、この “指数尺度” についても確認してみるとよい。もちろん二つの尺度は (一方の順番を逆にして) 組み合わせることができる: \[ \ldots,\quad \log\log x,\quad \ldots,\quad \log x,\quad \ldots,\quad x, \quad \ldots,\quad e^{x},\quad \ldots,\quad e^{e^{x}},\quad \ldots \]


  1. 指数関数は等式 \(y = \log x\) を逆にして \(x = e^{y}\) と書くことで導入されたので、これまでその性質の議論では \(y\) を独立変数として、\(x\) を従属変数としてきた。 しかしここからは \(x\) を独立変数とする通常の表記に戻ることにする。ただし \(y = \log x\) と \(x = e^{y}\) の等式の組を同時に考えるときや何らかの特別な理由がある場合は除く。[return]