§144 \(\arcsin x,\ \arctan x,\ \log x\) を含む式の積分

サインとタンジェントの逆関数および対数関数の積分は部分積分を使って簡単に求められる。結果を次に示す: \[ \begin{aligned} \int \arcsin x\, dx & = x\arcsin x - \int \frac{x\, dx}{\sqrt{1 - x^{2}}} = x\arcsin x + \sqrt{1 - x^{2}},\\ \int \arctan x\, dx & = x\arctan x - \int \frac{x\, dx}{1 + x^{2}} = x\arctan x - \dfrac{1}{2} \log(1 + x^{2}),\\ \int \log x\, dx & = x\log x - \int dx = x(\log x - 1) \end{aligned} \]

\(y = f(x)\) の積分が求まるときに \(f\) の逆関数 \(\phi\) に対する \(x = \phi(y)\) の積分も必ず求められることを示すのは難しくない。置換 \(y = f(x)\) を使えば \[ \int \phi(y)\, dy = \int xf'(x)\, dx = xf(x) - \int f(x)\, dx \] が分かる。この方法を使って \(\arcsin y\) と \(\arctan y\) の積分を計算してみるとよい。

また多項式 \(P\) に対する \[ \int P(x, \arcsin x)\, dx,\quad \int P(x, \log x)\, dx \] という形の積分は必ず計算できる。例えば一つ目の形の積分では \(\displaystyle\int x^{m} (\arcsin x)^{n}\, dx\) という項を計算する必要があるが、\(x = \sin y\) と置換すると \(\displaystyle\int y^{n}\sin^{m}y \cos y\, dy\) となり、§142 の方法で求められる。二番目の形の積分では \(\displaystyle\int x^{m} (\log x)^{n}\, dx\) という形の項を計算する必要があるが、部分積分を使うと \[ \int x^{m}(\log x)^{n}\, dx = \frac{x^{m+1} (\log x)^{n}}{m + 1} - \frac{n}{m + 1} \int x^{m}(\log x)^{n-1}\, dx \] が分かるので、この変形を繰り返せば最終的には必ず積分の値を求められる。

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