§16 連続な実数変数

「実数」を捉える二つの異なる視点がある。一つは実数を前節で定義した「算術的連続体」という集まりだと考え、もう一つは実数を個別に考える。実数を個別に考えるときは特定の指定された数 (例えば \(1,\ -\frac{1}{2},\ \sqrt{2},\ \pi\)) を念頭に置く場合もあれば、任意の数・不詳の数・とある数 \(x\) を念頭に置く場合もある。後者の考え方をするのは、私たちが「\(x\) は数だ」「\(x\) は長さの単位だ」「\(x\) は有理数でも無理数でもあり得る」などと言った場合である。こういった命題における \(x\) は連続実数変数 (continuous real variable) と呼ばれ、個別の実数は変数の (value) と呼ばれる。

連続でない「変数」もある。全ての実数の集まりではなく、それに含まれる部分的な集まり、例えば有理数の集まりや正の整数の集まりを考える場合がこれに当たる。例えば正の整数の集まりが登場する例としては、任意の (不詳の) 正の整数に関する「\(n\) は奇数または偶数だ」のような文がある。ここでは \(n\) が変数、それも正の整数変数になり、個別の正の整数がその値となる。

当然この \(x\) や \(n\) は変数の例に過ぎない。「変動領域 (field of variation)」が実数および正の整数であるこの二つの例は最も重要なものだが、他の変数を考えることもある。例えば十進数を議論するときには、十進数で表した数の各桁の値を \(x\) を使って表すかもしれない。このとき \(x\) は変数だが、\(0,\ 1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 9\) の十個しか異なる値を取らない。読者はこれ以外にも様々な変動領域を持つ変数の例を見つけられるだろう: 警察官 \(x\)・タクシー運転手 \(x\)・年 \(x\)・週の \(x\) 日目など、数字でない値を持つ変数もある。