§173 アーベルの定理

単調減少の正項級数 \(\sum u_{n}\) が収束するなら \(\lim nu_{n} = 0\) が成り立つ。

\(nu_{n}\) が \(0\) に向かわないとする。このときある \(\delta\) があって、無限に多くの \(n\) で \(nu_{n} \geq \delta\) が成り立つ。この条件を満たす最初の \(n\) を \(n_{1}\) とする。さらにこの条件を満たす \(n\) で \(n_{1}\) の二倍より大きいものを \(n_{2}\) として、\(n_{2}\) の二倍より大きいものを \(n_{3}\) として以下同様に定める。すると \(n_{1},\ n_{2},\ n_{3},\ \ldots\) は \(n_{2} \gt 2n_{1},\ n_{3} \gt 2n_{2},\ \ldots\) を満たす。また \(n_{2} - n_{1} \gt \frac{1}{2}n_{2},\ n_{3} - n_{2} \gt \frac{1}{2}n_{3},\ \ldots\) および \(n_{1}u_{n_{1}} \geq \delta,\ n_{2}u_{n_{2}} \geq \delta,\ \ldots\) も成り立つ。一方 \(n\) が増加すると \(u_{n}\) は減少するので、次が分かる: \[ \begin{gathered} u_{0} + u_{1} + \cdots + u_{n_{1} - 1} \geq n_{1}u_{n_{1}} \geq \delta,\\ u_{n_{1}} + \cdots + u_{n_{2} - 1} \geq (n_{2} - n_{1})u_{n_{2}} \gt \dfrac{1}{2} n_{2}u_{n_{2}} \geq \dfrac{1}{2} \delta,\\ u_{n_{2}} + \cdots + u_{n_{3} - 1} \geq (n_{3} - n_{2})u_{n_{3}} \gt \dfrac{1}{2} n_{3}u_{n_{3}} \geq \dfrac{1}{2} \delta, \end{gathered} \] 以下同様だから、級数 \(\sum u_{n}\) の項を括弧でまとめて得られる級数は次の発散級数よりも真に大きい: \[ \delta + \dfrac{1}{2} \delta + \dfrac{1}{2} \delta + \cdots \] よって \(\sum u_{n}\) は発散する。

例 69
  1. アーベルの定理を使って \(\sum (1/n)\) と \(\sum \{1/(an + b)\}\) が発散することを示せ。 [\(nu_{n} \to 1\) および \(nu_{n} \to 1/a\) となる]

  2. \(n\) が増加すると \(u_{n}\) が減少するという仮定を省くとアーベルの定理が正しくないことを示せ。 [\(n\) が平方数のとき \(u_{n} = 1/n\) でそれ以外のとき \(u_{n} = 1/n^{2}\) となる級数 \[ 1 + \frac{1}{2^{2}} + \frac{1}{3^{2}} + \frac{1}{4} + \frac{1}{5^{2}} + \frac{1}{6^{2}} + \frac{1}{7^{2}} + \frac{1}{8^{2}} + \frac{1}{9} + \frac{1}{10^{2}} + \cdots \] は、次の形に並び替えられる: \[ \frac{1}{2^{2}} + \frac{1}{3^{2}} + \frac{1}{5^{2}} + \frac{1}{6^{2}} + \frac{1}{7^{2}} + \frac{1}{8^{2}} + \frac{1}{10^{2}} + \cdots + \left(1 + \frac{1}{4} + \frac{1}{9} + \cdots\right) \] 並び替えて得られる二つの級数は収束するので、並び替える前の級数も収束する。一方で \(n\) が平方数なら \(nu_{1} = 1\) だから、明らかに \(nu_{n} \to 0\) でない]

  3. アーベルの定理の逆は正しくない: 言い換えると、\(n\) が増加するとき \(u_{n}\) が減少して \(\lim nu_{n} = 0\) だとしても、\(\sum u_{n}\) が収束するとは限らない。

    [級数 \(\sum(1/n)\) の第一項を \(1\) 倍し、第二項を \(\frac{1}{2}\) 倍し、次の二項を \(\frac{1}{3}\) 倍し、次の四項を \(\frac{1}{4}\) 倍し、次の八項を \(\frac{1}{5}\) 倍し、以下同様とする。新しい級数を括弧でまとめると次を得る: \[ 1 + \dfrac{1}{2} · \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} \left(\dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{4}\right) + \dfrac{1}{4} \left(\dfrac{1}{5} + \dfrac{1}{6} + \dfrac{1}{7} + \dfrac{1}{8}\right) + \cdots \] この級数は次の発散級数より大きい: \[ 1 + \dfrac{1}{2} · \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} · \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} · \dfrac{1}{2} + \cdots \] よって発散する。一方で \[ 1 + \dfrac{1}{2} · \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} · \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{3} · \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{4} · \dfrac{1}{5} + \dfrac{1}{4} · \dfrac{1}{6} + \cdots \] は \(nu_{n} \to 0\) という条件を満たす。実際 \(2^{\nu-2} \lt n \leq 2^{\nu-1}\) なら \(nu_{n} = 1/\nu\) であり、\(n \to \infty\) で \(\nu \to \infty\) となる]



Amazon.co.jp アソシエイト (広告)
Audible の無料体験を始めよう
amazon music unlimited で音楽聞き放題
解析入門 I
軽装版 解析入門 I
定本 解析概論
ある数学者の生涯と弁明