§103 区間内における関数の振動

\(\phi(x)\) を \([a, b]\) で有界な関数、\(M\) と \(m\) を \([a, b]\) における \(\phi(x)\) の上限と下限とする。\(M\) と \(m\) が \(a\) と \(b\) によって変化することを明示的に表すために、これから \(M\) と \(m\) を \(M(a, b)\) および \(m(a, b)\) と表記する。さらに \[ O(a, b) = M(a, b) - m(a, b) \] と定義し、この上限と下限の差 \(O(a, b)\) を \([a, b]\) における \(\phi(x)\) の 振動 (oscillation) と呼ぶことにする。\(M(a, b),\ m(a, b),\ O(a, b)\) の簡単な性質は次の通りである:

  1. \(a \leq c \leq b\) なら \(M(a, b)\) は \(M(a, c)\) と \(M(c, b)\) の大きい方と等しく、\(m(a, b)\) は \(m(a, c)\) と \(m(c, b)\) の小さい方と等しい。
  2. \(M(a, b)\) と \(O(a, b)\) は \(b\) の単調増加関数であり、\(m(a, b)\) は \(b\) の単調減少関数である。
  3. \(O(a, b) \leq O(a, c) + O(c, b)\) が成り立つ。

最初の二つは定義から直ちに得られる。\(M(a, c)\) と \(M(c, b)\) の大きい方を \(\mu\) として、任意の正の実数 \(\varepsilon\) を取る。すると \([a, c]\) と \([c, b]\)、つまり \([a, b]\) 全体で \(\phi(x) \leq \mu\) が成り立ち、さらに \([a, c]\) または \([c, b]\) のどこか、つまり \([a, b]\) のどこかで \(\phi(x) \gt \mu - \varepsilon\) が成り立つ。よって \(M(a, b) = \mu\) となる。\(m\) についても同じように示せる。(2) は (1) の系として得られる。

\(M(a, c)\) と \(M(c, b)\) の大きい方と小さい方をそれぞれ \(M_{1},\ M_{2}\) として、\(m(a, c)\) と \(m(c, b)\) の小さい方と大きい方をそれぞれ \(m_{1},\ m_{2}\) とする。すると \(c\) は両方の区間に含まれるから、\(\phi(c)\) は \(M_{2}\) 以下 \(m_{2}\) 以上である。よって \(M_{2}\) と \(m_{2}\) がどちらの区間から取られているかに関わらず \(M_{2} \geq m_{2}\) が成り立つ。ここから \[ O(a, b) = M_{1} - m_{1} \leq M_{1} + M_{2} - m_{1} - m_{2} \] が分かる。一方で \[ O(a, c) + O(c, b) = M_{1} + M_{2} - m_{1} - m_{2} \] だから、(3) が分かる。



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