§225 一般的な指数 \(a^{x}\) の定義

実数では \(\exp \zeta = e^{\zeta}\) だったから、複素数 \(\zeta\) に対してもこの記法を採用して \(\exp\) は使わないようにできると思うかもしれない。しかし \(e^{\zeta}\) にはより一般的な定義を与えなければならないので、この方針は取らない。これから見るように \(e^{\zeta}\) は無限に多くの値を取る関数であり、\(\exp \zeta\) はその一つに過ぎない。

これまでの議論で、ときには何種類かの方法を使って次の式に意味を与えた: \[ 3^{1/2},\quad (-1)^{1/3},\quad (\sqrt{3} + \dfrac{1}{2}i)^{-1/2},\quad (3.5)^{1+\sqrt{2}} \] しかし次の式に意味を与える定義は示していない: \[ (1 + i)^{\sqrt{2}},\quad 2^{i},\quad (3 + 2i)^{2+3i} \] 私たちはこれから \(a^{\zeta}\) に一般的な定義を与える。この定義は実数および複素数の \(a\) と \(\zeta\) に適用でき、唯一 \(a\) が \(0\) であってはいけないという制限がある。

関数 \(a^{\zeta}\) は次の等式で定義される: \[ a^{\zeta} = \exp (\zeta\operatorname{Log} a) \] \(\operatorname{Log} a\) は任意の \(a\) の対数を表す。

この定義がこれまでの定義と矛盾せず、かつ特殊ケースとしてそれらを含むことを確認する必要がある:

  1. \(a\) が正で \(\zeta\) が実数なら、\(\zeta\operatorname{Log} a\) の値の一つ \(\zeta\log a\) は実数で \(\exp (\zeta\log a) = e^{\zeta\log a}\) が成り立つ。これは第九章の定義と矛盾せず、以前に第九章の定義は初等代数の定義と矛盾しないと示した。よってこの定義も同様である。
  2. \(a = e^{\tau} (\cos\psi + i\sin\psi)\) なら任意の整数 \(m\) と有理数 \(p/q\) に対して \[ \begin{gathered} \operatorname{Log} a = \tau + i(\psi + 2m\pi), \\ \exp \{(p/q)\operatorname{Log} a\} = e^{p\tau/q} \operatorname{Cis} \{(p/q)(\psi + 2m\pi)\} \end{gathered} \] が成り立つ。容易に分かるように、\(m\) が全ての整数値を取るときこの式はちょうど \(q\) 個の異なる値を取り、これは §48 で定義した \(a^{p/q}\) と等しい。よってこの定義は第三章で定義したものと矛盾しない。