§68 一般的な有理関数の極限
上の一般的な定理は次の非常に重要な問題に適用できる: 「最も一般的な \(n\) の有理関数 \[ S(n) = \frac{a_{0}n^{p} + a_{1}n^{p-1} + \cdots + a_{p}} {b_{0}n^{q} + b_{1}n^{q-1} + \cdots + b_{q}} \] は、\(n\) が \(\infty\) に向かうときどう振る舞うか1?」
定理を適用するために、\(S(n)\) を次のように変形する: \[ n^{p-q}\left\{ \biggl(a_{0} + \frac{a_{1}}{n} + \cdots + \frac{a_{p}}{n^{p}}\biggr)\bigg/ \biggl(b_{0} + \frac{b_{1}}{n} + \cdots + \frac{b_{q}}{n^{q}}\biggr) \right\} \] 中括弧の中身は \(R\{\phi(n)\}\) という形をしている。ここで \(\phi(n) = 1/n\) であり、\(n\) が \(\infty\) に向かうとき \(R\) は \(R(0) = a_{0}/b_{0}\) に向かう。そして \(p \lt q\) なら \(n^{p-q} \to 0\)、\(p = q\) なら \(n^{p-q} = 1\) したがって \(n^{p-q} \to 1\)、\(p \gt q\) なら \(n^{p-q} \to +\infty\) となる。よって §65 の定理から \[ \begin{cases} \lim S(n) = 0 & (p \lt q), \\ \lim S(n) = a_{0}/b_{0} & (p = q), \\ S(n) \to +\infty & (p \gt q,\ a_{0}/b_{0} \text{ が正}), \\ S(n) \to -\infty & (p \gt q,\ a_{0}/b_{0} \text{ が負}) \end{cases} \] が分かる。
-
\(n\) が無限大に向かうときの次の関数の振る舞いを調べよ: \[ \left(\frac{n - 1}{n + 1}\right)^{2},\quad (-1)^{n} \left(\frac{n - 1}{n + 1}\right)^{2},\quad \frac{n^{2} + 1}{n},\quad (-1)^{n} \frac{n^{2} + 1}{n} \]
-
\(n\) が無限大に向かうときに極限に向かう関数は次のうちどれか (それとも全て向かわないか)? \[ \begin{gathered} 1/(\cos^{2}\frac{1}{2}n\pi + n\sin^{2}\frac{1}{2}n\pi),\quad 1/\{n(\cos^{2}\frac{1}{2}n\pi + n\sin^{2}\frac{1}{2}n\pi)\}, \\ (n\cos^{2}\frac{1}{2}n\pi + \sin^{2}\frac{1}{2}n\pi)/ \{n(\cos^{2}\frac{1}{2}n\pi + n\sin^{2}\frac{1}{2}n\pi)\} \end{gathered} \]
-
上と同じように一般的な形の \(n\) の有理関数を \(S(n)\) とする。どんなときでも \[ \lim\frac{S(n + 1)}{S(n)} = 1,\quad \lim\frac{S\{n + (1/n)\}}{S(n)} = 1 \] だと示せ。
-
\(a_{0}\) も \(b_{0}\) も \(0\) でないという自然な仮定を置く。[return]