§12 実数
前に §4–§5 で個別に考えた無理数に戻ろう。そこでは不等式 と を使って切断を構築した。この切断はもともと正の有理数だけからなっていたが、後に (§8 で) 全ての有理数からなる切断に置き換えた。こうして定義される切断あるいは実数は と表記される。
とそれ自身の積として構築されるクラスは、(i) 二乗が より小さい正の有理数 に対する 、および (ii) 二乗が より大きい正の有理数 に対する からなる。これらのクラスは 以外の全ての正の有理数を含むので、
が成り立つ。加えて も成り立つので、方程式 には と という二つの根がある。同じ議論は といった方程式に対応する に対しても同様に行える。