第一章に関するその他の例
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が (1) 全ての について、(2) を満たす全ての について、(3) と の両方を満たす任意の について満たされるための条件はそれぞれ何か?
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任意の正の有理数は次の形をした表現をただ一つ持つ: ここで は整数であり、次が成り立つ:
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任意の正の有理数は次に示す単純な連分数を使った表現をただ一つ持つ: ここで は正の整数であり、 になれるのは だけである。
[こういった連分数の理論は代数の教科書に載っている。有理数および無理数の表現方法に関するさらに詳しい情報はホブソン著 Theory of Functions of a Real Variable, pp.45–49 を参照]
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の有理根を (もしあるなら) 求めよ。
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直線 が点 で黄金比に分割される、つまり だとする (Euc.ii.11)。 が無理数だと示せ。
[幾何学を使った直接的な証明がブロムウィッチ著 Infinite Series, §:143, p.363 にある]
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は無理数である。 を有理数としたとき、 が有理数になるのはどんなときか?
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初等的な不等式: が または正の数を表し、 が正の整数を表すとする。 と の符号は同じなので、 つまり が成り立つ。この方程式は次のようにも表現できる: これを繰り返し使うと、次の不等式が得られる: 特に次が成り立つ: (1) で または (4) で とすると の形を変えた不等式を得る。この不等式は正の数の算術平均が幾何平均と等しいかそれ以上になることを示す。
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個の数への一般化: 個の数 に対する (1) の形をした 個の不等式を全て足すと、次の不等式を得る: これを書き直すと を得る。ここから の自然な拡張が得られる。特に次の不等式が成り立つ:
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算術平均と幾何平均に関する一般的な形の定理: の算術平均が幾何平均と等しいかそれ以上であることは別の不等式を使っても示せる。 の最大要素と最小要素 (最大要素または最小要素が複数あるならその中から適当に選ぶ) を と として、 を の幾何平均とする。示したい命題は のとき明らかなので、 と仮定する。このとき次のようにして と の値を取り換える: こうしても幾何平均の値は変わらない。そして が成り立つから、算術平均の値も増加しない。
この議論を (最大でも 回) 繰り返せば を で取り換えられる。最終的な算術平均は だから、最初の値は と等しいかそれ以上と分かる。
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シュワルツの不等式: と を正または負の実数とする。次の等式は簡単に確かめられる: ここで と は の値を取る。ここから次の不等式が分かる: この不等式はシュワルツの不等式として知られる (が、最初に発見したのはコーシーである)。
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が全て正のとき、 とすれば次の不等式が成り立つ:
(Math. Trip. 1909.)
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と がそれぞれ降順に並んだ正の実数なら、次の不等式が成り立つ:
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と が実数で前者が全て正なら、 は の最大値と最小値の間にある。
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を相似でない不尽根数とする。 で が全て有理数なら、 が成り立つ。
[有理数 を使って を と表し、§14 の定理を使う]
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で が有理数なら だと示せ。
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と の有理係数多項式 (整数 と有理数 を使った という形の項の和) は次の形で表せる: ここで は有理数とする。
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を有理数とする。 を次の形で表せ: は有理数とする。
[次が示せる: ここで は有理数であり、簡単に求められる。後は分母と分子に を乗じれば答えが得られる。この結果を使えば次の等式を示せる:
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が有理数で次の等式を満たすとする: このとき「 かつ 」と「 と が両方とも有理数の二乗」のどちらかが成り立つ。
(Math. Trip. 1903.)
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を有理数として、次の等式を満たす と を考える: この式を満たす全ての と が有理数なら はどちらも有理数の二乗である。
(Math. Trip. 1899.)
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と が、有理数係数の の三次関数なことを示せ。また が二つの の線形関数の比であることを示せ。
(Math. Trip. 1905.)
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式 は なら に等しく、 なら に等しい。
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の任意の有理係数多項式は、有理数 を使った次の形で表せる:
さらに一般的に言うと、正の整数 について の有理係数多項式は次の形で表せる: ここで は有理数で、 とする。証明は次の通り。この形の任意の多項式は有理数 を使って と表せる。もし ならその時点で求めたい形が手に入っている。 とすると、整数 と を使って任意の を と表せるので、 が成り立つ。よって より大きい指数を持つ項を取り除ける。
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と を有理数 を使って の形で表せ。 [二番目の式では分母と分子に を乗じる]
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もし で が有理数なら、 が成り立つ。
[ とすると、 かつ が成り立つ。よって すなわち である。二つの式に と を乗じて引くと を得る。ここから が有理数と分かるが、これはあり得ない。残された唯一の選択肢は かつ である。
よって かつ と分かる。 も もゼロでないなら、二つ目の式を一つ目の式で割って を得る。しかし は有理数 にならないので、これはあり得ない。よって かつ であり、最初の方程式から が全て だと分かる。
系として、もし なら となる。
より一般的に言えば、もし であって の 乗が整数でないなら、 が成り立つ。証明は難しくない]
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もし なら、「 かつ 」または「 と の両方が有理数の三乗」が成り立つ。
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もし なら、「 の一つが で残りの二つは符号が逆で大きさが同じ数」または「 の全てが同じ不尽根数 の有理数倍」が成り立つ。
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次の等式を満たす有理数 を見つけよ:
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もし なら は有理数である。 [三乗根の中の数はどちらも という形になる ( と は有理数)]
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とすると、任意の の多項式は次数が の有理係数方程式の根である。
[ の多項式を とすれば、 は次の形に表せる: ここで は有理数である (問題 22 の結果を使った)。
同様に次の等式が成り立つとする:
このとき が成り立つ。ここで は行列式 であり、 は に関する小行列式を表す]
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前問の操作を に適用し、§14 の定理を導け。
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が次の式を満たすことを示せ:
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代数的数: 次の形をした方程式の根となる無理数 ( など) があることを見た: ここで は整数である。このような無理数を代数的数 (algebraical number) と呼ぶ。そうでない全ての数 (例えば §15 で触れた ) を超越数 (trancendental number) と呼ぶ。 が代数的数なら、有理数 に対する および整数 に対する も代数的数であることを示せ。
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と が代数的数なら、 も代数的数である。
[仮定から次の等式が成り立つ: と は整数を表す。 すなわち としてさらに を消すと、似た形の等式 が によって満たされることが分かる。他の場合も同様]
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もし で が代数的数なら、 は代数的数である。 [仮定から 個の等式 が手に入る。ここで係数 は整数を表す。これらの等式と最初の に関する方程式から を打ち消す]
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前問の処理を に適用せよ。
[答えは である]
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次の数が満たす有理係数方程式を求めよ:
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なら、次の を使って と表せる:
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かつ なら、 は有理係数の二次方程式を満たす。
(Math. Trip. 1903.)
[ となるだろう]