§26 陽な代数関数

  1. 次に考える重要な関数のクラスは陽な代数関数 (explicit algebraical function) のクラスである。このクラスは、有理関数を作るのに使った操作に加えて根号を取る操作を \(x\) に対して有限回行って得られる関数から構成される。例えば \[ \frac{\sqrt{1 + x} - \sqrt[3]{1 - x}} {\sqrt{1 + x} + \sqrt[3]{1 - x}},\quad \sqrt{x} + \sqrt{x +\sqrt{x}},\quad \left(\frac{x^{2} + x + \sqrt{3}}{x\sqrt[3]{2} - \pi}\right)^{\frac{2}{3}} \] および整数 \(m,\ n\) に対する \(x^{m/n}\) (\(= \sqrt[n]{x^{m}}\)) はどれも陽な代数関数である。

    \(y = \sqrt{x}\) といった関数の意味に曖昧さがあることを注意しておく。ここまでは \(\sqrt{2}\) で \(2\) の正の平方根を意味してきた。直感的にはこうして \(\sqrt{x}\) で正の数 \(x\) の正の平方根を表すとした方が自然であり、この場合 \(\sqrt{x}\) は \(x\) の一価関数となる。ただし \(\sqrt{x}\) を正負の根号も表す多価関数とみなした方が便利な場合もある。

    ここまで進んだ時点で、読者は \(\sqrt{x}\) という関数が二つの点で有理関数と大きく異なることに気が付くだろう。まず、孤立した単一の点を除けば全ての \(x\) で定義された有理関数と違い、\(\sqrt{x}\) は \(x\) のとある範囲全体 (具体的には負の値全体) で定義されない。次に、値が定義される \(x\) に対して \(\sqrt{x}\) は逆の符号を持つ二つの値がある。

    一方で \(\sqrt[3]{x}\) は一価関数であり、全ての \(x\) に対して定義される。

例 13
  1. \(a \lt b\) とすると、\(\sqrt{(x - a)(b - x)}\) は \(a \leq x \leq b\) に対してしか定義されない。そして \(a \lt x \lt b\) ならこの関数は二つの値を持つ。\(x = a\) または \(x = b\) なら値は \(0\) だけとなる。

  2. 次の関数に対して同様の考察をせよ: \[ \sqrt{(x - a)(x - b)(x - c)} \quad (a \lt b \lt c), \] \[ \sqrt{x(x^{2} - a^{2})},\quad \sqrt[3]{(x - a)^{2}(b - x)}\quad (a \lt b), \] \[ \frac{\sqrt{1 + x} - \sqrt{1 - x}} {\sqrt{1 + x} + \sqrt{1 - x}},\quad \sqrt{x + \sqrt{x}} \]

  3. 曲線 \(y^{2} = x,\ y^{3} = x,\ y^{2} = x^{3}\) が通る点を調べよ。

  4. 次の関数のグラフを描け: \[ y = \sqrt{a^{2} - x^{2}},\quad y = b\sqrt{1 - (x^{2}/a^{2})} \]

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