第三章に関するその他の例
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三角形 \(xyz\) が正三角形となる条件は次の等式で表せる: \[ x^{2} + y^{2} + z^{2} - yz - zx - xy = 0 \] [\(XYZ\) を正三角形とする。変位 \(\overline{ZX}\) と \(\overline{YZ}\) は正または負の方向に \(\frac{2}{3}\pi\) の角度をなす。\(\operatorname{Cis}\frac{2}{3}\pi = \omega_{3}\) より \(\operatorname{Cis}(-\frac{2}{3}\pi) = 1/\omega_{3} = \omega_{3}^{2}\) なので、\(x - z = (z - y)\omega_{3}\) または \(x - z = (z - y)\omega_{3}^{2}\) が成り立つ。したがって \(x + y\omega_{3} + z\omega_{3}^{2} = 0\) または \(x + y\omega_{3}^{2} + z\omega_{3} = 0\) であり、例 22.3 より示すべき結果が得られる]
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\(XYZ,\ X'Y'Z'\) が三角形で \[ \overline{YZ} · \overline{Y'Z'} = \overline{ZX} · \overline{Z'X'} = \overline{XY} · \overline{X'Y'} \] が成り立つなら、両方とも正三角形である。[仮定から \[ (y - z)(y' - z') = (z - x)(z' - x') = (x - y)(x' - y') = \kappa^{2} \] が分かるので、\(\sum 1/(y' - z') = 0\) すなわち \(\sum {x'}^{2} - \sum y'z' = 0\) を得る。前問を使えば示すべき式が得られる]
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相似な三角形 \(BCX,\ CAY,\ ABZ\) が三角形 \(ABC\) に隣接しているなら、\(ABC\) と \(XYZ\) の重心が一致することを示せ。
[仮定から \((x - c)/(b - c) = (y - a)/(c - a) = (z - b)/(a - b) = \lambda\) となる。\(\frac{1}{3}(x + y + z)\) を \(a,\ b,\ c\) を使って表す]
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三角形 \(ABC\) の辺上に \(X,\ Y,\ Z\) を \[ BX/XC = CY/YA = AZ/ZB = r \] となるように取る。三角形 \(ABC\) と \(XYZ\) が相似なら、「両方の三角形が相似である」または「\(r = 1\)」が成り立つ。
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\(A,\ B,\ C,\ D\) を平面上の点とする。このとき次の不等式が成り立つ: \[ AD · BC \leq BD · CA + CD · AB \] [\(A,\ B,\ C,\ D\) に対応する複素数を \(z_{1},\ z_{2},\ z_{3},\ z_{4}\) とする。等式 \[ (x_{1} - x_{4})(x_{2} - x_{3}) + (x_{2} - x_{4})(x_{3} - x_{1}) + (x_{3} - x_{4})(x_{1} - x_{2}) = 0 \] から、次が成り立つ: \[ \begin{aligned} |(x_{1} - x_{4})(x_{2} - x_{3})| & = |(x_{2} - x_{4})(x_{3} - x_{1}) + (x_{3} - x_{4})(x_{1} - x_{2})|\\ & \leq |(x_{2} - x_{4})(x_{3} - x_{1})| + |(x_{3} - x_{4})(x_{1} - x_{2})|] \end{aligned} \]
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頂点が同一円周上にある四角形に関するプトレマイオスの定理を、共円な四点の複比が実数であることから導け。 [前問と同じ等式を使う]
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\(z^{2} + z'^{2} = 1\) のとき \(z,\ z'\) はとある楕円の軸の両端点を表す。さらにその楕円の焦点は点 \(1\) と点 \(-1\) である。 [楕円の半軸を \(CP,\ CD\)、焦点を \(S,\ H\) とする。このとき \(CD\) は \(\angle SPH\) の外角の二等分線と平行であり、さらに \(SP · HP = CD^{2}\) が成り立つ]
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\(|a + b|^{2} + |a - b|^{2} = 2\{|a|^{2} + |b|^{2}\}\) を示せ。 [これは「\(PQ\) の中点 \(M\)について \(OP^{2} + OQ^{2} = 2OM^{2} + 2MP^{2}\)」という幾何学の命題を解析学の言葉で表したものである]
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問題 8 を使って次の式を示せ: \[ | a + \sqrt{a^{2} - b^{2}} | + | a - \sqrt{a^{2} - b^{2}} | = | a + b | + | a - b | \] [\(a + \sqrt{a^{2} - b^{2}} = z_{1},\ a - \sqrt{a^{2} - b^{2}} = z_{2}\) とすれば \[ |z_{1}|^{2} + |z_{2}|^{2} = \tfrac{1}{2}|z_{1} + z_{2}|^{2} + \tfrac{1}{2}|z_{1} - z_{2}|^{2} = 2|a|^{2} + 2|a^{2} - b^{2}| \] および \[ (|z_{1}| + |z_{2}|)^{2} = 2\{|a|^{2} + |a^{2} - b^{2}| + |b|^{2}\} = |a + b|^{2} + |a - b|^{2} + 2|a^{2} - b^{2}| \] が成り立つ。こう言い換えることもできる: \(z_{1}\) と \(z_{2}\) を \(\alpha z^{2} + 2\beta z + \gamma = 0\) の根とすれば \[ |z_{1}| + |z_{2}| = \frac{1}{|\alpha|} \{(|-\beta + {\sqrt{\alpha\gamma}}|) + (|-\beta - {\sqrt{\alpha\gamma}}|)\} \] が成り立つ]
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方程式 \(z^{2} + az + b = 0\) の二つの根がどちらも大きさ \(1\) となる必要十分条件が \[ |a| \leq 2,\quad |b| = 1,\quad \arg b = 2\arg a \] であることを示せ。
[偏角が主値である必要はない]
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実数係数の方程式 \(x^{4} + 4a_{1}x^{3} + 6a_{2}x^{2} + 4a_{3}x + a_{4} = 0\) が二つの実根と二つの虚数根を持ち、それらが全て同一円周上にあるとする。このとき \[ a_{3}^{2} + a_{1}^{2}a_{4} + a_{2}^{3} - a_{2}a_{4} - 2a_{1}a_{2}a_{3} = 0 \] を示せ。
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次の条件が成り立つなら、\(a_{0}x^{4} + 4a_{1}x^{3} + 6a_{2}x^{2} + 4a_{3}x + a_{4} = 0\) の四つの根は調和関係にある: \[ a_{0}a_{3}^{2} + a_{1}^{2}a_{4} + a_{2}^{3} - a_{0}a_{2}a_{4} - 2a_{1}a_{2}a_{3} = 0 \] [\(z_{1},\ z_{2},\ z_{3},\ z_{4}\) を方程式の根とする。\(Z_{ab, cd} = (z_{c} - z_{a}) (z_{b} - z_{d}) + {}(z_{c} -z_{b}) (z_{a} - z_{d})\) として、\(Z_{23, 14} Z_{31, 24} Z_{12, 34}\) を係数を使って表す。]
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直線と虚数点: \(ax + by + c = 0\) を複素係数の方程式とする (もちろん特殊ケースとして実係数でもよい)。
\(x\) に具体的な実数または複素数の値を与えれば、対応する \(y\) の値が得られる。方程式を満たす複素数 \(x\) と \(y\) の組の集まりを虚直線 (imaginary straight line) と呼び、\(x\) と \(y\) の組を虚点 (imaginary point) と呼ぶ。\(x\) と \(y\) は点 \((x, y)\) の座標 (coordinate) である。\(x\) と \(y\) が実数の点を実点 (real point) と呼び、\(a,\ b,\ c\) が全て実数の (または共通因数で割るとそうなる) 直線を実直線と呼ぶ。\(x = \alpha + \beta i,\ y = \gamma + \delta i\) と \(x = \alpha - \beta i,\ y = \gamma - \delta i\) の二点、および次の二つの虚直線を共役 (conjugate) であると言う: \[ \begin{aligned} (A + A'i)x + (B + B'i)y + C + C'i & = 0, \\ (A - A'i)x + (B - B'i)y + C - C'i & = 0 \end{aligned} \]
任意の実直線は無限に多くの共役な虚点の組を持つこと、一般の虚直線はただ一つの実点を持つこと、虚直線は共役な虚点の組を含まないことを示せ。さらに \(\text{(a)}\) 二つの虚点を結ぶ直線が実直線となる条件、および \(\text{(b)}\) 二つの虚直線の交点が実点となる条件をそれぞれ求めよ。
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次の等式を示せ: \[ \begin{gathered} (x + y + z) (x + y\omega_{3} + z\omega_{3}^{2}) (x + y\omega_{3}^{2} + z\omega_{3}) = x^{3} + y^{3} + z^{3} - 3xyz,\\ (x + y + z) (x + y\omega_{5} + z\omega_{5}^{4}) (x + y\omega_{5}^{2} + z\omega_{5}^{3}) (x + y\omega_{5}^{3} + z\omega_{5}^{2}) (x + y\omega_{5}^{4} + z\omega_{5})\\ = x^{5} + y^{5} + z^{5} - 5x^{3}yz + 5xy^{2}z^{2} \end{gathered} \]
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次の方程式を解け: \[ x^{3} - 3ax + (a^{3} + 1) = 0, \] \[ x^{5} - 5ax^{3} + 5a^{2}x + (a^{5} + 1) = 0 \]
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\(f(x) = a_{0} + a_{1}x + \cdots + a_{k}x^{k}\) のとき \[ \frac{f(x) + f(\omega x) + \cdots + f(\omega^{n-1}x)}{n} = a_{0} + a_{n}x^{n} + a_{2n}x^{2n} + \cdots + a_{\lambda n}x^{\lambda n} \] が成り立つ。ここで \(\omega\) は \(x^{n} = 1\) の任意の (\(1\) でない) 根であり、\(\lambda n\) は \(k\) より小さい最大の \(n\) の倍数を表す。\(a_{\mu} + a_{\mu+n}x^{n} + a_{\mu+2n}x^{2n} + \cdots\) に対する同様の公式を示せ。
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もし \[ (1 + x)^{n} = p_{0} + p_{1}x + p_{2}x^{2} + \cdots \] で \(n\) が正の整数なら、次が成り立つ: \[ \begin{aligned} p_{0} - p_{2} + p_{4} - \cdots & = 2^{\frac{1}{2} n} \cos\frac{1}{4}n\pi, \\ p_{1} - p_{3} + p_{5} - \cdots & = 2^{\frac{1}{2} n} \sin\frac{1}{4}n\pi \end{aligned} \]
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次の級数の和を求めよ: \[ \frac{x}{2! (n - 2)} + \frac{x^{2}}{5! (n - 5)!} + \frac{x^{3}}{8! (n - 8)!} + \cdots + \frac{x^{n/3}}{(n - 1)!} \] \(n\) は \(3\) の倍数とする。
(Math. Trip. 1899.)
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複素数 \(t\) が \(|t| = 1\) を満たしながら変化するとき、\(x = (at + b)/(t - c)\) は直線上を動く。ただし \(|c| = 1\) の場合は除く。
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前問と同じ制約の下で \(t\) が動くとき、\(x = \frac{1}{2}\{at + (b/t)\}\) は一般に楕円を表す。その焦点は \(x^{2} = ab\) で与えられ、軸は \(|a| + |b|\) と \(|a| - |b|\) である。ただし \(|a| = |b|\) のとき \(x\) は二点 \(-\sqrt{ab}\) と \(\sqrt{ab}\) を結んだ線分を表す。
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\(t\) が実数で \(z = t^{2} - 1 + \sqrt{t^{4} - t^{2}}\) なら、\(t^{2} \lt 1\) のとき \(z\) は \(x^{2} + y^{2} + x = 0\) で表される円上にある。\(t^{2} \gt 1\) では \(\sqrt{t^{4} - t^{2}}\) が \(t^{4} - t^{2}\) の正の平方根を表すとして、\(t\) が大きな正の整数から大きな負の数に変化するときの \(z\) の動きを議論せよ。
(Math. Trip. 1912.)
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変換 \(z = (aZ + b)/(cZ + d)\) の係数が \(ad - bc = 1\) を満たすとする。\(c \neq 0\) なら、変換には二つの固定点 (fixed point)、つまり変換の前後で変化しない点 \(\alpha\) と \(\beta\) が存在することを示せ。ただし \((a + d)^{2} = 4\) のときには固定点は \(\alpha\) の一つだけとなる。さらに固定点が存在するこの二つのケースにおける変換がそれぞれ次の形で表せることを示せ: \[ \frac{z - \alpha}{z - \beta} = K\frac{Z - \alpha}{Z - \beta},\quad \frac{1}{z - \alpha} = \frac{1}{Z - \alpha} + K \]
そうでなくて \(c = 0\) なら、\(a = b\) でない限り固定点 \(\alpha\) が存在する。こちらの二つのケースは次のように表せる: \[ z - \alpha = K(Z - \alpha),\quad z = Z + K \]
最後に \(a,\ b,\ c,\ d\) が全て正の整数 (\(0\) 含む) という制限が加わったとする。このとき固定点が二つより少ない変換は \((1/z) = (1/Z) + K\) および \(z = Z + K\) という形に限ると示せ。
(Math. Trip. 1911.)
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関係 \(z = (1 + Zi)/(Z + i)\) が \(x\) 軸の \(z = 1\) と \(z = -1\) の間の部分を \(Z = 1\) と \(Z = -1\) を通る半円に変形することを示せ。\(x\) 軸のこの部分にこの変形を何度も適用することで得られる図形を全て求めよ。
(Math. Trip. 1912.)
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もし \(z = 2Z + Z^{2}\) なら、円 \(|Z| = 1\) は \(z\) 平面におけるカージオイドに対応する。
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\(z = \frac{1}{2}\{Z + (1/Z)\}\) を議論せよ。具体的には円 \(X^{2} + Y^{2} = \alpha^{2}\) が次の楕円に対応することを示せ。この楕円の焦点は \(\alpha\) に関わらず変化しない。 \[ \frac{x^{2}}{\left\{\dfrac{1}{2}\left(\alpha + \dfrac{1}{\alpha}\right)\right\}^{2}} + \frac{y^{2}}{\left\{\dfrac{1}{2}\left(\alpha - \dfrac{1}{\alpha}\right)\right\}^{2}} = 1 \]
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\((z + 1)^{2} = 4/Z\) のとき、\(z\) 平面上の単位円は \(Z\) 平面上の放物線 \(R\cos^{2} \frac{1}{2}\Theta = 1\) に対応する。円の内側は放物線の外側となる。
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変換 \(z = \{(Z - ci)/(Z + ci)\}^{2}\) が \(z\) 平面の上半分を \(Z\) 平面上のある半円の内側に対応させることを示せ。
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\(z = Z^{2} - 1\) とする。\(z\) が円 \(|z| = \kappa\) を表すとき、対応する二つの \(Z\) はカッシーニの卵形線 (Cassinian oval) \(\rho_{1}\rho_{2} = \kappa\) を表す。\(\rho_{1},\ \rho_{2}\) は \(Z\) から \(-1,\ 1\) への長さにそれぞれ等しい。異なる \(\kappa\) の値に対する卵形線を描け。
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等式 \(az^{2} + 2hzZ + bZ^{2} + 2gz + 2fZ + c = 0\) を考える。対応する \(z\) の値が \(Z\) と等しくなる \(Z\) の値が存在すること、およびその逆を示せ。これらの点をそれぞれ \(Z\) 平面および \(z\) 平面における分岐点 (branch point) と呼ぶ。\(z\) が分岐点を焦点とする楕円を表すとき、\(Z\) も同じ図形を表すことを示せ。
[与えられた等式は一般性を失うことなく \[ z^{2} + 2zZ\cos\omega + Z^{2} = 1 \] と変形できる (自分で確認すること)。それぞれの平面における分岐点は \(\cosec\omega\) と \(-\cosec\omega\) であり、分岐点を焦点とする楕円は次の形で表せる: \[ |z + \cosec\omega| + |z - \cosec\omega| = C \] ここで \(C\) は定数である。問題 9 よりこれは \[ |z + \sqrt{z^{2} - \cosec^{2}\omega}| + |z - \sqrt{z^{2} - \cosec^{2}\omega}| = C \] に等しい。これを \(Z\) で表せば証明すべき命題が示せる]
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\(m,\ n\) を正の整数、\(a,\ b\) を実数とする。 \(z = aZ^{m} + bZ^{n}\) で \(Z\) が単位円を表すなら、\(z\) はハイポサイクロイド (hypocycloid) またの名をエピサイクロイド (epicycloid) を表す。
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変換 \[ z = \frac{(a + di)Z_{0} + b}{cZ_{0} - (a - di)} \] を考える。ここで \(a,\ b,\ c,\ d\) は実数で \(a^{2} + d^{2} + bc \gt 0\) が成り立ち、\(Z_{0}\) は \(Z\) の共役を表すとする。この変換が次の円に関する反転に等しいことを示せ: \[ c(x^{2} + y^{2}) - 2ax - 2dy - b = 0 \] 次の条件が成り立つとき、この変換は幾何学的にどう解釈できるか? \[ a^{2} + d^{2} + bc \lt 0 \]
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変換 \[ \frac{1 - z}{1 + z} = \left(\frac{1 - Z}{1 + Z}\right)^{c} \] を考える。\(c\) が有理数で \(0 \lt c \lt 1\) のとき、この変換で円 \(|z| = 1\) を変換すると角度 \(\pi/c\) の三日月形 (circular lune) の境界が得られる。