第五章に関するその他の例
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\(a\) と \(b\) が \(0\) でないなら \[ ax^{n} + bx^{n-1} + \cdots + k = ax^{n} (1 + \varepsilon_{x}) \] が成り立つ。ここで \(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が大きいときに一次の小ささを持つ式を表す。
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\(P(x) = ax^{n} + bx^{n-1} + \cdots + k\) で \(a\) が \(0\) でないとする。\(x\) を大きくしていくと、いずれ \(P(x)\) は \(a\) と同じ符号を持つようになる。また任意の正の定数 \(\lambda\) に対する \(P(x + \lambda) - P(x)\) も同様の振る舞いをする。
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一般に \[ \dfrac{ax^{n} + bx^{n-1} + \cdots + k}{Ax^{n} + Bx^{n-1} + \cdots + K} = \alpha + \frac{\beta}{x}(1 + \varepsilon_{x}) \] だと示せ。ここで \(\alpha = a/A,\ \beta = (bA - aB)/A^{2}\) で、\(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が大きいときに一次の小ささを持つ式とする。例外的な場合を全て示せ。
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式 \[ \frac{ax^{2} + bx + c}{Ax^{2} + Bx + C} \] を次の形で表せ: \[ \alpha + \frac{\beta}{x} + (1 + \varepsilon_{x})\frac{\gamma}{x^{2}} \] ここで \(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が大きいときに一次の小ささを持つ式とする。
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次を示せ: \[ \lim_{x\to\infty}\sqrt{x}\{\sqrt{x + a} - \sqrt{x}\} = \dfrac{1}{2} a \]
[等式 \(\sqrt{x + a} - \sqrt{x} = \dfrac{a}{\sqrt{x + a} + \sqrt{x}}\) を使う]
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\(\sqrt{x + a} = \sqrt{x} + \dfrac{a}{2\sqrt{x}} (1 + \varepsilon_{x})\) を示せ。\(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が大きいときに一次の大きさを持つ式とする。
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\(x \to \infty\) で \(\sqrt{a x^{2} + 2bx + c} - \alpha x - \beta\) が \(0\) に向かうような \(\alpha\) と \(\beta\) を求めよ。そのとき \(\displaystyle \lim_{x \to \infty} x\{\sqrt{ax^{2} + 2bx + c} - \alpha x - \beta\} = (ac - b^{2})/2a\) だと示せ。
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次の値を求めよ: \[ \lim_{x \to\infty} x\left\{\sqrt{x^{2} + \sqrt{x^{4} + 1}} - x\sqrt{2}\right\} \]
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\(x \to \dfrac{1}{2}\pi\) のとき \((\sec x - \tan x) \to 0\) だと示せ。
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\(x\) が小さいとき \(\phi(x) = 1 - \cos(1 - \cos x)\) は四次の小ささを持つと示し、\(x \to 0\) における \(\phi(x)/x^{4}\) の極限を求めよ。
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\(x\) が小さいとき \(\phi(x) = x\sin(\sin x) - \sin^{2}x\) は六次の小ささを持つと示し、\(x \to 0\) における \(\phi(x)/x^{6}\) の極限を求めよ。
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円の半径 \(OA\) を外側に伸ばし、その上に点 \(P\) を取る。\(P\) から円に引いた接線の接点を \(T\) として、\(T\) から \(OA\) に向かって伸ばした垂線の足を \(N\) とする。\(P\) が \(A\) に近づくとき \(NA/AP \to 1\) だと示せ。
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円弧の端点および中点で接線を引く。円弧の端点を通る接線と円弧の弦からなる三角形の面積を \(\Delta\) とし、三本の接線で囲まれた領域の面積を \(\Delta'\) とする。弧の長さが \(0\) に向かうとき \(\Delta/\Delta' \to 4\) だと示せ。
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\(x \to 0\) で \(\{a + \sin(1/x)\}/x\) が \(\infty\) および \(-\infty\) に向かうための条件はそれぞれ何か? [\(a \gt 1\) なら \(\infty\) に向かい、\(a \lt -1\) なら \(-\infty\) に向かう。\(-1 \leq a \leq 1\) なら振動する]
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\(x\) が有理数 \(p/q\) のとき \(\phi(x) = 1/q\) で、\(x\) が無理数のとき \(\phi(x) = 0\) とする。この \(\phi(x)\) は全ての無理数 \(x\) で連続で、全ての有理数 \(x\) で不連続となる。
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次の二つの関数のグラフが、どちらも 図 32 となること示せ; \[ 1 - x + [x] - [1 - x],\quad 1 - x - \lim_{n\to\infty} (\cos^{2n+1}\pi x) \]
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\(x = 0\) で \(0\) となり、\(0 \lt x \lt \frac{1}{2}\) で \(\frac{1}{2} - x\) となり、\(x = \frac{1}{2}\) で \(\frac{1}{2}\) となり、\(\frac{1}{2} \lt x \lt 1\) で \(\frac{3}{2} - x\) となり、\(x = 1\) で \(1\) となる関数 \(\phi(x)\) を考える。\(x\) が \(0\) から \(1\) まで増加するとき \(\phi(x)\) は \(0\) から \(1\) の値をちょうど一度ずつ取るものの、\(\phi(x)\) は \(x = 0,\ x = \frac{1}{2},\ x = 1\) で不連続だと示せ。また \(\phi(x)\) が \[ \dfrac{1}{2} - x - \dfrac{1}{2}[2x] - \dfrac{1}{2}[1 - 2x] \] と表せることを示せ。
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\(x\) が有理数のとき \(\phi(x) = x\) で、\(x\) が無理数のとき \(\phi(x) = 1 - x\) と定める。\(x\) が \(0\) から \(1\) まで増加するとき \(\phi(x)\) は \(0\) から \(1\) までの全ての値を取るものの、\(\phi(x)\) は \(x = \frac{1}{2}\) を除いた全ての値で不連続だと示せ。
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\(x\) が \(-\frac{1}{2}\pi\) から \(\frac{1}{2}\pi\) まで増加するとき \(y = \sin x\) は連続で、\(-1\) から \(1\) まで狭義単調増加する。\(y = -1\) から \(y = 1\) まで連続かつ単調増加な関数 \(x = \arcsin y\) の存在を導け。
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最も原点に近い \(\arctan y\) の値は全ての \(y\) に対して連続であり、\(y\) が全ての実数を動くとき \(-\frac{1}{2}\pi\) から \(\frac{1}{2}\pi\) まで単調に増加することを示せ。
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§108–§109 と同じ方法で、\(x = 0,\ y = 0\) の近傍における方程式 \[ \begin{gathered} y^{2} - y - x = 0,\quad y^{4} - y^{2} - x^{2} = 0,\quad y^{4} - y^{2} + x^{2} = 0 \end{gathered} \] の解について議論せよ。
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\(ax^{2} + 2bxy + cy^{2} + 2dx + 2ey = 0\) および \(\Delta = 2bde - ae^{2} - cd^{2}\) とする。このとき \(y\) が \(y = \alpha x + \beta x^{2} + (\gamma + \varepsilon_{x}) x^{3}\) で与えられると示せ。ここで \[ \begin{aligned} \alpha & = -\frac{d}{e},\quad \beta & = \frac{\Delta}{2e^{3}},\quad \gamma & = \frac{(cd - be) \Delta}{2e^{5}} \end{aligned} \] であり、\(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が小さいときに一次の小ささを持つ式を表す。
[\(y - \alpha x = \eta\) とすれば \[ \begin{aligned} -2e\eta & = ax^{2} + 2bx(\eta + \alpha x) + c(\eta + \alpha x)^{2} \\ & = Ax^{2} + 2Bx \eta + C\eta^{2} \end{aligned} \] なので、\(\eta\) は二次の小ささ、\(x\eta\) は三次の小ささ、\(\eta^{2}\) は四次の小ささを持つ。よって \(-2e\eta = Ax^{2} - (AB/e) x^{3}\) とすれば誤差は四次となる]
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\(x = ay + by^{2} + cy^{3}\) なら、\(y\) の一つは \[ y = \alpha x + \beta x^{2} + (\gamma + \varepsilon_{x}) x^{3} \] と表せる。ここで \(\alpha = 1/a,\ \beta = -b/a^{3},\ \gamma = (2b^{2} - ac)/a^{5}\) であり、\(\varepsilon\) は \(x\) が小さいときに一次の大きさを持つ式を表す。
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\(n\) が \(2\) 以上の整数で、\(x = ay + by^{n}\) が成り立つとする。このとき \(y\) の一つは \(y = \alpha x + \beta x^{n} + (\gamma + \varepsilon_{x}) x^{2n-1}\) と表せる。ここで \(\alpha = 1/a,\ \beta = -b/a^{n+1}\) および \(\gamma = nb^{2}/a^{2n+1}\) で、\(\varepsilon_{x}\) は \(x\) が小さいときに \(n - 1\) 次の小ささを持つ式を表す。
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\(xy = \sin x\) の最も小さい正の解が \([0, 1]\) で連続な \(y\) の関数であり、\(y\) が \(0\) から \(1\) まで増加するとき \(\pi\) から \(0\) まで単調に減少することを示せ。 [この関数は \(\sin x/x\) の逆関数であり、§109 の結果を適用できる]
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\(xy = \tan x\) の最も小さい正の解が \([1, \infty]\) で連続な \(y\) の関数であり、\(y\) が \(1\) から \(\infty\) まで増加するとき \(0\) から \(\frac{1}{2}\pi\) まで単調に増加すると示せ。