第六章に関するその他の例
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\(x \leq 0\) で \(1 + x\)、\(0 \lt x \lt 1\) で \(x\)、\(1 \leq x \leq 2\) で \(2 - x\)、\(x \gt 2\) で \(3x - x^{2}\) となる関数を \(f(x)\) とする。\(x = 0,\ 1,\ 2\) における \(f(x)\) の連続性および \(f'(x)\) の存在と連続性を議論せよ。
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\(a,\ ax + b,\ ax^{2} + 2bx + c,\ \ldots\) をそれぞれ \(u_{0},\ u_{1},\ u_{2},\ \ldots\) と表記する。このとき \(u_{0}^{2} u_{3} - 3u_{0} u_{1} u_{2} + 2u_{1}^{3}\) と \(u_{0} u_{4} - 4u_{1} u_{3} + 3u_{2}^{2}\) が \(x\) によらないと示せ。
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定数 \(a_{0},\ a_{1},\ \ldots,\ a_{2n}\) に対して \(U_{r} = (a_{0}, a_{1},\ \ldots, a_{r} \mathbin{)\kern-5pt(} x, 1)^{r}\) とする1。このとき \[ U_{0}U_{2n} - 2nU_{1}U_{2n-1} + \frac{2n(2n - 1)}{1·2} U_{2}U_{2n-2} - \cdots + U_{2n}U_{0} \] は \(x\) によらない。 [微分して等式 \(U_{r}' = rU_{r-1}\) を使う]
(Math. Trip. 1896.)
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\(\mu \gt 1\) なら、\(\arcsin(\mu\sin x) - x\) の一次・二次・三次導関数は全て \(0 \leq x \leq \frac{1}{2} \pi\) で正となる。
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とある行列の行列式が \(x\) の関数だとする。この行列式の微分係数が、一つの行だけを微分して他の行はそのままにした行列の行列式の和と等しいことを示せ。
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\(f_{1},\ f_{2},\ f_{3},\ f_{4}\) を次数が \(4\) 以下の多項式とする。このとき \[ \begin{vmatrix} f_{1}& f_{2}& f_{3}& f_{4}\\ f_{1}'& f_{2}'& f_{3}'& f_{4}'\\ f_{1}''& f_{2}''& f_{3}''& f_{4}''\\ f_{1}'''& f_{2}'''& f_{3}'''& f_{4}''' \end{vmatrix} \] も次数が \(4\) 以下の多項式だと示せ。 [行列式を五回微分すると \(0\) になることを問題 5 の結果を使って示す]
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\(y^{3} + 3yx + 2x^{3} = 0\) なら \(x^{2}(1 + x^{3})y'' - \dfrac{3}{2}xy' + y = 0\) が成り立つ。
(Math. Trip. 1903.)
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微分方程式 \(y = \phi\{\psi(y_{1})\} + \phi\{x - \psi(y_{1})\}\) が \(y = \phi(c) + \phi(x - c)\) と \(y = 2\phi(\frac{1}{2}x)\) によって満たされることを確認せよ。\(y_{1}\) は \(y\) の導関数、\(\psi\) は \(\phi'\) の逆関数とする。
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微分方程式 \(y = \{x/\psi(y_{1})\} \phi\{\psi(y_{1})\}\) が \(y = c\phi(x/c)\) と \(y = \beta x\) によって満たされることを確認せよ。\(\beta = \phi(\alpha)/\alpha\) であり、\(\alpha\) は \(\phi(\alpha) - \alpha\phi'(\alpha) = 0\) の任意の根と定める。他の記号は問題 8 と同様とする。
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\(ax + by + c = 0\) なら \(y_{2} = 0\) が成り立つ (関数に付いた添え字で \(x\) に関する微分の回数を表す)。この事実を全ての直線を表す一般的な微分方程式は \(\bm{y_{2} = 0}\) であると表現する。次の図形を表す一般的な微分方程式を求めよ: (i) 中心が \(x\) 軸上にある全ての円 (ii) 軸が \(x\) 軸に重なる全ての放物線 (iii) 軸が \(y\) 軸と平行な全ての放物線 (iv) 全ての円 (v) 全ての放物線 (vi) 全ての円錐曲線。
[答えの方程式は (i) \(1 + y_{1}^{2} + yy_{2} = 0,\ \) (ii) \(y_{1}^{2} + yy_{2} = 0,\ \) (iii) \(y_{3} = 0,\ \) (iv) \((1 + y_{1}^{2}) y_{3} = 3y_{1} y_{2}^{2},\ \) (v) \(5y_{3}^{2} = 3y_{2} y_{4},\ \) (vi) \(9y_{2}^{2} y_{5} - 45y_{2} y_{3} y_{4} + 40y_{3}^{3} = 0\) である。いずれの場合でも、調べる曲線を表す一般的な方程式を考え、それを任意定数がなくなるまで微分すればそれだけで答えが得られる]
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全ての放物線および全ての円錐曲線を表す一般的な微分方程式が、それぞれ \[ D_{x}^{2} (y_{2}^{-2/3}) = 0,\quad D_{x}^{3} (y_{2}^{-2/3}) = 0 \] なことを示せ。
[円錐曲線の方程式は \[ y = ax + b ± \sqrt{px^{2} + 2qx + r} \] と書ける。ここから \[ y_{2} = ±\frac{pr - q^{2}}{(px^{2} + 2qx + r)^{3/2}} \] が分かる。放物線では加えて \(p = 0\) が成り立つ]
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\(\dfrac{dy}{dx},\ \dfrac{1}{2!}\, \dfrac{d^{2}y}{dx^{2}},\ \dfrac{1}{3!}\, \dfrac{d^{3}y}{dx^{3}},\ \dfrac{1}{4!}\, \dfrac{d^{4}y}{dx^{4}},\ \ldots\) を \(t,\ a,\ b,\ c,\ \ldots\) と表記し、\(\dfrac{dx}{dy},\ \dfrac{1}{2!}\, \dfrac{d^{2}x}{dy^{2}},\ \dfrac{1}{3!}\, \dfrac{d^{3}x}{dy^{3}}\), \(\dfrac{1}{4!}\, \dfrac{d^{4}x}{dy^{4}},\ \ldots\) を \(\tau,\ \alpha,\ \beta,\ \gamma,\ \ldots\) と表記する。このとき \[ 4ac - 5b^{2} = \frac{4\alpha\gamma - 5\beta^{2}}{\tau^{8}},\quad bt - a^{2} = - \frac{\beta\tau - \alpha^{2}}{\tau^{6}} \] を示せ。同様の等式を \(a^{2}d - 3abc - 2b^{3},\ (1 + t^{2})b - 2a^{2}t,\ 2ct - 5ab\) に対してそれぞれ求めよ。
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\(y = \sin(n\arcsin x)\) の \(k\) 次導関数を \(y_{k}\) とする。等式 \[ (1 - x^{2})y_{k+2} - (2k + 1)xy_{k+1} + (n^{2} - k^{2})y_{k} = 0 \] を示せ。
[\(k = 0\) の場合をまず証明し、それからライプニッツの定理を使って \(k\) 回微分する]
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等式 \[ vD_{x}^{n}u = D_{x}^{n}(uv) - nD_{x}^{n-1}(uD_{x}v) + \frac{n(n - 1)}{1·2} D_{x}^{n-2}(uD_{x}^{2}v) - \cdots \] を示せ。\(n\) は正の整数とする。 [数学的帰納法を使う]
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次の式で与えられる曲線を考える: \[ \begin{aligned} x & = a(2\cos t + \cos 2t),\quad y & = a(2\sin t - \sin 2t) \end{aligned} \]
次を示せ: (i) パラメータ \(t = t\) に対応する点における接線と法線の方程式が \[ x\sin \dfrac{1}{2} t + y\cos \dfrac{1}{2} t = a\sin \dfrac{3}{2} t,\quad x\cos \dfrac{1}{2} t - y\sin \dfrac{1}{2} t = 3a\cos \dfrac{3}{2} t \] であること (ii) \(P\) における接線が曲線と交わる点 \(Q,\ R\) のパラメータがそれぞれ \(-\frac{1}{2}t\) と \(\pi - \frac{1}{2} t\) であること (iii) \(QR = 4a\) (iv) \(Q\) と \(R\) における接線が直行し、交点が円 \(x^{2} + y^{2} = a^{2}\) 上にあること (v) \(P,\ Q,\ R\) における法線が一点で交わり、交点が円 \(x^{2} + y^{2} = 9a^{2}\) 上にあること (vi) 曲線の方程式が \[ (x^{2} + y^{2} + 12ax + 9a^{2})^{2} = 4a(2x + 3a)^{3} \] であること。
曲線の概形を図示せよ。
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問題 15 の曲線の定義は \(\xi/a = 2u + (1/u^{2}),\ \eta/a = (2/u) + u^{2}\) と書けることを示せ。\(\xi = x + yi,\ \eta = x - yi\), \(u = \operatorname{Cis} t\) とする。点 \(u\) における接線と法線が \[ u^{2}\xi - u\eta = a(u^{3} - 1),\quad u^{2}\xi + u\eta = 3a(u^{3} + 1) \] だと示し、問題 15 の (ii)–(v) を証明せよ。
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\(x^{4} + 4px^{3} - 4qx - 1 = 0\) が重根を持つ条件が \((p + q)^{2/3} - (p - q)^{2/3} = 1\) だと示せ。
(Math. Trip. 1898.)
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三次方程式 \(f(x) = 0\) の根を小さい順に \(\alpha,\ \beta,\ \gamma\) とする。\([\alpha, \beta]\) と \([\beta, \gamma]\) を六等分すると、\(f'(x) = 0\) の根がそれぞれ \(\beta\) から数えて四つ目の小区間に属することを示せ。\(f'(x) = 0\) の根が分割点に一致する場合が二つあるが、このとき三次方程式はどのような性質を持つか?
(Math. Trip. 1907.)
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次に示す関数を \(f(x)\) として、\(f(x)\) の極大値と極小値および \(f(x) = 0\) の実根を調べよ: \[ \begin{gathered} x - \sin x - \tan\alpha (1 - \cos x),\\ x - \sin x - (\alpha - \sin\alpha) - \tan \dfrac{1}{2}\alpha (\cos\alpha - \cos x) \end{gathered} \] \(\alpha\) は \(0\) から \(\pi\) の角度とする。最初の関数が二重根を持つ条件が「\(\tan\alpha - \alpha\) が \(\pi\) の倍数」だとを示せ。
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比 \(\lambda : \mu\) を調整することで、\(\lambda(ax^{2} + bx + c) + \mu(a'x^{2} + b'x + c') = 0\) の根を実数とし、その差を任意の値とできることを示せ。ただしこの式に含まれる二つの二次方程式が実根を持ち、その区間が重なる場合は除く。この場合には根が必ず実数となるが、その差に下限が存在する。
(Math. Trip. 1895.)
[関数 \(\dfrac{ax^{2} + bx + c}{a'x^{2} + b'x + c'}\) のグラフの形を考える。例 46.12 などを参照]
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\(0 \lt x \lt 1\) のとき \[ \pi \lt \frac{\sin \pi x}{x(1 - x)} \leq 4 \] だと示し、この関数のグラフを描け。
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次の関数のグラフを描け: \[ \pi \cot\pi x - \frac{1}{x} - \frac{1}{x - 1} \]
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次の微分方程式で定義される \(y\) のグラフの概形を描け: \[ \frac{dy}{dx} = \frac{(6x^{2} + x - 1) (x - 1)^{2} (x + 1)^{3}}{x^{2}} \]
(Math. Trip. 1908.)
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長方形の紙を折って、角の一つが反対側の辺の上にあるようにする。折り目の長さを極大にする折り方を求めよ。
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楕円 \(\dfrac{x^{2}}{a^{2}} + \dfrac{y^{2}}{b^{2}} = 1\) と中心が同じ円が交わる鋭角の最大値は \(\arctan\dfrac{a^{2} - b^{2}}{2ab}\) である。
(Math. Trip. 1900.)
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三角形の面積と \(\Delta\) と周囲の長さの半分 \(s\) が固定されている。いずれかの辺の長さの極大値または極小値が \(s(x - s) x^{2} + 4\Delta^{2} = 0\) を満たすことを示せ。方程式の根の存在、そしてそれが極大値と極小値のどちらなのかについて議論せよ。
[\(a + b + c = 2s\) と \(s(s - a)(s - b)(s - c) = \Delta^{2}\) を使えば \(a\) と \(b\) を \(c\) の関数として表せる。\(c\) に関して微分して \(da/dc = 0\) とすると \(b = c\) かつ \(s - b = s - c = \frac{1}{2} a\) が得られ、ここから \(s(a - s)a^{2} + 4\Delta^{2} = 0\) が得られる。
この方程式は \(s^{4} \gt 27\Delta^{2}\) なら三つの実根を持ち、そうでなければ一つの実根を持つ。三辺が等しいとき (固定された面積に対する周りの長さが極小の三角形のとき) \(s^{4} = 27\Delta^{2}\) が成り立つので、\(s^{4} \lt 27\Delta^{2}\) にはならない。よって上の \(a\) に関する方程式は三つの実根を持つ。さらに三つの根の和が正で積が負だから、二つの根が正でもう一つが負と分かる。二つの正の根のうち一つが極大値に対応し、もう一つが極小値に対応する]
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与えられた三点 \(A,\ B,\ C\) を通る面積最大の正三角形の面積は \[ 2\Delta + \frac{a^{2} + b^{2} + c^{2}}{2\sqrt{3}} \] である。\(a,\ b,\ c\) は \(\triangle ABC\) の三辺の長さで、\(\Delta\) はその面積とする。
(Math. Trip. 1899.)
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頂点の一つが原点にあり、底角がカージオイド \(r = a(1 + \cos\theta)\) 上にある二等辺三角形の面積の極大値を \(\Delta,\ \Delta'\) とすると、\(256\Delta\Delta' = 25a^{4}\sqrt{5}\) が成り立つ。
(Math. Trip. 1907.)
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点 \((x, y)\) が曲線 \(x^{2}y - 4x^{2} - 4xy + y^{2} + 16x - 2y - 7 = 0\) を通って \((2, 3)\) に近づくときの \((x^{2} - 4y + 8)/(y^{2} - 6x + 3)\) の極限を求めよ。
(Math. Trip. 1903.)
[\((2, 3)\) を新しい原点として取ると、曲線の方程式は \(\xi^{2} \eta - \xi^{2} + \eta^{2} = 0\) となり、極限を求める関数の式は \((\xi^{2} + 4\xi - 4\eta)/(\eta^{2} + 6\eta - 6\xi)\) となる。\(\eta = t\xi\) とすると \(\xi = (1 - t^{2})/t,\ \eta = 1 - t^{2}\) を得る。曲線は原点が分岐点となっており、これは \(t = -1\) と \(t = 1\) に対応する。与えられた関数を \(t\) を使って書き直し、\(t\) を \(-1\) あるいは \(1\) に向かわせれば、極限がそれぞれ \(-\frac{3}{2}\) と \(-\frac{2}{3}\) だと分かる]
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もし \[ f(x) = \dfrac{1}{\sin x - \sin a} - \dfrac{1}{(x - a)\cos a} \] なら \[ \frac{d}{da}\{\lim_{x \to a} f(x)\} - \lim_{x \to a}f'(x) = \dfrac{3}{4} \sec^{3} a - \dfrac{5}{12} \sec a \] が成り立つ。
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\(\phi(x) = 1/(1 + x^{2})\) なら \(\phi^{n} (x) = Q_{n}(x)/(1 + x^{2})^{n+1}\) だと示せ。\(Q_{n}(x)\) は次数 \(n\) の多項式を表す。さらに次を示せ:
- \(Q_{n+1} = (1 + x^{2}) Q_{n}' - 2(n + 1) x Q_{n}\)
- \(Q_{n+2} + 2(n + 2) x Q_{n+1} + (n + 2)(n + 1)(1 + x^{2})Q_{n} = 0\)
- \((1 + x^{2}) Q_{n}'' - 2nx Q_{n}' + n(n + 1)Q_{n} = 0\)
- \(Q_{n} = (-1)^{n} n!\left\{(n + 1)x^{n} - \dfrac{(n + 1)n(n - 1)}{3!} x^{n-2} + \cdots\right\}\)
- \(Q_{n}\) の根は全て実数で、\(Q_{n-1} = n\) の根によって分断される。
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\(f(x),\ \phi(x),\ \psi(x)\) が \(a \leq x \leq b\) で導関数を持つなら、\(a\) と \(b\) の間のある \(\xi\) で次が成り立つ: \[ \begin{vmatrix} f(a) & \phi(a) & \psi(a)\\ f(b) & \phi(b) & \psi(b)\\ f'(\xi)& \phi'(\xi)& \psi'(\xi) \end{vmatrix} =0 \] [三行目を \(f(x),\ \phi(x),\ \psi(x)\) に入れ替えて得られる関数を考える。この命題で \(\phi(x) = x,\ \psi(x) = 1\) とすると平均値の定理 (§125) が得られる]
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問題 32 から次の等式を導け: \[ \frac{f(b) - f(a)}{\phi(b) - \phi(a)} = \frac{f'(\xi)}{\phi'(\xi)} \]
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\(x \to \infty\) のとき \(\phi'(x) \to a\) なら \(\phi(x)/x \to a\) が成り立ち、\(\phi'(x) \to \infty\) なら \(\phi(x) \to \infty\) が成り立つ。 [\(x_{0} \lt \xi \lt x\) に対する等式 \(\phi(x) - \phi(x_{0}) = (x - x_{0})\phi'(\xi)\) を使う]
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\(x \to \infty\) のとき \(\phi(x) \to a\) なら、\(\phi'(x)\) は \(0\) 以外の極限に向かわない。
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\(x \to \infty\) のとき \(\phi(x) + \phi'(x) \to a\) なら、\(\phi(x) \to a\) かつ \(\phi'(x) \to 0\) が成り立つ。
[\(\phi(x) = a + \psi(x)\) とすれば \(\psi(x) + \psi'(x) \to 0\) となる。もし十分大きい \(x\) で \(\psi'(x)\) の符号が一定 (正とする) なら \(\psi(x)\) は単調増加であり、極限 \(l\) または \(\infty\) に向かう。\(\psi(x) \to \infty\) なら \(\psi(x) + \psi'(x) \to 0\) より \(\psi'(x) \to -\infty\) だが、これは \(\phi'(x)\) の符号に関する仮定に反する。\(\psi(x) \to l\) なら \(\phi'(x) \to -l\) だが、これは \(l = 0\) でない限りあり得ない (問題 35)。同様の理由で \(\psi'(x)\) が極限で負になることもない。一方 \(\psi(x)\) の符号が変化し極限が存在しないなら、\(\psi(x)\) には極大値と極小値が存在する。\(\psi(x)\) が極大または極小となる大きい \(x\) では \(\psi(x) + \psi'(x)\) が小さくなり、さらに \(\psi'(x) = 0\) が成り立つ。よって \(\psi(x)\) も小さい。以上より、どんな場合でも \(x\) が大きいときの \(\psi(x)\) は小さいと分かる
この定理の一般化および別証明は拙著 Generalisations of a limit theorem of Mr Mercer, volume 43, Quarterly Journal of Mathematics を参照。上述の単純な証明は E・W・ホブソン教授によって提案された]
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\(\displaystyle\int R\left\{x, \sqrt{\frac{ax + b}{mx + n}}, \sqrt{\frac{cx + d}{mx + n}}\right\} dx\) を有理関数の積分に帰着させる方法を示せ。[\(mx + n = 1/t\) として 例 49.13 を使う]
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次の積分を計算せよ: \[ \small \begin{gathered} \int \frac{dx}{(1 + x^{2})^{3}},\quad \int \sqrt{\frac{x - 1}{x + 1}}\, \frac{dx}{x},\quad \int \frac{x\, dx}{\sqrt{1 + x} - \sqrt[3]{1 + x}},\\ \int \sqrt{a^{2} + \sqrt{b^{2} + \frac{c}{x}}}\, dx,\quad \int \cosec^{3}x\, dx,\quad \int \frac{5\cos x + 6}{2\cos x + \sin x + 3}\, dx,\\ \int \frac{dx}{(2 - \sin^{2}x) (2 + \sin x - \sin^{2} x)},\quad \int \frac{\cos x\sin x \, dx}{\cos^{4}x + \sin^{4}x},\quad \int \cosec x \sqrt{\sec 2x}\, dx,\\ \int \frac{dx}{\sqrt{(1 + \sin x) (2 + \sin x)}},\quad \int \frac{x + \sin x}{1 + \cos x}\, dx,\quad \int \text{arcsec } x\, dx,\quad \int (\arcsin x)^{2}\, dx,\\ \int x\arcsin x\, dx,\quad \int \frac{x\arcsin x}{\sqrt{1 - x^{2}}}\, dx,\quad \int \frac{\arcsin x}{x^{3}}\, dx,\quad \int \frac{\arcsin x}{(1 + x)^{2}}\, dx,\\ \int \frac{\arctan x}{x^{2}}\, dx,\quad \int \frac{\arctan x}{(1 + x^{2})^{3/2}}\, dx,\quad \int \frac{\log(\alpha^{2} + \beta^{2}x^{2})}{x^{2}}\, dx,\quad \int \frac{\log(\alpha + \beta x)}{(a + bx)^{2}}\, dx \end{gathered} \]
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帰着の公式
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次を示せ: \[ \begin{aligned} & 2(n - 1)(q - \dfrac{1}{4}p^{2}) \int \frac{dx}{(x^{2} + px + q)^{n}} \\ & \qquad = \frac{x + \frac{1}{2}p}{(x^{2} + px + q)^{n-1}} + (2n - 3) \int \frac{dx}{(x^{2} + px + q)^{n-1}} \end{aligned} \]
[\(x + \frac{1}{2}p = t,\ q - \frac{1}{4}p^{2} = \lambda\) とすれば \[ \begin{aligned} \int \frac{dt}{(t^{2} + \lambda)^{n}} & = \frac{1}{\lambda} \int \frac{dt}{(t^{2} + \lambda)^{n-1}} - \frac{1}{\lambda} \int \frac{t^{2}\, dt}{(t^{2} + \lambda)^{n}} \\ & = \frac{1}{\lambda} \int \frac{dt}{(t^{2} + \lambda)^{n-1}} + \frac{1}{2\lambda(n-1)} \int t \frac{d}{dt} \left\{\frac{1}{(t^{2} + \lambda)^{n-1}}\right\} dt \end{aligned} \] を得る。部分積分を使えば示すべき式が求まる。
こういった等式を帰着の公式 (formula of reduction) と呼ぶ。\(n\) が正の整数の場合が一番よく使われる。\(\displaystyle\int \frac{dx}{(x^{2} + px + q)^{n}}\) が \(\displaystyle\int \frac{dx}{(x^{2} + px + q)^{n-1}}\) で表されているので、全ての \(n\) に対する積分を順に求められる]
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\(I_{p, q} = \displaystyle\int x^{p}(1 + x)^{q}\, dx\) とする。このとき \[ (p + 1) I_{p, q} = x^{p+1}(1 + x)^{q} - qI_{p+1, q-1} \] を示し、\(I_{p, q}\) と \(I_{p-1, 1+1}\) を関連付ける同様の等式を求めよ。さらに置換 \(x = -y(1 + y)\) を使って次の等式を示せ: \[ I_{p, q} = (-1)^{p+1} \int y^{p} (1 + y)^{-p-q-2}\, dy \]
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\(X = a + bx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ \begin{aligned} \int xX^{-1/3}\, dx & = -\frac{3}{10b^{2}}(3a - 2bx) X^{2/3}, \\ \int x^{2}X^{-1/3}\, dx & = \frac{3}{40b^{3}}(9a^{2} - 6abx + 5b^{2}x^{2}) X^{2/3},\\ \int xX^{-1/4}\, dx & = -\frac{4}{21b^{2}}(4a - 3bx) X^{3/4},\\ \int x^{2}X^{-1/4}\, dx & = \frac{4}{231b^{3}}(32a^{2} - 24abx + 21b^{2}x^{2}) X^{3/4} \end{aligned} \]
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\(I_{m, n} = \displaystyle\int \frac{x^{m}\, dx}{(1 + x^{2})^{n}}\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ 2(n - 1)I_{m, n} = -x^{m-1} (1 + x^{2})^{-(n-1)} + (m - 1)I_{m-2, n-1} \]
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\(I_{n} = \displaystyle\int x^{n} \cos\beta x\, dx\) および \(J_{n} = \displaystyle\int x^{n} \sin\beta x\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ \begin{gathered} \beta I_{n} = \hphantom{-} x^{n} \sin\beta x - nJ_{n-1},\\ \beta J_{n} = -x^{n} \cos\beta x + nI_{n-1}\hphantom{,} \end{gathered} \]
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\(I_{n} = \displaystyle\int \cos^{n} x\, dx\) および \(J_{n} = \displaystyle\int \sin^{n} x\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ \begin{gathered} nI_{n} = \hphantom{-} \sin x\cos^{n-1} x + (n - 1) I_{n-2},\\ nJ_{n} = - \cos x\sin^{n-1} x + (n - 1) J_{n-2}\hphantom{,} \end{gathered} \]
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\(I_{n} = \displaystyle\int \tan^{n}x\, dx\) なら \((n - 1)(I_{n} + I_{n-2}) = \tan^{n-1}x\) が成り立つ。
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\(I_{m, n} = \displaystyle\int \cos^{m}x \sin^{n}x\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ \begin{alignedat}{2} (m+n)I_{m, n} & = -& & \cos^{m+1}x \sin^{n-1}x + (n - 1) I_{m, n-2}\\ & = & & \cos^{m-1}x \sin^{n+1}x + (m - 1) I_{m-2, n} \end{alignedat} \]
[仮定から \[ \begin{aligned} (m+1)I_{m, n} & = -\int \sin^{n-1}x \frac{d}{dx} (\cos^{m+1}x)\, dx\\ & = -\cos^{m+1}x \sin^{n-1}x + (n - 1)\int \cos^{m+2}x \sin^{n-2}x\, dx\\ & = -\cos^{m+1}x \sin^{n-1}x + (n - 1)(I_{m, n-2} - I_{m, n}) \end{aligned} \] が分かる。ここから一つ目の等式が得られる]
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\(I_{m, n} = \displaystyle\int \sin^{m}x \sin nx\, dx\) と \(I_{m-2, n}\) を関連付ける等式を見つけよ。
(Math. Trip. 1897.)
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\(I_{m, n} = \displaystyle\int x^{m} \cosec^{n}x\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ \begin{aligned} (n - 1)(n - 2)I_{m, n} = {} & (n - 2)^{2}I_{m, n-2} + m(m - 1)I_{m-2, n-2}\\ & \quad -x^{m-1} \cosec^{n-1}x \{m\sin x + (n - 2) x\cos x\} \end{aligned} \]
(Math. Trip. 1896.)
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\(I_{n} = \displaystyle\int (a + b\cos x)^{-n}\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ (n - 1)(a^{2} - b^{2}) I_{n} = -b\sin x (a + b\cos x)^{-(n-1)} + (2n - 3)aI_{n-1} - (n - 2)I_{n-2} \]
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\(I_{n} = \displaystyle\int (a\cos^{2} x + 2h\cos x\sin x + b\sin^{2}x)^{-n}\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ 4n(n + 1)(ab - h^{2})I_{n+2} - 2n(2n + 1)(a + b)I_{n+1} + 4n^{2}I_{n} = -\frac{d^{2} I_{n}}{dx^{2}} \]
(Math. Trip. 1898.)
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\(I_{m, n} = \displaystyle\int x^{m}(\log x)^{n}\, dx\) とする。このとき次の等式が成り立つ: \[ (m + 1)I_{m, n} = x^{m+1}(\log x)^{n} - nI_{m, n-1} \]
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\(n\) を正の整数とする。このとき \(\displaystyle\int x^{m}(\log x)^{n}\, dx\) は次に等しい: \[ x^{m+1} \left\{\frac{(\log x)^{n}}{m + 1} - \frac{n(\log x)^{n-1}}{(m + 1)^{2}} + \frac{n(n - 1)(\log x)^{n-2}}{(m + 1)^{3}} - \cdots + \frac{(-1)^{n}n!}{(m + 1)^{n+1}}\right\} \]
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全ての \(x\) に対して \(\phi'' + a^{2}\phi = 0\) となる関数 \(\phi(x)\) は一般に \(A\cos ax + B\sin ax\) つまり \(\rho\cos(ax + \varepsilon)\) という形をしている。ここで \(A,\ B,\ \rho,\ \varepsilon\) は定数を表す。 [\(2\phi'\) を両辺に乗じて積分すると、定数 \(b\) に対して \({\phi'}^{2} + a^{2}\phi^{2} = a^{2}b^{2}\) が分かる。ここから \(ax = \displaystyle\int \frac{d\phi}{\sqrt{b^{2} - \phi^{2}}}\) が導かれる]
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\(y' + \omega z = 0\) かつ \(z' - \omega y = 0\) を満たす最も一般的な関数 \(y\) と \(z\) を求めよ。\(\omega\) は定数で、ダッシュは \(x\) に関する微分を表す。
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\(\alpha\) を鋭角を表す定数としたとき、曲線 \[ x = \cos\phi + \frac{\sin\alpha \sin\phi}{1 - \cos^{2}\alpha \sin^{2}\phi},\quad y = \sin\phi - \frac{\sin\alpha \cos\phi}{1 - \cos^{2}\alpha \sin^{2}\phi} \] が定める領域の面積は \(\dfrac{1}{2}\dfrac{(1 + \sin\alpha)^{2}}{\sin\alpha}\pi\) である。
(Math. Trip. 1904.)
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半径 \(a\) の円の弦で直径に射影すると長さが \(2a\cos\beta\) となるものを考える。この弦の中点の軌跡は二つのループからなり、ループの面積がどちらも \(a^{2}(\beta - \cos\beta\sin\beta)\) だと示せ。
(Math. Trip. 1903.)
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曲線 \((x/a)^{2/3} + (y/b)^{2/3} = 1\) を四等分した部分の長さが \((a^{2} + ab + b^{2})/(a + b)\) だと示せ。
(Math. Trip. 1911.)
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半径 \(a\) の円の中に点 \(A\) があり、\(A\) は円の中心から \(b\) だけ離れている。\(A\) から円の接線に下ろした垂線の足の軌跡が、面積が \(\pi(a^{2} + \frac{1}{2}b^{2})\) の領域を囲むと示せ。
(Math. Trip. 1909.)
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\((a, b, c, f, g, h \mathbin{)\kern-5pt(} x, y, 1)^{2} = 0\) が円錐曲線の方程式なら、 \[ \int \frac{dx}{(lx + my + n)(hx + by + f)} = \alpha\log \frac{PT}{PT'} + \beta \] が成り立つ。ここで \(PT,\ PT'\) は円錐曲線上の点 \(P\) から弦 \(lx + my + n = 0\) の端点における接線に下ろした垂線の長さを表し、\(\alpha\) と \(\beta\) は定数とする。
(Math. Trip. 1902.)
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積分 \[ \int \frac{ax^{2} + 2bx + c}{(Ax^{2} + 2Bx + C)^{2}}\, dx \] が \(x\) の有理関数となるのは \(AC - B^{2}\) と \(aC + cA - 2bB\) のどちらかが \(0\) になる場合に限られることを示せ2。
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\(f\) と \(F\) が多項式で、\(F\) は重根を持たないとする。このとき \[ \int \frac{f(x)}{\{F(x)\}^{2}}\, dx \] が \(x\) の有理関数となるための必要十分条件は \(f'F' - fF''\) が \(F\) で割り切れることだと示せ。
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積分 \[ \int \frac{\alpha\cos x + \beta\sin x + \gamma}{(1 - e\cos x)^{2}}\, dx \] が \(\cos x\) と \(\sin x\) の有理関数となるのは \(\alpha e + \gamma = 0\) の場合に限ると示せ。そしてこの条件が成り立つときの積分を計算せよ。