§165 級数の表記
第四章で無限級数の収束・発散・振動の意味を説明した。そのとき定義を確認するために示した例は幾何級数 \[ 1 + x + x^{2} + \cdots \] から派生した級数およびこれに近い級数が中心だった。本章ではこの話題をさらに体系的に掘り下げ、解析学で最もよく登場する種類の級数の収束を判定するのに利用できる定理を証明する。
これからは \[ u_{m} + u_{m+1} + \cdots + u_{n} = \sum_{m}^{n} \phi(\nu) \] と表記し、無限級数 \(u_{0} + u_{1} + u_{2} + \cdots\) を \(\sum\limits_{0}^{\infty} u_{n}\) あるいは単に \(\sum u_{n}\) と書く1。
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級数の表記を (第四章のように) \(u_{1} + u_{2} + \cdots\) としようと (ここでしたように) \(u_{0} + u_{1} + \cdots\) としようと、本質的にはもちろん何も変わらない。ただ本章の後半で扱う \(a_{0} + a_{1}x + a_{2}x^{2} + \cdots\) という形の級数では後者の方が分かりやすい。そのため \(u_{0} + u_{1} + \cdots\) を標準的な記法として採用する。しかしこの表記に固執するわけではなく、初項を \(u_{1}\) にした方が考えやすいならそうすることもある。例えば級数 \(1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots\) を扱うときには、\(u_{n} = 1/n\) として級数が \(u_{1}\) から始まるとした方が、\(u_{n} = 1/(n + 1)\) として級数が \(u_{0}\) から始まるとするよりも考えやすい。この指摘は他に 例 68.4 にも当てはまる。[return]