§209 極限を使った対数関数の表現

§75 の内容を使って次の等式を示そう: \[ \lim n(1 - x^{-1/n}) = \lim n(x^{1/n} - 1) = \log x \]

\(n \to \infty\) のとき \(n(x^{1/n} - 1)\) は極限に向かい (§75) \(x^{1/n}\) は \(1\) に向かう (例 27.10) ので、 \[ n(x^{1/n} - 1) - n(1 - x^{-1/n}) = n(x^{1/n} - 1)(1 - x^{-1/n}) \] は \(0\) に向かう。よって §208 の不等式 \(\text{(3)}\) から結果が得られる。

例 86
  1. §208 の不等式 \(\text{(4)}\) で \(y = 1\) および \(n = 6\) とすることで \(2.5 \lt e \lt 2.9\) を示せ。

  2. \(t \gt 1\) なら \(\dfrac{t^{1/n} - t^{-1/n}}{t - t^{-1}} \lt \dfrac{1}{n}\) だと示し、これを使って \(x \gt 1\) で \[ \int_{1}^{x} \frac{dt}{t^{1-(1/n)}} - \int_{1}^{x} \frac{dt}{t^{1+(1/n)}} \lt \frac{1}{n} \int_{1}^{x} \left(t - \frac{1}{t}\right) \frac{dt}{t} = \frac{1}{n} \left(x + \frac{1}{x} - 2\right) \] が成り立つことを示せ。この結果から §209 の結果を導け。

  3. \(n\) の関数 \(\xi_{n}\) が \(n \to \infty\) のとき \(n\xi_{n} \to l\) を満たすなら \((1 + \xi_{n})^{n} \to e^{l}\) が成り立つ。 [\(n\log(1 + \xi_{n})\) は次の形に変形できる: \[ l \left(\frac{n\xi_{n}}{l}\right) \frac{\log(1 + \xi_{n})}{\xi_{n}} \] 例 82.4 を使えば \(n\log(1 + \xi_{n})\to l\) が分かる]

  4. \(n\xi_{n} \to \infty\) なら \((1 + \xi_{n})^{n} \to \infty\) が成り立ち、\(1 + \xi_{n} \gt 0\) かつ \(n\xi_{n} \to -\infty\) なら \[ (1 + \xi_{n})^{n} \to 0 \] が成り立つ。

  5. \(e^{y}\) が \(y\) の任意のべきよりも速く無限大に向かうという結果を §208 の \(\text{(1)}\) から導け。

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