第九章に関するその他の例
-
\(2^{10}\) と \(3^{21}\) の桁数がほぼ等しい事実と \(\log_{10} e = .4343\) という近似を使って、\(\log_{10} 2\) と \(\log_{10} 3\) の値を小数点以下第四位まで計算せよ。
(Math. Trip. 1905.)
-
\((\frac{1}{2}e)^{\sqrt{3}}\) と \((\sqrt{2})^{\frac{1}{2}\pi}\) のどちらが大きいか答えよ。 [対数を取って \(\sqrt{3}/(\sqrt{3} + \frac{1}{4}\pi) \lt \frac{2}{5} \sqrt{3} \lt .6929 \lt \log 2\) を使う]
-
\(\log_{10} n\) は \(n\) が \(10\) のべきでない限り整数とならない。 [\(10\) の倍数でない \(n\) に対して \(\log_{10}n = p/q\) が成り立つなら \(10^{p} = n^{q}\) となるが、\(10^{p}\) は \(0\) で終わるのに対して \(n^{q}\) はそうでないので、これはあり得ない。また \(10\) の倍数でない \(N\) を使って \(n = 10^{a}N\) と書けるなら \[ \log_{10}n = a + \log_{10}N \] は有理数でない]
-
関数 \(\log x,\ \log\log x,\ \log\log\log x,\ \ldots\) が (a) \(0\) になる (b) \(1\) になる (c) 定義されない \(x\) の値は何か? \(lx = \log |x|\) に対する \(lx,\ llx,\ lllx,\ \ldots\) についても同様のことを考えよ。
-
\(x\) が \(0\) から \(\infty\) に増加するとき \[ \log x - \binom{n}{1} \log(x + 1) + \binom{n}{2} \log(x + 2) - \cdots + (-1)^{n} \log(x + n) \] が常に負で、\(0\) に向かって単調に増加することを示せ。
[この関数の導関数は \[ \sum_{0}^{n} (-1)^{r} \binom{n}{r} \frac{1}{x + r} = \frac{n!}{x(x + 1) \cdots (x + n)} \] である。この等式は右辺を部分分数分解すれば容易に分かる。ここから導関数が常に正と分かる。またこの関数が \(x \to \infty\) で \(0\) に向かうことは、 \[ \log(x + r) = \log x + \varepsilon_{x} \] とすれば \(\varepsilon_{x} \to 0\) となること、および \(1 - \dbinom{n}{1} + \dbinom{n}{2} - \cdots = 0\) から分かる]
-
次を示せ: \[ \left(\frac{d}{dx}\right)^{n} \frac{\log x}{x} = \frac{(-1)^{n} n!}{x^{n+1}} \left(\log x - 1 - \frac{1}{2} - \cdots - \frac{1}{n}\right) \]
(Math. Trip. 1909.)
-
\(x \gt -1\) で \(x^{2} \gt (1 + x) \{\log(1 + x)\}^{2}\) が成り立つ。
(Math. Trip. 1906.)
[\(1 + x = e^{\xi}\) として、\(\xi \gt 0\) で \(\sinh \xi \gt \xi\) となる事実を使う]
-
\(x\) が \(0\) から \(\infty\) まで増加するとき \(\dfrac{\log(1 + x)}{x}\) と \(\dfrac{x}{(1 + x)\log(1 + x)}\) の両方が単調に減少することを示せ。
-
\(x\) が \(-1\) から \(\infty\) に増加するとき、関数 \((1 + x)^{-1/x}\) が \(0\) から \(1\) の値を一度ずつ取ることを示せ。
(Math. Trip. 1910.)
-
\(x \to 0\) のとき \(\dfrac{1}{\log(1 + x)} - \dfrac{1}{x} \to \dfrac{1}{2}\) だと示せ。
-
\(x\) が \(-1\) から \(\infty\) に増加するとき \(\dfrac{1}{\log(1 + x)} - \dfrac{1}{x}\) が \(1\) から \(0\) へ単調に減少することを示せ。 [この関数は \(x = 0\) で定義されないが、\(x = 0\) で \(\dfrac{1}{2}\) と定めれば \(x = 0\) で連続となる。導関数が負であることを示すには問題 7 を使う]
-
\(\xi\) を正とする。\(x\) が \(0\) から \(\xi\) まで増加するとき \(\dfrac{\log \xi - \log x}{\xi - x}\) が単調に減少することを示せ。\(x \to \xi\) における極限を求めよ。
-
\(M\) と \(N\) を大きな正の実数とする。\(x\) が \(2\log M\) と \(16N^{2}\) の両方より大きいなら \(e^{x} \gt Mx^{N}\) だと示せ。
[\(\log x \lt 2\sqrt{x}\) は容易に示せる。よって与えられた不等式は \[ x \gt \log M + 2N\sqrt{x} \] なら満たされる。つまり \(\dfrac{1}{2}x \gt \log M\) かつ \(\dfrac{1}{2}x \gt 2N\sqrt{x}\) であればよい]
-
\(x \to \infty\) のとき \(f(x)\) と \(\phi(x)\) が無限大に向かうとする。\(f'(x)/\phi'(x) \to \infty\) なら \(f(x)/\phi(x) \to \infty\) だと示せ。 [第六章に関するその他の例 33 の結果を使う。\(f(x) = x^{\alpha}\) および \(\phi(x) = \log x\) とすれば、任意の正の \(\alpha\) に対して \((\log x)/x^{\alpha} \to 0\) が示せる]
-
\(p\) と \(q\) を正の整数とする。このとき \(n \to \infty\) で \[ \frac{1}{pn + 1} + \frac{1}{pn + 2} + \cdots + \frac{1}{qn} \to \log\left(\frac{q}{p}\right) \] が成り立つ。 [参考: 例 78.6]
-
\(x\) が正なら \(n \to \infty\) で \(n\log\{\dfrac{1}{2}(1 + x^{1/n})\} \to -\dfrac{1}{2}\log x\) だと示せ。 [\(u = \frac{1}{2}(1 - x^{1/n})\) とすれば \[ n\log\{\dfrac{1}{2}(1 + x^{1/n})\} = n\log\{1 - \dfrac{1}{2}(1 - x^{1/n})\} = \dfrac{1}{2}n(1 - x^{1/n}) \frac{\log(1 - u)}{u} \] が成り立つ。§209 と 例 82.4 を使う]
-
\(a\) と \(b\) が正なら \[ \left\{\dfrac{1}{2}(a^{1/n} + b^{1/n})\right\}^{n} \to \sqrt{ab} \] だと示せ。 [対数を取って問題 16 を使う]
-
次を示せ: \[ 1 + \frac{1}{3} + \frac{1}{5} + \cdots + \frac{1}{2n - 1} = \dfrac{1}{2}\log n + \log 2 + \dfrac{1}{2} \gamma + \varepsilon_{n} \] ここで \(\gamma\) はオイラーの定数 (例 89.1) で、\(n \to \infty\) のとき \(\varepsilon_{n} \to 0\) とする。
-
次を示せ: \[ 1 + \dfrac{1}{3} - \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{5} + \dfrac{1}{7} - \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{9} + \cdots = \dfrac{3}{2} \log 2 \] これは級数 \(1 - \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} - \cdots\) から二つの正の項と一つの負の項を順に取ることで得られる。 [最初の \(3n\) 項の和は \[ \begin{aligned} & 1 + \frac{1}{3} + \frac{1}{5} + \cdots + \frac{1}{4n - 1} - \frac{1}{2} \left(1 + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{n}\right)\\ & \qquad \qquad = \dfrac{1}{2}\log 2n + \log 2 + \dfrac{1}{2}\gamma + \varepsilon_{n} - \dfrac{1}{2}(\log n + \gamma + \varepsilon_{n}') \end{aligned} \] となる (参考: 例 78.6)。ここで \(\varepsilon_{n}\) と \(\varepsilon'_{n}\) は \(n \to \infty\) のとき \(0\) に向かう]
-
\(1 - \dfrac{1}{2} - \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{3} - \dfrac{1}{6} - \dfrac{1}{8} + \dfrac{1}{5} - \dfrac{1}{10} - \cdots = \dfrac{1}{2}\log 2\) を示せ。
-
次を示せ: \[ \sum_{1}^{n} \frac{1}{\nu(36\nu^{2} - 1)} = -3 + 3\Sigma_{3n+1} - \Sigma_{n} - S_{n} \] ここで \(S_{n} = 1 + \dfrac{1}{2} + \cdots + \dfrac{1}{n},\ \Sigma_{n} = 1 + \dfrac{1}{3} + \cdots + \dfrac{1}{2n - 1}\) とする。これを使って、 級数を無限に伸ばしたときの和が次に等しいと示せ: \[ -3 + \dfrac{3}{2}\log 3 + 2\log 2 \]
(Math. Trip. 1905.)
-
次を示せ: \[ \sum_{1}^{\infty} \frac{1}{n(4n^{2} - 1)} = 2\log 2 - 1, \quad \sum_{1}^{\infty} \frac{1}{n(9n^{2} - 1)} = \dfrac{3}{2}(\log 3 - 1) \]
-
次の四つの級数を考える: \[ \sum_{1}^{\infty} \frac{1}{4n^{2} - 1},\quad \sum_{1}^{\infty} \frac{(-1)^{n-1}}{4n^{2} - 1},\quad \sum_{1}^{\infty} \frac{1}{(2n + 1)^{2} - 1},\quad \sum_{1}^{\infty} \frac{(-1)^{n-1}}{(2n + 1)^{2} - 1} \] これらの和がそれぞれ \(\dfrac{1}{2},\ \dfrac{1}{4}\pi - \dfrac{1}{2},\ \dfrac{1}{4},\ \dfrac{1}{2}\log 2 - \dfrac{1}{4}\) だと示せ。
-
\(n!\, (a/n)^{n}\) が \(a \lt e\) なら \(0\) に向かい、\(a \gt e\) なら \(\infty\) に向かうと示せ。
[\(u_{n} = n!\, (a/n)^{n}\) とすれば \(u_{n+1}/u_{n} = a\{1 + (1/n)\}^{-n} \to a/e\) が成り立つ。\(a = e\) ならこの関数は \(\infty\) に向かうと示せるが、その証明はこの章で示した定理の範囲を超える。ブロムウィッチ著 Infinite Series, pp. 261, et seq. を参照]
-
\(x \to \infty\) における \[ \left(\frac{a_{0} + a_{1} x + \cdots + a_{r} x^{r}} {b_{0} + b_{1} x + \cdots + b_{r} x^{r}}\right)^{\lambda_{0}+\lambda_{1}x} \] の極限を求めよ。生じうる場合を全て分けて考えること。
(Math. Trip. 1886.)
-
次の級数が発散すると示せ: \[ \sum \log \left(1 + \frac{x}{n}\right)\quad (x \gt 0) \] [\(\sum (x/n)\) と比較する] これを使って、\(x\) が正なら \(n \to \infty\) で \[ \frac{(1 + x)(2 + x) \cdots (n + x)}{n!} \to \infty \] だと示せ。 [この関数の対数は \(\sum\limits_{1}^{n} \log \left(1 + \dfrac{x}{\nu}\right)\) である]
-
\(x \gt -1\) なら \[ \begin{aligned} \frac{1}{(x + 1)^{2}} & = \frac{1}{(x + 1) (x + 2)} + \frac{1!}{(x + 1) (x + 2) (x + 3)}\\ & \qquad + \frac{2!}{(x + 1) (x + 2) (x + 3) (x + 4)} + \cdots \end{aligned} \] だと示せ。
(Math. Trip. 1908.)
[級数の最初の \(n\) 項の和と \(1/(x + 1)^{2}\) の差は \[ \frac{1}{(x + 1)^{2}}\, \frac{n!}{(x + 2) (x + 3) \cdots (x + n + 1)} \] と表せる]
-
次の等式が全ての \(x\) に対して成り立つことはないと示せ: \[ Ae^{\alpha x} + Be^{\beta x} + \cdots = 0 \] \(A,\ B,\ \ldots\) は多項式、\(\alpha,\ \beta,\ \ldots\) は異なる実数とする。 [\(\alpha\) を \(\alpha,\ \beta,\ \ldots\) の最大値とすると、\(x \to \infty\) において \(Ae^{\alpha x}\) が他の項より圧倒的に大きくなる]
-
数列 \[ a_{1} = e,\quad a_{2} = e^{e^{2}},\quad a_{3} = e^{e^{e^{3}}},\ \ldots \] が任意の指数尺度よりも速く無限大に向かうと示せ。
[\(e_{1}(x) = e^{x},\ e_{2}(x) = e^{e_{1}(x)},\ \ldots\) とすると、任意の指数尺度 \(e_{k}(x)\) に対して \(n \gt k\) で \(a_{n} \gt e_{k}(n)\) が成り立つ]
-
次を示せ: \[ \frac{d}{dx} \{\phi(x)\}^{\psi(x)} = \frac{d}{dx} \{\phi(x)\}^{\alpha} + \frac{d}{dx} \{\beta^{\psi(x)}\} \] 右辺では微分を計算してから \(\alpha\) に \(\psi(x)\) を、\(\beta\) に \(\phi(x)\) を代入する。\(\phi(x)^{[\{\psi(x)\}^{\chi(x)}]}\) に対する同様の微分公式を示せ。
-
\(D_{x}^{n} e^{-x^{2}} = e^{-x^{2}} \phi_{n}(x)\) とする。このとき (i) \(\phi_{n}(x)\) が次数 \(n\) の多項式であること (ii) \(\phi_{n+1} = -2x\phi_{n} + \phi_{n}'\) が成り立つこと (iii) \(\phi_{n} = 0\) の根が相異なる実数であり、\(\phi_{n-1} = 0\) の根で分離されることをそれぞれ示せ。 [(iii) の証明では \(\kappa = 1,\ 2,\ \ldots,\ n\) に対する成立を仮定し、\(\phi_{n} = 0\) が成立する \(n\) 個の \(x\) および十分大きな正と負の \(x\) における \(\phi_{n+1}\) の符号を考える]
-
微分可能な関数 \(f\) に対する関数方程式 \(f(xy) = f(x)f(y)\) の解が \(x^{a}\) だと示せ。\(a\) は定数とする。さらに \[ f(x + y) + f(x - y) = 2f(x)f(y) \] の根が、\(f''(0)\) の正負に応じて \(\cosh ax\) または \(\cos ax\) だと示せ。 [二つ目の結果の証明では \(f\) が三次までの導関数を持つと仮定する。このとき \[ 2f(x) + y^{2}\{f''(x) + \varepsilon_{y}\} = 2f(x)[f(0) + yf'(0) + \dfrac{1}{2} y^{2}\{f''(0) + \varepsilon_{y}'\}] \] であり、\(\varepsilon_{y}\) と \(\varepsilon_{y}'\) は \(y\) と共に \(0\) に向かう。ここから \(f(0) = 1,\ f'(0) = 0f''(x) = f''(0)f(x)\) が導かれ、\(a = \sqrt{f''(0)}\) または \(a = \sqrt{-f''(0)}\) と分かる]
-
関数 \(x^{\sin(1/x)},\ x^{\sin^{2}(1/x)},\ x^{\cosec(1/x)}\) は \(x \to +0\) でどう振る舞うか?
-
曲線 \(y = \tan x e^{\tan x},\ y = \sin x \log \tan \dfrac{1}{2}x\) を描け。
-
方程式 \(e^{x} = ax + b\) は \(a \lt 0\) または「\(a = 0,\ b \gt 0\)」のとき一つの実根を持つ。\(a \gt 0\) の場合は \(a\log a \gt b - a\) か \(a\log a \lt b - a\) かに応じて二つまたは零個の実根を持つ。
-
幾何学的な考察によって、方程式 \(e^{x} = ax^{2} + 2bx + c\) の実根の数が \(a \gt 0\) なら \(1,\ 2,\ 3\) のどれかであり、\(a \lt 0\) なら \(0,\ 1,\ 2\) のどれかだと示せ。それぞれの場合を区別する方法を説明せよ。
-
曲線 \(y = \dfrac{1}{x} \log\left(\dfrac{e^{x} - 1}{x}\right)\) を描け。この曲線が点 \((0, \frac{1}{2})\) に関して対称であり、\(x\) が全ての実数の値を取りながら増加するとき \(y\) は \(0\) から \(1\) へ単調に増加することを示せ。グラフから方程式 \[ \frac{1}{x} \log\left(\frac{e^{x} - 1}{x}\right) = \alpha \] には \(0 \lt \alpha \lt 1\) でない限り実根が存在しないこと、そして実根が存在するなら符号が \(\alpha - \frac{1}{2}\) と等しいことを導け。 [まず \[ y - \dfrac{1}{2} = \frac{1}{x} \left\{\log\left(\frac{e^{x} - 1}{x}\right) - \log e^{\frac{1}{2} x}\right\} = \frac{1}{x} \log\left(\frac{\sinh \frac{1}{2}x}{\frac{1}{2}x}\right) \] は明らかに \(x\) の奇関数である。また \[ \frac{dy}{dx} = \frac{1}{x^{2}} \left\{\dfrac{1}{2} x\coth \dfrac{1}{2}x - 1 - \log\left(\frac{\sinh \frac{1}{2}x}{\frac{1}{2}x}\right)\right\} \] であり、中括弧の中の関数は \(x \to 0\) で \(0\) に向かう。さらにこの導関数 \[ \frac{1}{x} \left\{1 - \left(\frac{\frac{1}{2}x}{\sinh \frac{1}{2}x}\right)^2\right\} \] は \(x\) と同じ符号を持つので、全ての \(x\) で \(dy/dx \gt 0\) が成り立つ]
-
曲線 \(y = e^{1/x} \sqrt{x^{2} + 2x}\) を描き、方程式 \[ e^{1/x} \sqrt{x^{2} + 2x} = \alpha \] が \(\alpha\) が負のとき実根を持たないことを示せ。さらに \[ 0 \lt \alpha \lt a = e^{1/\sqrt{2}} \sqrt{2 + 2\sqrt{2}} \] なら一つの負の根を、\(\alpha \gt a\) なら二つの正の根と一つの負の根を持つと示せ。
-
方程式 \(f_{n}(x) = 1 + x + \dfrac{x^{2}}{2!} + \cdots + \dfrac{x^{n}}{n!} = 0\) は \(n\) が奇数なら実根を一つ持ち、\(n\) が偶数なら実根を持たないことを示せ。
[この命題が \(n = 1,\ 2,\ \ldots 2k\) で成り立つと仮定する。\(f_{2k+1}(x) = 0\) の次数は奇数だから、少なくとも一つの実根を持つ。仮に実根が一つより多いなら \(f'_{2k+1}(x)\) つまり \(f_{2k}(x)\) が少なくとも一度 \(0\) にならなければならないので、実根は一つしか存在しない。よって \(f_{2k+1}(x) = 0\) の実根は一つだけであり、\(f_{2k+2}(x) = 0\) の実根は二つ以下である。もし実根が \(\alpha\) と \(\beta\) の二つだとすると、\(f'_{2k+2}(x)\) つまり \(f_{2k+1}(x)\) が \(\alpha\) と \(\beta\) の間で少なくとも一回 \(0\) になる。この点を \(\gamma\) とすると \[ f_{2k+2}(\gamma) = f_{2k+1}(\gamma) + \frac{\gamma^{2k+2}}{(2k + 2)!} \gt 0 \] が成り立つ。一方で \(f_{2k+2}(x)\) は正および負の大きい \(x\) で正だから、グラフを一瞥すればこの結果が矛盾すると分かる。よって \(f_{2k+2}(x) = 0\) は実根を持たない]
-
\(a\) と \(b\) が正でほぼ等しいなら近似的に \[ \log \frac{a}{b} = \frac{1}{2}(a - b) \left(\frac{1}{a} + \frac{1}{b}\right) \] であり、誤差が \(\frac{1}{6}\{(a - b)/a\}^{3}\) にほぼ等しいと示せ。 [対数級数を使う。これはネイピアが対数の数値計算に利用した歴史的に重要な公式である]
-
級数の積を使って、\(-1 \lt x \lt 1\) で \[ \begin{aligned} \dfrac{1}{2}\{\log(1 + x)\}^{2} & = \dfrac{1}{2} x^{2} - \dfrac{1}{3}(1 + \dfrac{1}{2})x^{3} + \dfrac{1}{4}(1 + \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3})x^{4} - \cdots,\\ \dfrac{1}{2}(\arctan x)^{2} & = \dfrac{1}{2} x^{2} - \dfrac{1}{4}(1 + \dfrac{1}{3})x^{4} + \dfrac{1}{6}(1 + \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{5})x^{6} - \cdots \end{aligned} \] が成り立つと示せ。
-
次を示せ: \[ (1 + a x)^{1/x} = e^{a}\{1 - \dfrac{1}{2} a^{2}x + \dfrac{1}{24}(8 + 3a)a^{3}x^{2}(1 + \varepsilon_{x})\} \] \(\varepsilon_{x}\) は \(x\) と共に \(0\) へ向かうとする。
-
\(\log\left(1 + x + \dfrac{x^{2}}{2!} + \cdots + \dfrac{x^{n}}{n!}\right)\) を \(x\) のべき級数に展開したときの最初の \(n + 2\) 項は \[ x - \frac{x^{n+1}}{n!} \left\{\frac{1}{n + 1} - \frac{x}{1!\, (n + 2)} + \frac{x^{2}}{2!\, (n + 3)} - \cdots + (-1)^{n} \frac{x^{n}}{n!\, (2n + 1)} \right\} \] である。
(Math. Trip. 1899.)
-
関数 \[ \exp \left(-x - \frac{x^{2}}{2} - \cdots - \frac{x^{n}}{n}\right) \] の \(x\) のべき級数への展開が \[ 1 - x + \frac{x^{n+1}}{n + 1} - \sum_{s=1}^{n} \frac{x^{n+s+1}}{(n + s)(n + s + 1)} \] で始まると示せ。
(Math. Trip. 1909.)
-
\(-1 \lt x \lt 1\) で次が成り立つと示せ: \[ \begin{aligned} \frac{1}{3}x + \frac{1·4}{3·6}2^{2}x^{2} + \frac{1·4·7}{3·6·9}3^{2}x^{3} + \cdots & = \frac{x(x + 3)}{9(1 - x)^{7/3}},\\ \frac{1}{3}x + \frac{1·4}{3·6}2^{3}x^{2} + \frac{1·4·7}{3·6·9}3^{3}x^{3} + \cdots & = \frac{x(x^{2} + 18x + 9)}{27(1 - x)^{10/3}} \end{aligned} \] [例 92.6 の方法を使う。微分を使えばより簡単にこの結果を得られるが、無限級数の微分に関する話題は本書の範囲を超える]
-
次を示せ: \[ \begin{aligned} \int_{0}^{\infty} \frac{dx}{(x + a)(x + b)} & = \frac{1}{a - b} \log\left(\frac{a}{b}\right), \\ \int_{0}^{\infty} \frac{dx}{(x + a)(x + b)^{2}} & = \frac{1}{(a - b)^{2}b}\left\{a - b - b\log\left(\frac{a}{b}\right)\right\},\\ \int_{0}^{\infty} \frac{x\, dx}{(x + a)(x + b)^{2}} & = \frac{1}{(a - b)^{2}} \left\{a\log\left(\frac{a}{b}\right) - a + b\right\},\\ \int_{0}^{\infty} \frac{dx}{(x + a)(x^{2} + b^{2})} & = \frac{1}{(a^{2} + b^{2})b} \left\{\dfrac{1}{2}\pi a - b\log\left(\frac{a}{b}\right)\right\},\\ \int_{0}^{\infty} \frac{x\, dx}{(x + a)(x^{2} + b^{2})} & = \frac{1}{a^{2} + b^{2}} \left\{\dfrac{1}{2}\pi b + a\log\left(\frac{a}{b}\right)\right\} \end{aligned} \] \(a\) と \(b\) は正とする。この結果を使って、次の関数が全ての正の \(a\) に対して常に正だと示せ: \[ a - 1 - \log a,\quad a\log a - a + 1,\quad \dfrac{1}{2}\pi a - \log a,\quad \dfrac{1}{2}\pi + a\log a \] さらに同じことを独立に確認せよ。
-
\(\alpha,\ \beta,\ \gamma\) が全て正で \(\beta^{2} \gt \alpha\gamma\) なら \[ \int_{0}^{\infty} \frac{dx}{\alpha x^{2} + 2\beta x + \gamma} = \frac{1}{\sqrt{\beta^{2} - \alpha\gamma}} \log \left\{\frac{\beta + \sqrt{\beta^{2} - \alpha\gamma}} {\sqrt{\alpha\gamma}} \right\} \] であり、\(\alpha\) が正で \(\alpha\gamma \gt \beta^{2}\) なら積分の値は \[ \frac{1}{\sqrt{\alpha\gamma - \beta^{2}}} \arctan \left\{\frac{\sqrt{\alpha\gamma - \beta^{2}}}{\beta}\right\} \] だと示せ。タンジェントの逆関数は \(0\) から \(\pi\) の値を取るとする。この二つと本質的に異なる場合に積分が収束することはあるか?
-
\(a \gt -1\) とする。 \[ \int_{1}^{\infty} \frac{dx}{(x + a)\sqrt{x^{2} - 1}} = \int_{0}^{\infty} \frac{dt}{\cosh t + a} = 2\int_{1}^{\infty}\frac{du}{u^{2} + 2au + 1} \] を示し、この積分の値が \(-1 \lt a \lt 1\) なら \[ \frac{2}{\sqrt{1 - a^{2}}} \arctan \sqrt{\frac{1 - a}{1 + a}} \] であり、\(a \gt 1\) なら \[ \frac{1}{\sqrt{a^{2} - 1}} \log\frac{\sqrt{a + 1} + \sqrt{a - 1}} {\sqrt{a + 1} - \sqrt{a - 1}} = \frac{2}{\sqrt{a^{2} - 1}} \text{argtanh} \sqrt{\frac{a - 1}{a + 1}} \] だと示せ。\(a = 1\) の場合を議論せよ。
-
同様の方法で \(a \gt 0\) に対する積分 \(\displaystyle\int_{0}^{\infty} \frac{dx}{(x + a) \sqrt{x^{2} + 1}}\) を変形し、この値が \[ \frac{1}{\sqrt{a^{2} + 1}} \log\frac{a + 1 + \sqrt{a^{2} + 1}}{a + 1 - \sqrt{a^{2} + 1}} = \frac{2}{\sqrt{a^{2} + 1}} \text{argtanh} \frac{\sqrt{a^{2} + 1}}{a + 1} \] に等しいと示せ。
-
次を示せ: \[ \int_{0}^{1} \arctan x\, dx = \dfrac{1}{4}\pi - \dfrac{1}{2}\log 2 \]
-
\(0 \lt \alpha \lt 1,\ 0 \lt \beta \lt 1\) で次が成り立つと示せ: \[ \int_{-1}^{1} \frac{dx}{\sqrt{(1 - 2\alpha x + \alpha^{2})(1 - 2\beta x + \beta^{2})}} = \frac{1}{\sqrt{\alpha\beta}} \log \frac{1 + \sqrt{\alpha\beta}}{1 - \sqrt{\alpha\beta}} \]
-
\(a \gt b \gt 0\) なら \[ \int_{-\infty}^{\infty} \frac{d\theta}{a\cosh \theta + b\sinh \theta} = \frac{\pi}{\sqrt{a^{2} - b^{2}}} \] だと示せ。
-
次を示せ: \[ \int_{0}^{1} \frac{\log x}{1 + x^{2}}\, dx = -\int_{1}^{\infty} \frac{\log x}{1 + x^{2}}\, dx,\quad \int_{0}^{\infty} \frac{\log x}{1 + x^{2}}\, dx = 0 \] ここから \(a \gt 0\) なら \[ \int_{0}^{\infty} \frac{\log x}{a^{2} + x^{2}}\, dx = \frac{\pi}{2a}\log a \] だと導け。
[置換 \(x = 1/t\) および \(x = au\) を使う]
-
\(a \gt 0\) として次を示せ: \[ \int_{0}^{\infty} \log \left(1 + \frac{a^{2}}{x^{2}}\right) dx = \pi a \] [部分積分を使う]